北東の森のエリアボスが討伐されたメッセージは全ユーザーに告知された。

その反応は、掲示板始め、雑談、夜の食事の話のネタとして、かなり話題になった。

戻ってきてから、また先に宿屋へ行ってもらい、トラニー君から料金と薬草と空き瓶を回収する。

私たちは、今度はフレンド登録をして、ボスの話はしないことにして、宿屋で今日もステーキをご馳走になった。

ヒカリちゃんも口をおっきく開けて、ステーキをほおばっていた。

そしてツグミジュースがお気にりみたいだ。

その日の宿屋の夕食のときに、周りの席の人たちは、ボスの話をかなりしていた。

どうやら、夜時間は狩りができず、連続ログインができなくて、皆ストレスがたまっていたらしい。

そこへ、このメッセージである。

ユーザーたちはこぞって、パーティーで夜の森へ進んでいった。

命知らずのソロ君も何人かいた。

しかし「オオカミが群れない」という表示だったので、依然としてオオカミ自は出沒するということだ。

だから多數派は、前衛どうしだろうと、臨時パーティーを組んで、森へ出発していった。

ありがたいことに「誰が」ボスを討伐したかは表示されなかった。

メッセージからすると、2週間はリポップ(沸きなおし)しないようなので、時間沸きモンスターの扱いなんだろう。

2週間というと長いようにじるかもしれないが、現実時間では2日とちょっとなので、すぐだ。

薬草とタンポポ草、そして白キノコ40個は、全部私たちのものになり、代わりにヒカリちゃんたちにはお金を支払った。

ウサギの皮(白)とオオカミの皮(灰)は、ヒカリちゃんが引き取って行った。

ウサギ帽子を私たちの分も作ってくれるらしい。

警ら隊は、武屋と魔法の報料だと言って、お金はけ取らなかった。

支払額は6,700セシルになった。殘金は107,605セシルだ。

チームは解散して、それぞれの道に分かれた。

私たちは、夜間訓練の名目で、夜の森を行くことにする。

明かりは、宿屋のおばさんに借りた。室外両用カンテラだった。

手が空いてるのは私だけなので、私が左手でカンテラを持つ係だ。

「はー。夜の森はなんかいやだね～」

「ワタクシも、夜は苦手ですわ」

「大丈夫、怖いのはオオカミだけだよ」

「全然大丈夫じゃありませんわ」

前衛の2人は、あまり夜のお散歩は好きではないらしい。

蟲の鳴き聲とか聞こえてくるし、葉っぱが風でこすれる音もする。

上を見上げれば、木々の間に、無數の星が散らばっていた。

「ちょっと上見てよ。星がきれいだよ」

後ろ側の空には、月も出ている。

というかこの世界、夜間行しやすいようにか、ずっと夜は月が出ている。

まあ、ファンタジーだしね。それくらいはいいよね。

たまに草をかき分けて、オオカミが出てくる。

群れないので、倒すのは、もう簡単だ。

クルミのきもよくなっているし、アイスブリーズでの足止めもできる。

森の奧の方までくると、森の白キノコが、月に照らされて、蛍に発していた。

「わー。キノコちゃんってるぅ～」

「あらあら、まあまあ。幻想的ですわね」

草をかき分けてくる音がするな。

オオカミかな。

白で水の髪の男エルフ。あー、あれは、リング・ウッドこと、丸木先生だ。

「先生なにやってるんですか？」

「いやね。森のボスが初めて討伐された。しかも『君のの子たち』だと運営から聞かされて、様子を見に來た」

先生は、私たちの映像こそ見れないが、居場所は分かるように、取り計らってもらっているそうだ。

「君たちは、ログイン時間が長い分、強くなりやすい。どうしても目立つけど、もうしょうがないとして、諦めるよ」

「じゃあ、掲示板とかで騒いでもいいですか」

「それはやめてくれ！　噂が立つぐらいならいいって意味だよ」

「わはー。わっかりました～」

先生は何故か私たちに付いてくる。

そして、攻撃手段がちょっと変わっている。

ポーションの瓶のようなものを、オオカミに投げつけて、発させて攻撃している。

「俺は醫者だから、科學者だ。科學者といえば錬金師と相場は決まっているんだ」

良く分からない理論だが、まあいいや。

「ゲームには、なじんできたみたいだね。よかったよ。では、また検診で。そうそうレポートは頻繁に出してくれていいよ。冒険談も教えてくれ」

そういうと、森の中なのに、先生は去って行った。