１．勇者パーティー追放

俺の名前はアリアケ。アリアケ・ミハマ、18歳の男だ。

このグランハイム王國で冒険者をやっている。

いや、やらされていた、というべきかな。

見解の相違はあるかもしれんが。ふ、と俺はの端をつりあげた。

ここは冒険者ギルドの一角。そして周りにはいわゆるパーティーメンバーがいる。どいつも俺を親の仇と言わんばかりの目で見てくる。見解の相違というのはこれだ。今俺は、役立たずというレッテルをられてパーティーからの追放を宣言された。

だが、それで俺の心が騒ぐわけはない。なぜなら、

「馬鹿が、それは俺のセリフだ」

心底馬鹿にしきったじで口にした。

いや、本當に馬鹿にしてしまったので、正直な想を吐してしまった、というほうが正しい。

噓を吐くのが苦手なのだ、俺は。偽ることが。

だが、その真実を言った言葉に、パーティー・・・いや、元パーティーと言った方が適切だろう。俺がもはや彼らをパーティーメンバーとは認めていないのだから・・・。ともかく、俺の真実の言葉に、彼らは、

「なっ⁉」

驚愕するとともに、次は怨嗟とも言うべき視線を向けて來た。

俺はまたしてもをつりあげてしまい、

「ふ」

微かに笑ってしまった。だって、これではどちらが追放を宣言されたのか分からないではないか。その稽さに思わず笑みをこぼしたのである。

「何を笑ってやがる！　アリアケ！　お前は今の狀況が分かっているのか⁉　追放だ。お前はこの栄えあるビビア勇者パーティーを追放されたんだぞ！　この俺、王國指名勇者ビビア・ハルノアによって！」

そう絶したのは、ビビアという、俺と歳の頃は同じの男だ。聖剣ラングリスに認められたことから最も魔王討伐に近い男と言われている。

「そうよ、そうよ！　ビビア様に謝りなさいよ！　アリアケ！　単に私たちの馴染ってだけでおこぼれに預かった棚ぼた荷運び男！！」

次にんだのは赤の、デリア。拳闘士。魔力でを強化し、また「祝福された拳」による防不可攻撃のスキルを持つ無敵のファイターと名高い。

こいつも俺と歳は同じくらい。というか、パーティーはあと3名いるが、そいつらも全員同じ年齢だ。というのは、何せみんな同じ村の馴染だからな。

殘り3人も同じことを言ってきた。

「確かにお前の存在は俺たちパーティーの連攜を著しく損なってきた。勇者ビビアの判斷は正しい」

盾役のエルガー。たくましいを強化して戦うファイタータイプ。ともかく無盡蔵の力値と鋼の防力を持ち、魔法耐も他の追隨を許さないと言われており、王國の盾との譽れも高い。

「ま、どうでもいいじゃない。こんな使えない奴。さっさとここでお別れしましょうよ、ね、勇者様♡」

魔法使いのプララ。金の巻きが特徴。魔法のアレンジが得意であり、魔力量が1萬を超える。魔王すらそれほど強大な魔力量は持たないと噂されており人類の切り札などと言われているらしい。

そして最後に、

「とうとう來るべき時が來てしまったのですね。長かった・・・どれだけこの時を待ちんでいたことか・・・。これも神の思し召しですね」

「はっ、アリシアにすらここまで言われるとはな！」

「それこそ神の託宣というものよ、分かったの、アリアケ！」

聖の言葉をかさに著て、勇者ビビアと拳闘士デリアが聲高にんだ。

・・・大聖アリシア。

しい長い金髪と碧眼。神々しいまでの貌とまさに神の祝福がもたらす福音により常人には持ちえないオーラを普段からまとっている。ほとんどの回復魔法がなかば伝説と化したこの時代の中で、半ば蘇生魔すら使いこなす彼はまさに伝説級の聖と言われている。この國どころか世界中にその名をとどろかす偉人的存在。

そんな聖ですら俺のパーティー追放を喜んでいるようだ。微かに笑みすら浮かべている。俺を追放できることがそれほど嬉しいということなのだろう。

と、俺と目が合うと、すぐにプイと、笑みを消し視線をはずした。

やれやれ、嫌われたものだな。特にデリアとプララの態度は、勇者であり、ひいては権力者であるビビアにゾッコンといった様子だ。

だが、なんだか、うん？

ちょっと俺は首を傾げた。ひるがえって、アリシアの臺詞にどこか微妙な違和をじたのだ。

何というか、一人だけが違ったような・・・。

ま、そんなことはどうでもいいか。

俺は心ため息をつく。何せこの大聖アリシアが、恐らく俺を一番嫌っているからだ。

例えば、今のように俺とは目も合わせないし、會話もすぐに切りあげようとする。話していると顔を赤くしてすぐに怒るし、俺が行しようとすると信頼していないのかすぐに止めてくる。それに何より、常に、どんな時でも、いついかなる時も俺を追うような監視の目を向けてくる。例え冒険をしていない時のプライベートの際にだって、時折監視の目をじるくらいなのだ。完全にまったく信用されていないのだろう。

やれやれ、まったく枚挙にいとまがないとはこのことだ。

なぜこれほど嫌われているのか分からない。だが、ともかくこのアリシアこそが、俺を一番嫌いに嫌っていることは間違いないのだ。そう、これは完全に間違いはない。なぜなら、俺の勘はよく當たるからな。

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