《國民的歌手のクーデレとのフラグが丈夫すぎる〜距離を置いてるのに、なんで俺が助けたことになってるんだ!?》第17話 勉強會
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「二人が不安な教科教えて。今日はそれを重點的に教えていくから」
放課後、人がいなくなった教室に殘る俺と秀俊と山田さん。
俺と秀俊が並んで座り、その前で背筋をピンとばして山田さんはやる気をみせる。
「俺は數學かなー」
「あー、俺も」
「そう。じゃあ、とりあえず今日は數學から」
一番覚えが悪い數學の教科書を機の上で開く。やはり苦手な教科なので気が進まない。きも鈍くなる。
「神楽くん、のろのろしない。今日はビシバシいくから」
俺の気持ちを察したようで、山田さんの注意が飛んできた。本當に珍しい。やる気スイッチが3つくらいっている気がする。
「ありがたいけど、そんな気合いれなくていいんだよ?」
「だめ。頼まれた以上はちゃんとやる」
「……そうですか」
もう諦めた。既に俺の策略は失敗しているし、もうなるようになってくれ。
半ばやけくそな気持ちで気合をれ直した。
「それで、分からないところは?」
「俺は二次関數の場合分けのところかな」
「分かった。神楽くんは?」
「俺はまだ解いてないからなんとも……」
「……え?」
目を丸くして一瞬固まる山田さん。信じられないとでもいいだけだ。
「そ、そう。確かにその狀態ならピンチなのも納得。そしたらとりあえず章末の問題を解いてみて。分からないところは飛ばしていいから」
「分かった」
指示された通りに、章末問題に手をつける。あ、これ、やばいかも。
パッと見ただけで解法が思いつかない問題の數々。見れば見るほど絶しかない。現実は厳しい。
今すぐ投げ出したくなったが、山田さんの鋭い視線が俺を抜いていた。こ、怖い。慌てて手をかす。
俺が解き始めたのに安心したようで、こくりと軽く頷くと、秀俊に勉強を教え始めた。
かつかつとシャーペンが紙をる音が教室に響く。
隣からは山田さんの控えめな聲が聞こえる。秀俊と山田さんが話している景は見慣れなくて違和しかない。
「----であるから、この問題はこの公式を使えばいい」
「おー、なるほどね。凄い分かりやすい」
秀俊はノートを見て呟く。その聲にはがのっているので、それだけ分かりやすいのだろう。
「なんか意外と山田さんってちゃんと話すんだな」
「意外?」
「ほら、普段教室でほとんど話さないだろ? 話す相手は潤ぐらいじゃん。だから勝手に話すの苦手なのかと思ってた」
「……こういう教えるのは慣れてるから」
「ふーん、そうなのか」
秀俊はちらっとこっちを見てまた山田さんに目を向ける。そして妙なことを言い出した。
「前から思ってたが、山田さんって潤と仲良いよな」
「別に」
「そうか? でも今日だってわざわざこうして勉強會開いてくれてるわけだろ?」
「それはこの前のお返し。ただそれだけだから。変な勘違いはやめて」
「そっかー。だってよ、潤。フラれたな」
秀俊が肩を叩いてくる。絶対分かってて聞いただろ。
「フラれるもなにもないから。山田さんとはそういうのじゃないって前から言ってるだろ」
睨みつけてみるがまったく効いた様子はない。こいつめ。
だけど山田さんの本音を聞けたのは大きい。どうやら向こうも俺と同じように考えてはいたようだ。前に山田さんのことを庇ったような形になってしまったけどこれなら特に問題はないか。
しだけ警戒が緩む。
「秀俊が変なこと聞いてごめんね。一応俺からも謝る」
「別に。神楽くんはそういう変な勘違いしないタイプなのは分かってるから」
「そう。それならいいんだけど」
うん。これなら距離の近づきようがない。互いに距離を置いて接しているんだから、仲良くなりようがない。こういうスタンスの話をするのは初めてだけど、安心できそうだ。
意外と警戒しすぎだったのかもしれない。そんなことを思いながら勉強に戻った。
「下校時間になりました。校にいる人は下校してください」
しばらく3人で勉強を続けていたけど、校に放送が流れた。時計を見ると6時50分を指している。
教室は電気が點いているので気付かなかったが、外を見ると日が沈み夕焼け空になっていた。
「じゃあ、今日はここで終わり」
「やっと終わったー」
山田さんの終了の合図でから力が抜ける。久しぶりに頭を使ったのでしぼうっとする。
「帰ろうか」
機に広げた教科書類をリュックに詰めて立ち上がる。秀俊と山田さんもリュックを背負い、椅子から立つ。
その時、かちゃんと音がした。
「あっ」
山田さんの鈴のような聲が響く。どうやら膝にスマホを置いておいたのを忘れていたようで、こっちの足元にってきた。
「落としたよ」
幸い割れてはいないようなので拾い上げる。その時、畫面がった。メールが屆いたらしい。不意に件名が見えてしまった。
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