《國民的歌手のクーデレとのフラグが丈夫すぎる〜距離を置いてるのに、なんで俺が助けたことになってるんだ!?》第10話 布教
その噂が聞こえてきたのは育終わりの男子更室でのことだった。
「はぁ、疲れた。汗めっちゃかいたわ」
「それな。暑すぎ。早く冷房の効いた教室に戻りたいわー」
育館でいたせいでびしょびしょになった服をぐクラスメイトたち。
自分も他の人と同じように、汗でに張り付く気持ち悪いジャージをいでいく。
「潤、帰宅部なのにバスケ上手いよな。中學バスケ部だった?」
「いや、特にはやってないよ」
「まじか。運神経いいんだなー」
授業中同じチームだったサッカー部の髪が長めのイケメン、市川が話しかけてくる。汗で濡れる髪のが妙にっぽい。
「そういえばさ。昨日、隣のクラスの咲から聞いたんだけど、うちのクラスの山田さんがスーツを著た男の人と喫茶店で話してたらしい。ワンチャンパパ活じゃね? みたいな」
上著をぎながら市川がそんなことを口にした。適當な話題を上げてみた、そんなじの口調だ。
思いがけない話題に著替えていた自分も思わず耳を傾ける。
「山田さん、って誰だっけ?」
「ほら、窓側の後ろの方にいるいつも一人の眼鏡かけたの子」
「あー、あの子か」
市川と仲の良い、短髪で淺黒いの男子、藤崎が納得したように頷く。続けて藤崎は市川に尋ねた。
「そのパパ活って話は本當なの?」
「さあ? 咲が適當に言ってるだけかもしれないし。ただ、ホテル前を二人で歩いてるところも見かけたみたいよ」
「まじかー」
「まあ、正直、山田さんと話したことないし。全然知らないからなんとも言えないけどな。潤、その辺りどうなの?」
市川がいだジャージをリュックに詰め込みながらこっちを向いた。
「え? 俺?」
「隣の席同士で、たまに話してるじゃん」
「いや、そこまで話す仲じゃ……」
挨拶こそわしはするものの、最近はほとんど會話は生まれていない。
あの時たまたま話す機會が重なっただけであって、以前のような元の他人の関係に戻っている。
「そうは言っても、俺、山田さんが潤以外と話してるとこ、ほとんど見たことないし。クラスで1番話してるのは潤でしょ」
「分かる。なんか2人話してるなーっては思ってた」
市川に同調する藤崎。2人とも薄い興味が瞳に浮かんでいた。
どうやら知らない間に俺と山田さんが仲良いというのがクラスの中での認識になっていたらしい。
実際はほとんど他人と変わらないけど、あまり人と関わりを持たない人が誰かと話していれば、それだけ目立つか。
問いかける2人の視線に考える。
山田さんがパパ活……か。そんなの鼻で笑うしかない。
ちらっと聞いた山田さんの中學時代。今の格好。そして現在の壁を作っている雰囲気。
なんとなく男子が苦手なのだろうなということは窺い知れる。そんな人がそういうことをするだろうか?
もしかしたら探せばいるのかもしれないが、そういう人はないだろう。なくとも山田さんがそういうことをする人だとは思えない。
市川の話し方からして、特段信じているというわけではないのだろう。ただ面白そうな噂話なので聞いてみている、そんなじか。
ほんと、下らない。わざわざ人を貶めるような話題につっこむなんてごめんだ。
そもそも山田さんとは関わらないようにしているのだから、彼に関する話題とか続けたくない。妙な勘違いが深まる可能もある。
まったく、そんな変な噂話に興味を持つ暇があるなら、シャートンに夢中になれば良いのに。
呆れてれ出たため息と共に、肩をすくめて見せる。
「……さあね。そこまで話してないから分からないけど、俺的にはそういうことをする人ではないと思うよ」
「ふーん、そっか」
どこかつまらなそうに呟く市川。期待していた答えと違うからだろう。
「実際その噂ってどこまで広まってるの?」
「どうだろうなー。クラスの一部は知ってるんじゃないか? 俺の友達とかは咲から直接聞いてたし。あとは子は広まるの早いからもうしんな人が知ってるかも」
「なるほどね」
ふむ。そういう狀況か。とりあえず今は、この場での話題を切り替えるとしよう。
わざとらしく笑みを作り、市川の右肩に手を乗せる。
「なぁ、市川。そんなつまんない噂話よりさ、もっと面白いものあるから興味持つならそっちにしなよ」
「……なに?」
市川が嫌そうな顔を見せる。酷い。まだ何も話してないぞ?
「勿論シャートンに決まってる」
「だと思ったよ」
グッと親指を立てると、呆れたため息が市川の口かられ出た。イケメンだからそれすら様になっている。ずるい奴め。
「もう何回目だよ。勧めてくるの。ほんと好きだな」
「まあね。流行る前から推してるんだから。いい曲だったでしょ?」
「ああ。あれだけんなところで流れてるから、凄い耳に殘ってるよ」
意識してみると最近は本當にんなところで流れている。服屋の店のBGMとしても流れているのをこの前聞いた。
「俺も聞いたぜ。クラスの子達もいい曲って褒めてたから聞いたけど、確かにいい曲だったわ」
「クラスの子達も良いって言ってるんだ?」
藤崎の言葉が本當ならかなり嬉しい。子とは無縁な生活を送っているのでその辺りの話は詳しくない。
「ああ。イツメンの子達とか。な?」
「そうだね」
藤崎の問いかけに市川が頷く。
「そりゃあ、良かったよ。シャートンのファンとして嬉しいね」
日頃から勧めてきた甲斐があった。シャートンの布教の順調ぶりににんまり笑みが抑えられなかった。
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