《俺+UFO=崩壊世界》佳境
『クソ……がぁ!! 冗談じゃねぇ! 何だ、今の一撃は……!』
HA裝著者は、エントランスに大の字で仰向けになっていた。
ジンと熱が渦巻く様にして、が発する痛みに耐えているのだ。
言葉を発するだけで痛みを伴うともなれば、裝甲とナノスーツでさえ防げない莫大な衝撃が発生し、にダメージを與えた事になる。
『軍事用の……HAだぞ!? その裝甲を素手で砕くなんて……何だそりゃ』
HB仕様のレイルガンですら、HA-typeD-34:ゾルダートの裝甲は一撃では貫けない。
しかし、現実に自の部前面裝甲は全壊とまでは言わずとも大きく損傷し、こうして苦悶の聲を上げている。その事実に苛立ち、思わず罵倒が口から飛び出す。
『糞、クソ、くそぉ!! 殺す! コロシテヤル!! あの生意気ッ……っが?!』
HA裝著者が立ち上がろうとして、失敗した。
痛みが原因ではない。
急激に全が悪寒に包まれ、吐き気が込み上げてきていたからだ。
更には視界も揺れ始め、聴力さえも遠のき始め、冷や汗がを流れる。
『ちく……しょう!! 時間切れか?! やべぇ、このままじゃ殺される……!!』
今の狀態で、あの相手と戦って勝てるとはとても思えない。
しかし、此処から逃げようにもSBが切れた副作用で足取りが覚束ない。
ならば――仕方がない。
『く、くはは……! 負けて死ぬくらいなら……道連れにしてやんよ』
HA裝著者は覚悟を決め、破損した前面格納スペースを無理矢理にこじ開け、SBを取り出す。
直後、エントランスに開いたを通って沿矢がゆっくりと足を踏みれてきた。
「お、隨分と苦しそうだな。持病持ちだったか? それはお薬かな? 僕ちゃんってば、一人でお薬飲めるんだ!? 偉いでちゅねぇ」
『へっ……テメェは殺す。必ずだ。コイツを使えば、お前なんざ敵じゃねぇ』
煽ってきた沿矢に対し、HA裝著者はニヤリと笑みを浮かべてそう答えると首のソケットを開く。
そのままソレを突き刺そうとして――信じられない景が視界に飛び込んでくる。
「"ソレは"そうやって使うのかぁ。じゃあ、"俺も"使わせてもらおう」
『馬鹿な、テメェ……!』
沿矢が手にした"SBの容"を見て、HA裝著者は掠れた聲を絞り出す。
対する沿矢は先程の相手を見習ってニヤリと笑ってみせ、躊躇なく自の首元にそれを突き刺した。慌ててHA裝著者もソケットにSBを打ち込み、ナノマシンを投與する。
「は……ははは! なるほど、良いね! お前の強さが分かったよ! 確かにこれは凄い!!」
笑い聲を上げて興をにし、首元から容を離すと沿矢はソレを握り潰す。
先程の一撃で裝甲が砕け、その際に零れたSBの容をロッカールームで見つける事ができた彼は、今日一番の幸運に恵まれた。
『クソが……冗談じゃねぇ』
対するHA裝著者はSBが與える高揚すら消えうせ、ただ冷や汗と焦りを覚えるだけであった。
これで條件は対等になった。
傍から見れば、軍事用HAを裝著した者が有利だと誰もが思うだろう。
しかし――現実には沿矢だけが笑みを浮かべ、対する相手の表は強張っていた。
「ほら――行くぞ!」
そう沿矢が宣言した次の瞬間には、既にHA裝著者の真正面に居た。
咄嗟に迎撃の右拳を放ち、背部の腕を上から振り下ろして迎撃するも、沿矢はそれを薄皮一枚で回避する。
『舐めるなぁ!!』
遅れて放たれたHA裝著者の左肘が沿矢の顔面に迫るが、それすらも潛った形でかわされる。
