《【10萬PV!】磁界の王はキョンシーへ撲滅を告げる》⑤ 貍腹のキョンシー技師
*
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
キキィ。シルバーのファミリーカーがとあるビルの前に停まった。
運転手は田中和行三十七歳。妻と一人の娘と二人の息子と暮らす五人家族の大黒柱だ。
後部座席にてホムラを膝枕して眼を閉じていたココミはブレーキ音に瞼を開ける。
クラクラ。ココミの頭は眩み、きは緩慢だ。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
「こちらですよ、シカバネ町のキョンシー研究施設は」
「……」
返事はせず、ココミはファミリーカーのドアを開けて外に出て、ずりずりとホムラを抱えて共に外に出る。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
「すー、すー」
ホムラは未だ眼を覚まさず、眩暈と姉の重さにココミはふら付いた。
田中和行に頼みホムラを支えてもらう手もあったが、ココミはそれをしなかった。
ホムラにれるのはできれば自分だけが良かったからだ
「では、さようなら、お互い良い夜を」
ペコリと田中和行は頭を下げて穏やかにアクセルを踏んでこの場から去っていく。
ブルルルルルルルル。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
ココミとホムラが居るのはシカバネ町東部と中央部の境目。
シカバネ町東部はオフィス街と教育施設、そして病院設備が集合している地域であり、中央部近くにあるビル群はキョンシー関連の研究施設が集中していた。
ココミはホムラの治療をする為にここへ來ていた。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
ズキズキズキズキ! 頭痛がココミを襲うが、耐えられない程ではない。
「スー、ハー」
ココミは大きく息を吐く。それで頭の痛みや眩暈が治まる訳ではない。
これはホムラの癖だ。しい姉は何か行を起こす時、良く深呼吸をしていた。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
「!」
再びココミはPSIを発した。
ブワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
先程よりも遙かに多くのイトがココミの頭から生まれ、周囲へ巨大な巣を作る。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
巣は繭となって一帯にあった研究棟のビル群全てを包んだ。
研究棟とは往々して不夜城であり、中には多數の人間達が居る。
イトは隙間からり込み、そこに居た研究員全ての頭へと屆く。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
キョンシーの研究と言っても分野は々とある。ココミが探すのは、ホムラに必要なのはその全てで、尚且つホムラを治療できるキョンシー技師だ。
――絶対に、居る筈。
ここで、ココミは一つ勘違いをしていた。研究施設と言うのはあくまでより良いキョンシーを研究開発する施設であって治療や修理を行う場所ではない。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
故に、普通の町であったならばココミが求める人材はここでは見つからない。
だが、ここはシカバネ町であり、キョンシー犯罪対策局がある町だ。
連日連夜キョンシーが破損する組織が持つ研究施設、修理設備が整った稀有な研究棟が此処にはあった。
*
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
「おおい! やっべえな! 何でまだ稼できてんの!? すげえすげえ! え、え? 解剖して良い!? 大丈夫絶対元に戻すから!」
「だめ」
キョンシー犯罪対策局が保有する六階建ての研究棟の六階にて、マイケル・クロムウェルが興しながらキャスター付きベッドに寢かされたホムラを見ていた。
スキンヘッドがキラリとり、三段腹を揺らしながら瞳を輝かせている。
興したマイケルだったが、ホムラのを診する手は繊細そのものだ。
既にホムラの全のスキャン結果は済んでいた。脳と蘇生符の検査結果を見てマイケルは驚愕に眼を丸くしているのだ。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
検査結果の何れもがホムラが未だ稼している事を否定するだった。
にも関わらず、ホムラは息をして、生より低いとは言え溫を持っている。
その事実にマイケルは衝撃を覚えたのだ。
――どうでも良い。
マイケルのなど、ココミには興味の無い事だ。
「治して」
「おいおい、これは難しいぞ。壊れかけ、というか壊れてるパーツが多過ぎる。脳なんてほとんど不良品だ」
検査結果とホムラのの狀態を見比べながらマイケルは顔を顰める。
それほどまでにホムラを治すのが難しいと言う事だ。
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
クラッ! 眩暈に襲われ、ココミはホムラが寢かされたベッドの脇に肘を付いた。
――そんな答え求めてない。
「おいおい、大丈夫か? 何処かに座った方が良い。三半規管に異常が出ている可能がある。待ってろ、後で検査してやる」
「治して」
「だから、そのためにお前も検査してやるって――」
「おねえちゃんを、治して」
ココミが知れた限り、ホムラを治せる可能が一番高いキョンシー技師はマイケルだ。
蘇生符の奧のココミの眼が真っ直ぐにマイケルの眼と當たる。
「あなたは〝治せない〟とは言ってない」
その言葉にマイケルはバツが悪そうに頭を掻いた。
「誰が直せないって言った? お前は知らないかもしれないけど、俺はシカバネ町一のキョンシー技師だぜ」
――知ってる。
マイケルはペシペシと自分の頭を叩いた後、眼のを変えた。
「時間は掛かるぞ。脳の修理が一番の難所。早くて三ヶ月。長くて一年だ」
「もうし早くはできない?」
「無理だ。そもそも直すだけで手一杯。時間を早める余裕は無い」
マイケルの言葉が本心だとココミには分かった。
「……分かった。お願い」
「はいよ。任せな」
マイケルはガラガラとベッドをかしてホムラを修理室と書かれた部屋へ連れて行く。
それに付いて行きながらココミは俯く。
長くて一年、早くて三ヶ月。
――それじゃあ、
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
【――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――】
ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ!
クラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラクラ!
強烈な痛みと眩暈がココミを襲う。
――私が持たない。
ココミは無表のままギリッと奧歯を噛み締めた。
50日間のデスゲーム
最も戦爭に最適な兵器とはなんだろうか。 それは敵の中に別の敵を仕込みそれと爭わせらせ、その上で制御可能な兵器だ。 我々が作ったのは正確に言うと少し違うが死者を操ることが可能な細菌兵器。 試算では50日以內で敵を壊滅可能だ。 これから始まるのはゲームだ、町にばらまきその町を壊滅させて見せよう。 さぁゲームの始まりだ ◆◆◆◆◆◆ この物語は主人公井上がバイオハザードが発生した町を生き抜くお話 感想隨時募集
8 151俺の幼馴染2人がメンヘラとヤンデレすぎる件
幼稚園の時に高橋 雪が適當に描いたナスカの地上絵がメンヘラとヤンデレになってしまう呪いの絵だった。 それからと言うもの何度も殺されかけ雪は呪いのかかった彼女達とは違う中學へ入った。 そしてしばらくの月日が経ち…… 一安心した雪は高校生になり入學式初日を終えようとする。 「……?」 確かに聞き覚えのある聲がしたのだが隣にいた彼女はあったことも見た事もないはずのものすごく美人で綺麗な女性だった。 そして雪は彼女に押し倒されると聞き覚えのある名前を告げられる。 雪の高校生活はどうなってしまうのか!? 彼女たちの呪いは解けるのか!?
8 84身代わり婚約者は生真面目社長に甘く愛される
ごく普通のOL本條あやめ(26)は、縁談前に逃げ出した本家令嬢の代わりに、デザイン會社社長の香月悠馬(31)との見合いの席に出ることになってしまう。 このまま解散かと思っていたのに、まさかの「婚約しましょう」と言われてしまい…!? 自分を偽ったまま悠馬のそばにいるうちに、彼のことが好きになってしまうあやめ。 そんな矢先、隠していた傷を見られて…。 身代わり婚約者になってしまった平凡なOL×生真面目でちょっと抜けている社長のヒミツの戀愛。
8 59星乙女の天秤~夫に浮気されたので調停を申し立てた人妻が幸せになるお話~
■電子書籍化されました レーベル:アマゾナイトノベルズ 発売日:2021年2月25日(1巻)、4月22日(2巻) (こちらに投稿している部分は「第一章」として1巻に収録されています) 夫に浮気され、結婚記念日を獨りで過ごしていた林原梓と、見た目は極道の変わり者弁護士桐木敬也が、些細なきっかけで出會って、夫とその不倫相手に離婚調停を申し立て、慰謝料請求するお話。 どう見ても極道です。本當にありがとうございました。 不倫・離婚がテーマではありますが、中身は少女漫畫テイストです。 ■表紙は八魂さま(Twitter→@yadamaxxxxx)に描いて頂きました。キラキラ! →2021/02/08 井笠令子さま(Twitter→@zuborapin)がタイトルロゴを作ってくださいました。八魂さまに調整して頂き、表紙に使わせて頂きました~ ■他サイトに続編を掲載しています。下記をご參照ください。 (この作品は、小説家になろうにも掲載しています。また、この作品を第一章とした作品をムーンライトノベルズおよびエブリスタに掲載しています) 初出・小説家になろう
8 63男がほとんどいない世界に転生したんですけど
部活帰りに事故で死んでしまった主人公。 主人公は神様に転生させてもらうことになった。そして転生してみたらなんとそこは男が1度は想像したことがあるだろう圧倒的ハーレムな世界だった。 ここでの男女比は狂っている。 そんなおかしな世界で主人公は部活のやりすぎでしていなかった青春をこの世界でしていこうと決意する。次々に現れるヒロイン達や怪しい人、頭のおかしい人など色んな人達に主人公は振り回させながらも純粋に戀を楽しんだり、學校生活を楽しんでいく。 この話はその転生した世界で主人公がどう生きていくかのお話です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この作品はなろうやカクヨムなどでも連載しています。 こちらに掲載しているものは編集版です。 投稿は書き終わったらすぐに投稿するので不定期です。 必ず1週間に1回は投稿したいとは思ってはいます。 1話約3000文字以上くらいで書いています。 誤字脫字や表現が子供っぽいことが多々あると思います。それでも良ければ読んでくださるとありがたいです。 第一章が終わったので、ノベルバでこの作品を更新するのはストップさせていただきます。 作者の勝手で大変申し訳ないです。 続きを読みたいと言う人は……是非カクヨムなどで見て欲しいです。
8 197婚約破棄された『妖精の取替え子』
『妖精の取替え子』であると伯爵家で信じられていたセシルは、療養という建前で実は領地で虐げられていた。王太子の婚約者となったことで急遽王都の學園に來ることになったが、すでに戀人のいた王太子は、爵位の低いセシルを蔑んで馬鹿にする。そして、卒業パーティの日、セシルはとうとう婚約破棄を告げられた…。 虐げられていた少女が幸せになる物語13話。 ★完結しました。誤字報告本當にありがとうございます。 番外編3話追加しました。全16話です。
8 103