《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》35.一方その頃、勇者ビビアたちは⑬ ~勇者たちは戦を立てようとする~
結構細かく直したので、お時間のある人はもう一度読んでいただけると幸いです。(8/23)
35.一方その頃、勇者ビビアたちは⑬ ~勇者たちは戦を立てようとする~
大森林を順調に踏破した俺たちは、ワイバーンが居付いた湖のほとりまでやって來た。
茂みからその様子をこっそりと眺める。現在、討伐対象のワイバーンが一匹、ほとりでくつろいでいるようであった。
「さて、勇者様、作戦タイムですね。陣形とか々確認しましょう」
ローレライがまじめな顔で言った。
だが、俺はふふんと鼻を鳴らすと、
「は、そんなものは不要だ」
そう言って首を橫に振る。
「・・・えっ?」
ローレライは想像以上に驚いているようで、唖然とした表をした。
俺は嘆息しつつ、
「たかだかワイバーン一匹程度、何とでもなる」
そう言うと、
「ふふふ、その通りですわ。私のナックルで吹っ飛ばしてさしあげます」
「防は任せておくといい。こちらに攻撃して來たら俺が引きけよう」
「私のファイヤーボール見せてあげちゃうから!」
デリアたちもそう聲を上げた。
しかし、
「ま、待って。待ってください!」
なぜかギョッとした様子でローレライが言う。
「その方針には反対です」
はっきりと難を示したのである。
「へ?」
まさか明確に反対されるとは思わず、知らず唖然とした聲を出してしまう。
が、何を言われたか理解すると、
「いきなり何を言い出すんだ! 獲は目の前だぞ! あとはヤるだけだろうが!!」
ここまでの道程で散々な思いをした俺は、そのストレスから、つい怒りに任せて怒鳴り散らしてしまう。
だが、
「で、でも・・・」
ローレライはおずおずとしながらも、はっきりと意見を言った。
「もちろん勇者様たちなら楽勝の敵かもしれません。出発前の事前打ち合わせはしました。でもでも、だからこそ現場に來たときにもう一度考えなくては。絶対にイレギュラーが発生するのが冒険なのですから、想定と現実では絶対に差異がでます。実戦前にもう一度、々なケースを想定しておかなくてはなりません。それこそ、冒険者ギルドで最初に習うことでもありますし・・・」
俺はその言葉を「ふん」と鼻で嗤い、
「イレギュラーが起こるのは當たり前だ。だが、俺の手にかかればどんな事態であろうとも恐るるに足らん。フッ」
そう言い切る。
しかし、ローレライは逆にその言葉にキョトンとして首を傾げると、
「どうして、今回に限ってだけは、計畫を立てないのですか?」
そう言ったのである。
「・・・え?」
俺は何を言われたのか分からず、ポカンとする。
「いえ、前はとても緻な計畫を立案されてから、戦闘に挑まれていたではないですか?」
その言葉に、
「そ、そうだったかしら?」
「いや、俺にはそんな覚えは・・・」
「あたしも記憶にないんだけど・・・」
デリアたちは困するが、
「いえ、立てられていましたよ」
と、なぜかローレライが斷言する。
俺たち勇者パーティーが、反対に全員顔を見合わせて沈黙してしまう。
「勇者様たちに、こんな當たり前のことを言うのは、本當に今更かとも思いますが・・・」
と、ローレライは続け、
「クエストと言うのは個人の力だけでし遂げられるほど単純なものではありません。むしろ、個々人の力というのは、正しい戦があって初めて活きるものです。ゆえに、個人の力というのは、どちらかと言えば二の次だと、ギルドでは習いますよね?」
「へ?」
「個人の力が二の次って・・・」
「そ、そんなことあるまい! この鋼のの防壁を突破できる敵はいない!」
「私のファイヤーボールを馬鹿にするの!?」
「へ? いえいえ」
ローレライは淡々と首を橫に振ると、
「皆様の力を過小評価しているわけではないんです。単なる一般的な常識論ですよ。冒険者の中で戦計畫がどれほど重要視されているかお伝えしたかったのです」
「それに」と続ける。
「そもそも勇者パーティーがここまで戦って來られたのは、そして評価されている理由は、その戦計畫の緻さにあったからじゃないですか? だから、なぜ今回に限って、作戦を全く練らずにボス戦に挑むのかと々理解できなかったのです」
「は? 戦が評価????」
俺はポカンとする。何を言っているんだ?
「戦計畫?」
「緻?」
「それで評価って・・・。は、初耳なんだけど?」
他のメンバーも同じ反応をした。
だが、そんな俺たちの反応に、
「え?」
ローレライが逆に驚いていた。
「そんなはずありません。一緒に旅をさせてもらった時もそうだったじゃないですか」
ローレライは思いだすようにしながら言う。
「あのベヒーモス討伐。かのモンスターは最初冷気に弱いとされていましたが、追い詰めると形態変化し、様々に弱點を変える難敵でした。しかし、そんな難敵であっても、事前に観察することで質を分析し、多様な戦を事前に準備することで対応され、ついにかのベヒーモスを打倒したのです。あの戦いで勇者パーティーは戦巧者《いくさこうしゃ》の評判を得ましたよね。そして、もしも、あのたくみな戦シミュレーションがなければ、間違いなく全滅していたでしょう」
「そ、そうだったなぁ!」
俺はたまらず、ごまかすように笑いながら言う。正直、そんなことがあったのか、ほとんど記憶に殘っていなかった。
だが、その時、ローレライは急に首を傾げて、
「あれ?」
と言った。
「あれ・・・あれ・・・? でも・・・確か・・・、そう言えば、あの時はアリアケさんが各種耐のある武や防を持ってきていたんですよね」
「!?」
俺はその言葉に目を剝く。
「あと、それに・・・、あの時も々なケースについて、アリアケさんが説明していましたね。現場に到著してから々な可能をブリーフィングされていました。その時、皆さんは、うるさそうなお顔をされていましたが・・・。あれ? あれ? あれれれれれ?」
ローレライは混したとばかりに首を傾げる。
「そのアリアケさんが、今はいない・・・」
ハッとして、大きな目をまん丸にした。
そして、ポンと手を打ち、
「も、もしかしてアリアケさんがいないから、勇者様たちは冒険が下手くそになっているのですか?」
などと言ったのである。
それはただ純粋な疑問とばかりに、そう言ったのであった。
その言葉に、俺たちはピシリとその場に凍り付いたのである。
「面白かった!」
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