腹部に潛り込んだ沿矢は右拳をフックの軌道で下斜めから放ち、脇腹に著弾させた。裝甲がない脇腹付近に著弾をけ、堪らずHA裝著者は息を零し唾を飛ばす。
『くそ……がぁ!!』
何とか痛みを堪えて右の膝を打ち上げると、沿矢の腹部に著弾……せずに左手で軽々とけ止められた。
『なんだと?!』
HA裝著者はその景に驚きを隠せず、僅かに膠著してしまう。
け止められた際に発せられた衝撃と音は大きなだったが、沿矢には何のダメージも見られない。
「まず一発!!」
その隙を見逃す筈もなく、沿矢は左膝を打ち上げ、け止めた左手と挾む様にして右足に打撃を叩き込む。
『ッぁ、糞が!』
右膝の裝甲が砕け、痛みが走る。
HA裝著者は何とか右足を下げて後方に飛んで距離を取ろうとしたが、追撃は當然止まらない。
沿矢も床を蹴り壊す程の衝撃を放ちながら、一気に薄する。
『何なんだよ、テメェはぁ?! 一どうなってんだ!!』
ヘルメットの中は荒い呼吸と罵倒で埋め盡くされ、脳は混に満ちていた。
「――はっ!」
それを聞き、沿矢が更に笑みを深める。
しかし、言葉ではなく拳で返事を返す。
沿矢は逃げる相手を追って一直線に加速し、右の直突きを放つ。
対するHA裝著者は左腕を咄嗟に振り上げ、側から外に弾く様にしてけ流そうとする。が、無理矢理捻じ込む様にして押し込まれ、無慈悲な一撃が容赦なく部に突き刺さった。
『がぁ……ッ!!』
部裝甲はその一撃で完全に打ち砕かれ、SBが収納されていた格納スペースも當然破損する。
堪らずHA裝著者は反的に右膝を打ち上げて迎撃し、懐に潛り込んできていた沿矢の死角からソレが脇腹へと迫った。
「おっと」
『ふざけんな……!』
しかし、それすらも危なげなくスウェーで回避される。
SBがもたらす時間の増加や反応速度、空間把握能力の向上は確かに計り知れない効果がある、何度も使用していた自分が一番それを分かっている。
けれど――!!
(遙かに異常だ、SBがどうとかじゃねぇ! 俺だって使用してるってのに、どうしてこうも一方的になる!?)
命を賭してSBを使用したのにも関わらず、防戦一方となっている。
自分はこの勝負に勝った所で死ぬか、廃人になる未來しか殘されていない。
だからと言って……!!
『負けられるかよぉ!!』
そこで、ようやくHA裝著者は攻勢に出た。
対する沿矢はそれを見ると、何と笑みを浮かべながら構えを解いて両腕を下ろす。
舐められたと思うと同時に怒りが沸いたが、これはチャンスだとHA裝著者は己に言い聞かせる。
『シネェ!!』
まずは左の鉤付きを沿矢に放つも、著弾と同時にを捻る様にして衝撃を逃がされる。
構わず、背部の右腕を真上から振り下ろしたが、左肘を瞬時に打ち上げられてマニュピュレーターを破壊された。
それでも怯まずに右のリードストレートを放つが、僅かに頬を掠めただけで終わる。
最後にを大きく回転させ、不意を突いた形で左の回転蹴りを放つも――屈まれて回避されてしまう。
『クソ……ッ!?』
瞬間、HA裝著者は恐怖した。
屈んだ沿矢はそのまま頭を前に下げ、両足に全力を込めて床を破壊する程の力を利用し、自の全を前面に高速で回転させ、エントランスに暴風を巻き起こしながら足をばして蹴りを放つ。
所謂、回し回転蹴りではある。
が、その発生スピードとカウンターとして使用した判斷力は並外れており、加えて沿矢の能力から放たれたその蹴りは技の領域を超え、兵並みの一撃となって相手を襲った。
――――!!!
