広がる真っ白な砂浜。

海の匂いを乗せた爽やかな風が頬をでる。

コバルトブルーの海が燦々とした太の日差しを浴びて煌めく。

海の家でレンタルしてきたピーチパラソルと大きな浮きを手に、海パンの姿の俺は夏の海を眺めていた。

多くの観客で賑わうビーチ。白い砂浜というキャンバスを彩るように、カラフルなビーチパラソルが立ち並び、多くの観客達が波の向こうで揺らめいている。

今日の俺はユキと一緒に海水浴へとやってきた。以前に水族館へ行った時のようにバスへ乗り、県でも有數の海水浴場へと向かった。荷は海の家のロッカーに置き、早々と著替えた俺はユキが來るのを待っている。

「晴くん、おまたせ」

その聲に俺は振り向いた。

大人びた黒いビキニを著たユキが、満なをたゆんたゆんと揺らしながら俺の元へと駆け寄ってくる。俺を見つめながら優しく微笑むユキの水著姿は、夏の日差しよりもずっと眩しく見えた。

長い腳は細くしなやかで、から腰にかけての曲線も素晴らしかった。白くて艶やかながしく、そのと対極な黒いビキニが彼の貌を更に引き出している。それにたわわに実ったが水著姿だと更に強調されていて、思わず息を飲んでしまう程だ。

そして彼は普段下ろしている髪をアップにしてまとめているのだが、その白い首筋に汗が流れて落ちていくのが見えた。それがまた何とも言えない気を放っていて、俺の心臓がどくんと跳ねる。

普段は制服などの姿でいる事が多いからこそ、こういった出度の高い格好をされるとどうしても視線は奪われてしまうものだ。

ビーチにいた男達の視線もユキの姿に釘付けになっている。いつだって男達を虜にしているようなユキが、今は海限定の水著姿なのだ。白い砂浜に突然現れた神のような彼の姿に周囲の人達が魅了されてしまうのは當然の事だろう。

このまま人の多い所にいると々と大変そうな気がして、俺はビーチの隅っこの方に指を差した。

「とりあえず、あっちの空いている方にパラソル立てるか。後はレジャーシートを敷いて、それから二人で海水浴だな」

「分かりました。それでは移しましょう」

俺はユキを連れて空いている砂浜の方へと歩いていく。浜辺の足音はさくさくとして気持ちが良い。波の音が聞こえるくらい靜かな場所に著き、俺はカラフルなビーチパラソルをその場に立てた。その下にシートを敷いて準備を整える。

それじゃあ早速、一緒に海水浴だ、なんて思っているとユキが俺の手を取った。

「晴くん、海へる前に一つお願いしても良いですか？」

「お願いって……まさか、日焼け止めを塗ってしいとか？」

「そのまさかです。でもこれ本當に切実なお願いで、他は綺麗に塗ったんですけど、背中だけは一人じゃどうしても上手く濡れなくて」

「ほ、ほんとに良いのか？　直接にっちゃう事になるけど……」

「晴くんにられるのは構いませんし、変に日焼けしちゃうと後が大変なので」

「確かにまあ、その通りか」

ユキの白くき通るような綺麗なが、背中だけ変に日焼けしてしまう姿というのは確かに俺も見たくない。彼のお願いを聞いて、ここはしっかりと塗ってあげるべきだろう。

そのお願いを了承する俺と喜んでくれるユキ。

彼はレジャーシートの上でうつ伏せになって背中の留めを外す。わになった艶やかな背中、腰からおにかけてのラインに思わず目が釘付けになる。

「晴くん、それではお願いしますね」

「あ、ああ……任せとけ」

俺はごくりと生唾を飲み込んで、渡された日焼けクリームを手でばした。らかなユキのにれる。彼の背中はとてもすべすべしていて、れた瞬間に鳥が立つほどに気持ち良かった。そのを手のひらでじながら日焼け止めを丁寧に塗り込んでいく。

するとユキは突然びくりとを震わせて聲を上げた。

どうやら背中をでられるくすぐったさに耐えられなかったようで、俺は慌てて手を離した。

「わ、悪い。塗り殘しがあると駄目だと思って」

「くすっぐたいですけど、とっても上手ですよ」

そう言ってユキは潤んだ瞳で俺を見つめてくる。まるで続きを懇願しているかのような目だった。俺はもう一度クリームを手に取って、優しく背中全に塗り込んでいく。その度に彼は気持ち良さそうにうっとりとした表を見せる。

「ずっとこうしてもらいたいくらいですね……とても幸せです」

確かに俺もずっとユキの背中をっていたかったけど、それだと海水浴どころではなくなって日が暮れてしまうかもしれない。ユキののり心地は我を忘れるくらいに気持ちの良いものだったから。

「よし……塗り終えたぞ。これなら大丈夫なはずだ」

「ありがとうございます、晴くん。それでは海水浴を楽しみましょう」

ユキはにこりと微笑んだ後、背中の留めを付け直す。

これで準備は整った。

俺は彼と一緒に波打つ海の向こう側へと歩いていく。

ユキとの初めての海水浴が始まった。