《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第1話、文化祭準備①
夏休みに出された大量の課題は毎夜開かれるユキと一緒の勉強會でしっかりと終わらせたし、お盆には俺もユキも一度実家に戻って親へ顔を見せてきた。
久しぶりに會った父さんからは『実家に居る時よりも顔が良い』と言われて、その時はユキの作ってくれる手料理に謝したものだ。ユキの方も俺との同棲生活は問題無いという判斷を親からしてもらえたようで、今も変わらずマンションの一室で生活を共にしている。
そして楽しかった夏休みはあっという間に過ぎ、新たな學期の始まりを告げる始業式が行われた。
夏休みを明けて一學期の頃と全く違う秋奈の姿にクラスメイトの皆は驚いていた。地味で大人しい印象だった黒縁メガネの三編み子が、ばっさりと髪を切って眼鏡を外して可らしい素顔を見せて、その姿を見た生徒達は黃い聲を上げる。
クラスに新たなアイドルが誕生したなんて聲も聞こえてきて、彼の周りには大勢のクラスメイトが集まった。生徒に囲まれるなんて初めての経験をした秋奈はとてつもなく照れていて、恥ずかしがるあまり俺の後ろに隠れて小さくなった時はその可さに俺の心臓も跳ねてしまった程だ。
こうして新たに始まった二學期ではあるが、俺達の繋がりに大きな変化はない。ユキと秋奈の二人に囲まれた學校生活は以前と変わらず幸せで楽しいものだった。
そんな俺達のもとに新たなイベント『文化祭』の足音が近付いていた。
俺達の教室は今、文化祭で一何の出しをするのか、その話題で盛り上がっていた。今日はその出しを何にするかをホームルームの時間でたっぷり話し合い、それぞれがやりたい案を出していく。それを黒板にまとめて多數決というのが一連の流れだ。
ホームルームが始まる前から既にクラスメイトが集まっている。その中心にはユキと秋奈の姿があって、彼達を囲みながら話をしている最中だった。
「ねえねえメイド喫茶なんてどう? 白鳩ちゃんと黒さんのメイド服姿とか見たくない?」
「見たい見たい。やっぱりメイド喫茶にしちゃう?」
「お化け屋敷も捨てがたい。來る人を驚かせたいものだ」
「二人のお化けの仮裝も良さそうだよねー」
「僕の分析ではスイーツ喫茶がおすすめです」
「確かにそれも良い案ね。チョコバナナとかなら作るのも手間かからないから良さそう」
と言ったじでそれぞれがやりたい容を話し合っている。
そして彼らが期待しているのはユキと秋奈だ。球技大會の時もユキの活躍を見ようと生徒達は育館に押しかけてきたし、新學期から新たな星が誕生したと秋奈を見に他のクラスの生徒達が押しかけてきた姿を何度も見た。
彼達がいれば文化祭の出しは功するだろうとクラスメイトは皆そう思っていた。確かにユキと秋奈のメイド服姿となればかなりの集客力がありそうだし、容がどんなものであれ二人の手作りスイーツとなれば彼のファンである生徒はこぞって集まると思う。お化け屋敷だってユキと秋奈に驚かされたいと大行列が出來そうだ。
ただ問題があって、それはクラスにとって重大すぎるものだった。
「ごめんなさい、皆さん。実はあたしクラスの出しに參加出來ないと思うんです」
ユキの言葉に教室はしん、と靜まり返る。
彼は申し訳なさそうに説明を始めた。
「実は二學期にってから生徒會を通じて、とある企畫に參加してしいとお願いされて。々とお話をしたうえでそちらの方を頑張りたいと思っているんです。盛り上がっているところなのに……ごめんなさい」
その話を聞いていて秋奈も何か心當たりがあったらしく顔を上げる。
「立夏が言っていたね。今年の文化祭、生徒會が育館貸し切りで大きな事をすると」
「そうですね。容を口外する事は出來なくて、當日までのお楽しみといったじなのですが……折角の機會で皆さんが々な企畫を考えてくださってるのに、肝心のあたしが參加出來なくてすみません」
「実はボクも立夏から生徒會の手伝いを頼まれていてね。いつ話そうか悩んでいたんだけど、白鳩さんが言ってくれた今はっきりさせた方が良さそうだ。ボクもクラスの出しに參加するのは難しいかもしれない」
俺は頭を下げるユキと秋奈の援護に回る。
「生徒會の頼みっていうなら仕方ないさ。ユキと秋奈と一緒に文化祭で出しが出來ないのはクラスのみんなも殘念かもしれないけど、ユキと秋奈の二人が生徒會主催の大きな企畫に參加出來るっていうのなら俺はそっちを応援するよ」
「そうね。白鳩さんと黒さんをうちのクラスだけで獨占しちゃうのは勿ないわ、二人ならもっと輝ける舞臺があるはずだもの。私もそっちを応援するわ」
「おれも応援するよ。白鳩ちゃんと黒ちゃんが居れば功間違いなしだって思ってたけど、生徒會の大きな企畫に參加するなら譲るしかないなあ」
「うんうん。おれ達でクラスの出しは功させるから、二人はその企畫を頑張って!」
クラスの出しはユキと秋奈が居なくても功させる。
そんな容に話がシフトしていくのを聞いて、ユキと秋奈の二人はほっとをで下ろしていた。
そして俺はその話を聞きながら、ユキと秋奈が參加するという生徒會の大きな企畫の容が気になっていた。一何をするんだろう、育館を貸し切って行われるというそのイベントの容を想像するも何も思い浮かばない。
ユキにこっそり聞いてみても「晴くんにも緒なんです、ごめんなさい」と固く口を閉ざしてしまう。秋奈からも同じ答えが返ってきた。
果たして文化祭で一何があるのだろうか。
俺の中で期待が高まるなか、ホームルームが始まるのだった。
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