ホテルのエントランスに、今日一番の轟音が響き渡る。
裝甲が砕けた音、床が弾けた衝撃音、ホテルが揺れた衝撃で巻き起こる微弱な揺れでが震え、小気味の良い音が鳴った。
『あっ、がぁ……! ほ、骨が……! クソ、痛てぇ……』
蹴りが著弾した右肩の部分を押さえながら、HA裝著者は地面に伏せたままだ。
抑えている部分にあった裝甲は大きく損傷して陥沒し、それが押し込まれる様にしながらナノスーツを裂き、骨を々に砕いてを深く裂き、深紅のが滝の様に流れ始めている。
『くそ、クソ! クソがぁ!!』
HAを素手で破壊し、此方が放つ攻撃も通じない。
まるで悪夢でも見ているかの様だ。
確かに自分は碌でもなく生きてきたさ。
見知らぬ誰かを襲い、殺し、奪い、犯し、そうやって生きてきた。
だって仕方がないだろう? 心が付いた頃からそれが當たり前で、そうする事でしか生きられなかった。他にを知らなかったんだ……!
けれど、そう……これが、その報いなのか――?
何時の間にか、HA裝著者の思考は戦闘の"ソレ"から逃避へのソレに変わっていた。
連続したSBの使用で中樞神経への刺激が過剰になり、反応速度や空間把握能力は既に衰えを見せ始めている。
それでも尚、諦めなければ沿矢に一矢を報いる事ができたかもしれない。
だが、HA裝著者は"狩る"立場から"狩られる"立場に陥った事で、戦意を既に喪失していた。
それは対等な條件で敵と戦った事の無い者が陥る癥狀とさえ言える。
しかし、それでも攻撃は止まらない。
まず背後の腕を力任せに引っこ抜かれ、続けて左腕を折られ、裝甲を失った右膝を容赦なく打ち砕かれた。
『いてぇ……痛い…………痛いんだよぉ! なぁ、もうやめてくれよ……。どうせ俺はSBの過剰投與で死ぬ。だから、もういいだろ? あと數十分もすれば死ぬから、最後くらいはゆっくり死なせてくれ……頼むよ』
遂に戦う事を放棄し、HA裝著者は後ずさりながらそう懇願する。
対する沿矢は黙って近づき、を容赦なく踏みつけ、逃走を止めた。
「……悪いね、俺は急いでるんだ。だから"今"殺す」
まるで友達との遊ぶ約束を斷る時の様なニュアンスで、沿矢はそう告げた。
親しげな口調にも関わらず、告げられた言葉の重さは間逆のソレ。
堪らず、HA裝著者は必死に口をかして延命を試みる。
『待てよ。待て待てまて!! こんだけ必死に頼んでるのになんだよ!! 人でなし! 屑! ゴミ野郎!! いつか、そう何時か罰が下るぞ!! あぁ、そうさ!! テメェみたいな化けが碌な末路を迎える訳もねぇ!! ひひひひ! そうだよ、その時になって今日の事を思い出せ!! 自分が殺した奴等の表じょ……っぶ!』
これ以上聞く気もないと言いたげにしながら、沿矢は右足の踵を無造作に振り下ろしてヘルメットごと頭部を潰した。
エントランスに靜寂が訪れる。
沿矢が足をかすと、"ぬめった"音だけが周囲に響き渡った。
「お前は思い出せたのかよ? 自分が殺した奴等をさ、勝手抜かすな」
そう吐き捨て、沿矢は深くゆっくりと息を零す。
SBが與える高揚は続いている。
けれども、中に漂う思いは何処となく沈んでいた。
「碌な末路を迎える筈もない……か。けど、まぁ……まだ先の話だろ」
気まずそうにしながら後ろ頭を掻くと、沿矢は直にその場から駆け出した。
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場所は変わり、ホテルの七階。
其処では藤宮達が必死の攻防を繰り広げていた。
『あの共を殺せぇ!! 一人も逃がすな!!』
『け、けどマックスがよ……』
『馬鹿を言うな!! 殺さなきゃ俺達がやられるぞ!! もう既に何人やられたと思ってるんだ!!』
「向こうも隨分と必死になってきたね。ここらで降參しとくかい?」
里菜が無線機から聞こえてきた信を聞き、そう軽口を飛ばす。
しかし、直に無線機の電源を切って再びタルパーの引き金を引いた所を見ると、まだ闘志は盡きてない様だ。
