《【10萬PV!】磁界の王はキョンシーへ撲滅を告げる》⑧ 我が手に今一度寶石を
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――ココミ、ココミココミココミココミココミ! ああ! わたしのしいココミ! 世界の何よりも大事なココミ!
ホムラは階段を駆け下りていた。頭には最の妹の事しかない。
先ほどの轟音は何だ? 妹は何処に行った? まさか、戦ってはいないだろうか?
ココミのテレパシーは確かに強力だ。使い方とタイミングさえ合えば、國一つくらい落とせるだろう。
だが、ホムラはココミにテレパシーを使ってしく無かった。
ただでさえ、妹のテレパシーは的で脳をすり減らすだ。
PSI阻害用の首があったとしてもその的テレパシーは止められなかった。
そんな妹が能的にテレパシーを使ってしまったら、すぐに脳が壊れてしまうだろう。
「ココミ! ココミぃ!」
ホムラは五階を走り回り、ココミを探す。
ここが何処だかホムラは知らない。どうやら何かの研究所の様だった。
空室、空室、空室、寢かされた數名の人間とキョンシー。
「ココミは何処に居るの!?」
ホムラはキョンシーに詰め寄る。
「……」
部屋のキョンシーは無言のままだった。
自律型のキョンシーの様だったが、ココミにられている。
「ちっ!」
ホムラは強く舌打ちした。ココミがテレパシーを使ったのが明らかにったからだ。
――急げ、急げ、急げ急げ急げ! 早くココミの側に!
剎那の時間さえ惜しい。瞬きさえ邪魔だ。
全の細胞が恐怖している。
今この瞬間にもココミがこの世から居なくなってしまうかもしれない。
恐怖だった。これは恐怖だった。
足元からが干上がっていく。
錯覚だ。そんなは錯覚なのだ。
心臓は未だいている。は全を回っている。ただの恐怖、ワゴトニーだ。
「ココミ、ココミココミココミぃ!」
部屋を出て、五階の通路を抜けて四階へと飛び降りた。
「――」
そして、ホムラは息を飲んだ。
彼の最がボロボロの姿にって立っていた。
に傷が付いた訳ではない。だが、ホムラには分かっていた。
ホムラではない他のキョンシーに手を借りなければ立てないほどれた平衡覚。
痛そうに、苦しそうに、辛そうに、両手で頭を押さえるその姿。
駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ。
あの子が、最のあの子が壊れてしまう事だけは何があっても駄目なのだ。
ホムラはココミへ駆け寄り、全で全力で全霊でそのを力いっぱい抱き締めた。
「ココミ! 大丈夫よ! ここにわたしが居るわ! あなたのオネエチャンが居るわ! 安心してわたしの心だけを読んで聞いて考えて! お願いだから!」
ギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
手加減を消してホムラはココミを抱き締めた。背丈が全く同じの妹のキョンシー故の青白い顔が左橫にあった。
実際には十秒。で言うのなら永劫とも言える時間が流れ、その間ホムラのしいココミはずっと沈黙していた。
「大丈夫だから、ここにわたしが居るから! あなたの心を世界に広げないで! 世界の言葉を聴こうとしなくて良いから! わたしの言葉だけを聴いていて!」
ホムラはんだ。んなをかなぐり捨てたびだった。
その時、そっと、小鳥の様にココミの両手がホムラの背中に回された。
「!」
「お、ねえ、ちゃん?」
「そうよそうよそうよ! オネエチャンよ! あなたの、あなただけのオネエチャンよ! ああ、ああ、ああ、良かった良かった良かったわ! あなたはまだ話せるのね! 世界に居るのね! あなたとして心が殘っているのね! 大丈夫何でこんな事をしたの? 戦わないでって言ったじゃない。いえ、それは良いわ。早くここから逃げましょう。ここがどこだか分からないけど」
ホムラはココミを抱えて逃げようとした。ここではない何処かへ。自分達の桃源郷へ。自分達の未來がある場所へと。
けれど、そんなホムラのきをココミが止めた。
テレパシーを使った訳ではなくて、しだけ強く、ホムラの背中に回した腕の力を強くしただけだ。
それだけでホムラは、しい妹が何か言いたい事があると察し、即座に聴きの勢にった。
「なん、で、來た、の?」
あまりにも簡単な質問だった。
ホムラは混じりけの無い本音と本心を口にする。
「わたしがあなたの側に居たかったから」
「」
ホムラはココミが小さく息を飲んだのが分かった。
「それじゃ、だめ?」
意地悪な質問だろうかと、ホムラは思った。
ココミは首を橫にも縦にも振らず、ただ、ホムラのへ蘇生符ごと額を押し付けた。
「ココミ、逃げましょう。もっと遠くに、誰もわたし達を追って來られないくらい遠くまで逃げれば、きっとわたし達は幸せにれるわ」
「……」
ホムラはココミへと問い掛ける。自分達の逃亡は既に失敗していて、袋小路に追い込まれている事は理解していた。けれど、自分とココミが揃ってさえいれば、ココミが近くに居さえいれば、ホムラは何でも出來ると信じていた。
ココミは何も答えなかった。ホムラのに頭を押し付けたまま、その背中に回す腕の力を強くするばかりだ。改造をけていないココミの力はホムラと比べれは弱々しく、それがホムラにはおしかった。
ホムラはココミへと問い掛け続ける。
「ココミ、あなたとこうしてれ合えてとても嬉しいし幸せよ。でも、早くこの場から逃げないといけないわ。だって、きっとあなたをこんなにした敵がまた攻めてくるんでしょう? ええ、わたしが返り討ちにしてあげるわ。でも、一緒に逃げてしまえた方が、きっと良い事だと思うのよ」
もしもココミの敵が現れたら、ホムラは返り討ちにしようと思っていた。自分はパイロキネシストで、PSIは設置型、きっと何とかなる筈だった。
「……」
ココミは嫌がる子供の様に頭を押し付けるだけだ。首が僅かに左右に振れていた。
可らしい妹の頭をホムラはポンポンとあやす様に叩く。
「ね、ココミ、顔を上げて。その可い顔と綺麗な瞳をわたしに見せて」
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