《冥府》エピローグ
無事に現世へと帰還を果たした彼らだったが、第2小隊長小田一尉は肋骨を數本骨折。石森二尉副小隊長、塚崎小隊陸曹と各班長は軽傷。隊員たちは重軽傷者合わせて10名弱。
意識不明だった板橋二曹が後に息を引き取ったため、死者は合計で6名となった。
説明不能な事態のため、族には演習中の地り発生による行方不明と報告。
関係者以外の立ちれない場所である事が幸いし、真実は隠蔽された。板橋二曹のを土塗れにして族に顔合わせを行った事で、地りに対する信憑が高まったのも事実である。関係者が一切の口を噤んだおで、詳細が語られる事もなかった。
後日
禮服にを包んだ第2小隊の隊員たちが、あの社を前に集まっていた。
「始めてよいか」
「お願い致します」
白裝束をに纏った無量塔氏が、大麻を持って社の前に立つ。そして、あの日と同じ言葉を唱え始めた。
山に座す我らの三神主
鎮まりたまへ
我らを導きたまへ
嘗てのやうに
穏やかにあられることを
無量塔氏が唱え続ける間、別に設けられた祭壇で焼香が始まった。向こう側で亡くなった隊員たちの追悼も兼ねているのだ。
唯一、こちら側で死んでの殘った板橋二曹へも、同じように追悼の儀式が行われる。
一通りの儀式が終わり、ささやかな宴が開かれた。その中、塚崎は小田を連れ出して、小隊が鬼と遭遇したあの場所を目指して歩き出していた。
「どうした、陸曹長」
「々、見て頂きたいがあります」
山を暫く歩き続け、2人はあの場所に辿り著いた。金にる鬼の目を見た、あの場所だ。
「ここなんですが……」
草むらへ分ける塚崎の後を、小田は追った。そこには、何かで押し潰されたような丸い跡が地面に殘っている。
「これがどうしたって言うんだ」
「ここは、距離的に考えて鬼が我々を睨んでいた地點です。そしてこの、何か気付きませんか」
小田は暫し、考え込んだ。だが、そこから自然に答えは導き出された。
「……まさかこれは、鬼が持っていた棒か?」
「恐らくそうです。あの瞬間、鬼がこちら側の世界で実化していた証拠です。そう考えると、今さらですが恐怖が押し寄せて來ませんか」
塚崎の言う通り、薄ら寒いをじた。井上が言う「空間が捻じ曲がったような気がした」は、向こう側とこちら側の空間が合わさった瞬間だったのだろ。そして恐らく、向こう側の同じ場所にもこの形跡はある筈だ。
最も、あの世界は土地神と天導乃神が消し去ってしまったので、何も殘ってはいないだろう。
「第3小隊の報告書を見て、ずっと疑問に思っていました。これが何なのか。よくよく考えれば、答えは簡単だったんですがね」
「……荒魂乃神は、本當に消え去ったと思うか」
「止めましょう。人がそう思えば、神はそこに存在します。八百萬と同じように、居ないと思えば干渉もして來ないでしょう」
「そういうものか……」
思う所は々あるが、2人はそれ以上考えるのを止めた。何所かで、荒魂乃神に戻った鬼が見ていない事を願いながら、山を降りて行った。
晩年、特殊救難団を退いた井上がこの験を基に一冊の本を執筆。完全に架空の話であるとしながらも、真に迫る容や描寫でしだけ話題になったがそこまで売れはしなかった。しかし陸自部ではその詳細な描寫が好評を呼び、數多くの隊員たちが目を通す存在となる。駐屯地宿舎のロビーや食堂の本棚に必ず1冊は備えられており、幹部から高等工科學校の生徒にまで知れ渡った。
この件に関する報告書は、関わった人間全てが退するまでの間、連隊長室の金庫へ厳重に保管された。その後に、無量塔氏の曾孫がけ継いだ神社へと奉納されている。
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