「降參するなら一人でしてろ。おっと、服をいでいくのも忘れるな? お前の貧相なでも、あの野獣共は喜ぶだろうさ。私達はその隙に出する」
「誰が貧相だい!! 見た事も無いのに勝手に決め付けないでおくれ!!」
フェニルが放った冗談に対し、里菜は本気で憤慨する。
そうこうしている間にも里菜達とは反対の通路を警戒していた藤宮は、通路に飛び込んできた一人を撃ち倒し、直にリロードのタイミングを伝える。
「リロード!! 援護して!! フィブリルさん、マガジンを!!」
「は、はい!」
普段穏やかな印象が強かった藤宮の怒號に驚きつつも、フィブリルはマガジンを渡す。
今現在、七階に足止めをけた彼達の殘弾數は心許なくなっていた。
戦しているに次々と下層から援軍が送られてきてしまい、どうしても先に進む事ができないでいる。
しかもメアの位置報を常に知られている為、不意を突いての移もできない。
気付けば通路の一角に追い込まれ、そこにあった古びた自販売機を橫に倒して盾にしながら、彼達は前後に分かれて応戦する事となった。
前面は藤宮とメアが、後方はフェニルと里菜が応戦、その間に居るフィブリルが弾薬を配っている。
「メア、あまり前に乗り出さないで! 危ないから!」
「大丈夫! 任せて!!」
意外にも、歳若いメアの撃度は高い水準にあった。
今とて通路の先から顔を覗かせた無法者の一人の額に見事に弾を命中させ、沈黙させる。
「はは、ざまぁみろ……」
倒した敵を見てメアの口角の端が上がり、引き攣る様な笑みが浮かぶ。
それは無事に敵を倒せた事に対する喜びと言うより、明らかに負の側面が目立つモノであった。
危うい神狀態である事は明白ではあったが、今はそれを指摘している時ではない。
藤宮は一旦メアの様子に目を瞑り、マガジンを換し終えて再度タルパーを構える。
「フィブ嬢! マガジンを投げとくれ!」
「は、はい!」
「おい、さっきから何だその言い方は?! 依頼主だぞ! 彼は!」
「なにさ、ちゃんと嬢付けしてるだろ?!」
「言葉使いがなってないと言ってるんだ!! もっと敬意を払え!」
「フィブリル様ぁ、よろしければ弾が切れたわたくしめにマガジンを恵んでおくれまし? ……って言えってのか!? そうこうしてる間にやられちまうよ!!」
「いっそやられてしまえ!!!」
ギャーギャー言い合いながらも、フェニルと里菜は息の合った連攜を見せる。
マグチェンジのカバーをし合うタイミングもほぼ完璧で、言とは間逆のきだ。
しかし、練度の差で勝っても數の差は大きく、狀況は劣勢となっている。
そして遂に、恐れていた報告がフィブリルから告げられてしまう。
「あ、あの……。もう、マガジンが二つしか……」
「……つまり、隨分と粘れたって事だね。ふぅ……あたし等にしちゃ上等だね」
「何だ、その口振りは? 諦めるにはまだ早いぞ」
とは言うものの、フェニルの表も強張っていた。
藤宮もいずれ訪れる時が來たと覚悟を決め、ナイフを懐から取り出す。
「……こうなったら、前に出よう。死を漁って弾薬を確保すれば、まだ戦えるよ」
「そう、だな。それしかないか」
「フィブ嬢、アンタとメアは私達の背後にいな」
里菜も言いながら、大きく息を吐いて覚悟を決める。
しかし、不安気なフィブリルとは裏腹にメアは大きく反発した。
「私だって戦える! 私が突撃するよ!! 私が、あいつ等を……!」
そう言ってメアは前に出ようと腰を浮かしかけたが、里菜がそれに怒號を上げて押し留める。
「私等は生きる為に戦ってるんだ!! アンタの復讐心に付き合う気はないよ!!」
「ッ……! だって、私のせいで……貴方達に迷を掛けちゃった。こんな事なら、最初から全部諦めてしまっていれば……」
メアは大きく項垂れ、後悔を口にする。
直後、通路に乾いた音が響き渡った。
その原因は明確で、突然藤宮がメアの頬を平手で叩いたのだ。
メアは大きく目を見開きながら混するも、藤宮はキッと目を見張りながら叱咤の聲を飛ばす。
