《【10萬PV!】磁界の王はキョンシーへ撲滅を告げる》⑥ いたい、いたい、いたい

***

――逃げられた。それでも良い。

あの場で霊幻を破壊できれば最高だったのだが、撃退は及第點である。

キョンシーからキョンシーへのPSIの譲渡。ココミの切り札だった。ココミの脳を中継地點として別の脳の報を無理矢理い付けるテレパシーをフル活用した荒業。

それは複數の脳を頭に流し込む作業に等しい。

験したことも無い強烈な痛みと眩暈の発がココミを襲った。

ズキズキクラクラクラクラクラクラズキズキクラクラクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズラクラクラクラクラクラクラクラクラクキクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズクラキズキクラクラクラクラクラクラクズキズキズキクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキクラクラクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキクラクラクラクラクラクラズキラクラクラクラクラクラ!

「ッあ」

頭を抑える。

ズキズキクラクラクラクラクラクラズキズキクラクラクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズラクラクラクラクラクラクラクラクラクキクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズクラキズキクラクラクラクラクラクラクズキズキズキクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキクラクラクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキクラクラクラクラクラクラズキラクラクラクラクラクラ!

螺子(いたみ)がココミのを食い破る。

プチ、プチ、プチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチ。

脳細胞が壊れていくのがココミには分かった。

――耐えろ(いたい)耐えろ(いたい)耐えろ(いたい)耐えろ(いたい)耐えろ(いたい)耐えろ(いたい)耐えろ(いたい)耐えろ(いたい)耐えろ(いたい)耐えろ(いたい)!

ココミは出來る限り急いで向こうに居る元エレクトロキネシストとの連結を解除する。

視界の先でエレクトロキネシストがドサリと倒れた。

だが、痙攣しながらもそのエレクトロキネシストが立ち上がり、ココミの元に戻ってくる。

まだギリギリで壊れていない。ココミを経由すればまだ立ち上がれるはずだ。

ズキズキクラクラクラクラクラクラズキズキクラクラクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズラクラクラクラクラクラクラクラクラクキクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズクラキズキクラクラクラクラクラクラクズキズキズキクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキクラクラクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキクラクラクラクラクラクラズキラクラクラクラクラクラ!

痛みは些かもマシにらず、図らずも周囲の心の聲を聞く余裕すら消えた。

――だめ(いたい)、だめ(いたい)だめ(いたい)だめ(いたい)だめ(いたい)だめ(いたい)! 壊れちゃう、壊れちゃ駄目!

ココミはもがいた。しでも楽な勢を探す為に。

戦いはまだまだ終わっていない。霊幻を一度退けただけなのだ。

既に狀況は〝詰んで〟いる。最低でも後三週間は耐え切らなければならないのに、もうココミは限界だ。

ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ!

ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ!

ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ!

視界がノイズで歪む。傍らのもう一のエレクトロキネシストと視界を共有する余裕が無い。

ココミの頭は計算する。自分の壽命はあとどれくらいだ?

答えは〝零〟。今、意識を落としたら二度とココミは目覚めないだろう。

「おこ、してっ」

ココミは砂嵐の中で傍らのエレクトロキネシストへ命令する。

エレクトロキネシストはココミのを支え、立ち上がらせた。

その筈だ、とココミは意識を保つ。三半規管はめちゃくちゃで何処が地面かも分からない。

僅かに自分のを抱える覚だけが頼りだった。

不快だ。

とても不快だった。

ホムラ以外の何かが自分のる事が、ただただ不快だった。

ズキズキクラクラクラクラクラクラズキズキクラクラクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズラクラクラクラクラクラクラクラクラクキクラクラクラクラズキズキ ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ! ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ! ズキズキズキズキラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズクラキズキクラクラクラクラクラクラクズキズキズキクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキクラクラクラクラクラクラクラズキズキズキズキズキズキズキクラクラクラクラクラクラズキラクラクラクラクラクラ!

ノイズ(いたみ)がココミを襲う。

自分にれてしいのはしい姉だけだ。

それ以外の全ては自分を傷つけるだけだ。

ココミが安心できるのはホムラのの炎に包まれている時だけだ。

「ちゃん、と、支えて」

四の五の言ってられない。

ギュウ。

隣のエレクトロキネシストがココミのを強く抱き締めたのが、ギリギリで分かった。

――気持ち悪い気持ちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるい。

吐き気はしないのに、ココミは自分を支えるエレクトロキネシストのキョンシーから離れたくてしょうがなかった。

しさ以外のに何故れなければならないのか。

そうしなければ、ココミのを守れないからだ。

「すー、はー」

息を深く吸って深く吐いて整える。何も楽にらない。気休めだ。

しい姉の姿を思い出すのだ。

ノイズ(いたみ)に慣れるのだ。どうせ無くなりはしないのだから。

まずは周囲の心の聲をまた聞こえるようにならなければ。

ココミはPSIへ意識を割く。ノイズ(いたみ)など無視する。

自分の生命線はテレパシーただ一つなのだ。

読め、聞け、世界の聲を。それ以外の方法を持っていないのだから。自分のを守るたった一つの武なのだから。

嵐の中で聲を聞け。テレパシーのイトを世界へばし続けるのだ。

ココミは眼を見開いた。ノイズの所為で満足に見えない視界。

「はぁ、は、はぁ」

何故だか、息がれている。空気など音聲言語以外に必要無いはずなのに。

フラフラフラフラフラフラ。世界が回っている。視界が安定しない。

急げ、急げ急げ急げ。悠長に回復を待っている時間は無い。そもそも回復なんてしないのだ。

さっきからどうにもならない狀況をどうにかしようとしているのに、狀況は好転しない。

自分一ではもうどうしようもないのだ。

だとしても、ココミは眼を見開いて、意識の蛇口を開いた。

「諦めて、たまるか」

世界へなんて執著は無いが、ホムラへの念はあった。

ココミは額の蘇生符ごと額を両手で押さえる。

もっと、もっともっともっともっと、テレパシーを!

世界を包め!

世界を繋げ!

この世の全ては自分のり人形と知れ!

キョンシーのPSIは結局の所思い込みの力だ。脳への負擔を度外視すればあらゆるPSIの可能は無限大。

ココミはもう一段階テレパシーを進化させる気で居た。

最早エレクトロキネシスでも防ぐ事は葉わない。そんな、最強最悪のテレパシーへ世界で唯一のテレパシストは自のPSIを昇華させようとしていた。

それは即ち、ココミが壊れる事を意味している!

「つ、な、が、れ!」

その直後だった。

――――――――――――――え?

鮮烈な『』がココミの全てを包み込んだ。

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