「貴方はただ生きたいと思っただけでしょう!? 侮辱されても、陵辱されても貴方は耐え抜いた! なのに、私達に迷が掛かったから諦める……?! 私達を理由にしないでよ!! 貴方を助けたいと願った私達の想いを無下にしないで!!」
摑み掛かる勢いで藤宮はメアにそう怒鳴り聲を散らす。
気付けば、涙が零れていた。
次々と溢れる涙が頬を流れ、メアは顔をくしゃくしゃにする。
彼の頬に手を添えて涙を拭いながら、藤宮は靜かな口調で言う。
「諦めて、死んでしまったら本當に負けだよ。けど、諦めずに必死に抗って死ねたなら……きっと後悔はしない」
「……ぅん」
藤宮にそう頷いたメアの表は、本當に年相応ののだった。
例え此処で死ぬとしても、彼だけは死なせない。
そんな決意が藤宮の中に芽生え、悪化する狀況に逆らって戦意が燃え盛る。
「フィブリルさん。最後のマガジンを里菜とフェニルに」
「おい、シズ! お前……」
「危険な役目を背負うのはリーダーの役目だよ。これでも、ナイフの扱いは上手いんだから!」
渋る様子を見せたフェニルに対し、藤宮は小さく笑いながらナイフを手ので回してみせる。
「アンタはリーダーの鏡だよ、シズ。今更だけど、アンタと組めて良かった。あとついでに……フェニルもね」
「……私は何も言わないぞ。此処で死ぬ気はない」
「私だってそうさ」
小さく笑い合い、二人は最後のマガジンの換を終える。
各々が目線を合わせ、そしてまた笑いあった。
しかし、それも直に打ち消すと藤宮は決意をめた表を浮かべて指示を出す。
「私の合図で正面通路を突破、死を盾にして塹壕を築き、弾薬を確保する。皆、準備はいい?」
「あぁ、どんとこいってね」
「オーケーだ」
藤宮達は準備を追え、正面通路に集まって様子を伺う。
タイミングを見計らって突撃しようとして……訝しげに頭を捻った。
「あれ? そういえば、さっきから敵が來てないよ」
「確かに……里菜! 無線はどうだ?」
「はいはい、ちょっと待ちな」
戦時の指示を聞き逃さない様に、里菜は無線機の電源は細かくON、OFFを切り替えていた。
そして覚束ない手付きで無線機を取り出し、電源をれる。
『……軍を!! 援軍をよこせぇ!! あのが來る!!』
『だぁ!? ガキのが厄介だ!! アイツ、銃弾を"避けやがる"!! 壁をぶちぬいて何処から來るかも分からねぇ! このままじゃ殺される!!』
『警備室!! おい、答えろよ!! 指示はどうした、おい!!』
『警備室なんざとっくに制圧されてらぁ!! 今の戦線はガキが居る四階とが居る五階だぞ!! 警備室は三階だ!!』
『ゾルダートは、HAを使ってる奴はどうしたァ!?』
『恐らくアイツもやられてる!! 何度も呼び掛けてるが、無線に応答しないんだよ!!』
『ふざけんなッ!! だったら勝ち目なんざもうねぇじゃないか!! 俺は逃げるぞ!? マックスなんか知るか、此処から早く逃、げ……來た。アイツが來た!! 誰でもいい、誰か……誰かあの小僧を殺せえええええええェ!!』
阿鼻喚、まさにその言葉が相応しい混が無線機から伝わってくる。
怒號と銃聲と悲鳴で埋め盡くされ、迫した様子がハッキリと分かった。
敵方の様子だと言うに、思わず藤宮達は戦慄を隠せない。
額と頬に流れ始めた冷や汗を互いに確認しつつ、彼達は視線をわす。
「……ってのはフルトだよね? けど、小僧ってのは……?」
里菜が呟く様に問いを投げかけると、フェニルがハッとした表で答える。
「まさか、ソウヤか? 彼が來てくれたのか?」
「……分からない。けど、今がチャンスだよ。増援がこないに私達も制を立て直そう」
浮つき始めた空気を引き締める様に、藤宮が指示を飛ばす。
指示をけた里菜と藤宮は頷きを返し、銃を構える。
――戦いは佳境を乗り越え、もうすぐ終わりを告げようとしていた。
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