《リターン・トゥ・テラ》21話『火星基地奪還作戦』
IFFレーダーに反応があるものから、年兵団の乗るグラディエーター、対空砲を撃破していく。
基地を遮蔽にしながら、囲まれないように立ち回る。
合流ポイント、ストーンバンカーまではアームドの足でもまだ時間がかかる。
おまけにチョバムアーマーをつけている分、足が遅くなっている。
敵の數が未知數で、対空砲火もある。上昇はできないだろう。
その時、ロックオン警報が鳴る。
「パイロット、左後方からロックオンです。」
サイが告げる。
ステルス機能を使っているのか。レーダーに反応はなかった。
振り返ると、グラディエーター1機がバズーカを構えている。
もう発態勢なら、申し訳ないが基地を盾にするしかない。
足のスラスターを吹かせ、基地を盾に隠れ、バズーカの攻撃を防ぐ。
基地が崩れる。次弾の発砲がある前に、ロックオン。アサルトライフルで攻撃する。
命中、沈黙を確認する。
先程から吹き荒れていた風のせいか、砂嵐で視界が悪い。
敵もレーダーに極力映らないように、ステルス機能を使って近づいてくる。
「いつ、どんなタイミングで攻撃が來るか分からないな。」
僕はサイに語りかける。
「恐怖、のですね。」
「パイロット。ワタシも怖いです。」
サイも現狀に恐怖している。
「サイ。おそらく、こう言うのを地獄と言うのだろうな。」
「パイロット。まさしくその通りだと思います。合流ポイントまで、まだ距離があります。」
その時、通信がる。
「こちら宇宙空母ツクヨミ。降下部隊第4陣の投下を始める。先行降下部隊は対空砲の排除を進めてしい。」
そう言って通信が切れる。
ツクヨミはセレーネと同じく月で造船されていた艦だ。空母ということはそれなりに増援の數も多い、さらに、手慣れの部隊が來てくれる事だろう。
アームドの対処をしながら、対空砲を潰し、合流に向かうのはおそらく無理だ。
「サイ、周辺のトレースはどうだ。」
「資料にあった通りではありますが、銀河帝國が獨自に展開してる対空車両や、対空裝備を持ったアームドの數まではさすがに未知數です。」
「じゃあ見えたものから潰す。それでいいな。」
「パイロット、合流はどうします。」
「今は不可能だ。ツクヨミから降りてくる部隊の被害をしでも抑える。」
「危険だと思いますが、パイロットに任せます。」
僕はブレイブ隊に通信を送る。
「先程った通信に従う。合流はその後だ。」
マキシから通信が返ってくる。
「坊主はそう言うと思ったぜ。実を言うと、ワシも今は合流ポイントまでたどり著けんと思っておる。」
「ジンとエドワードにも合流はしばらく無しとワシから伝えとく。それと……」
「命を大事に、な。」
そう言って通信は切れる。
ブレイブ隊はまだ3機とも健在。搭載されているAIがアクティブであるかどうかの識別で判斷できる。戦データリンク外だが、なんとかみんなやっているようだ。
「よし、サイ。行くぞ……!」
「了解です。慎重にいきましょう。」
*
悪い視界、不意に現れる敵、そして攻撃に神狀態はすさんでいく。
「サイ、援軍はまだなのか。」
「パイロット、心拍數が上がっています。援軍の落下予定時刻はまだ先です。気持ちも理解できますが、どうか落ち著いてください。」
その時、悪い視界から急に機が現れる。
僕は構えた。白兵戦の準備を咄嗟に行う。
しかし、よく見ると友軍機のガーディアンだった。右腕を損傷しており、武裝もない。
「何故レーダーとIFFに反応が出なかった……?それに僕らセレーネの部隊ではない。別部隊の本隊と逸れた人なのか?」
「パイロット、機狀況をトレースするとコックピットに損傷をけています。おそらく搭載AIがやられて戦沒認定をされてしまったかと。通信機もやられています。生き殘れた事が奇跡ですね。」
そのガーディアンは僕を見つけると、接回線を繋ごうと試みる。マニュピレーターが肩にれる。
「よ、良かった。味方と合流できた。死ぬかと思いましたよ。」
若い男の聲だった。僕は疑問を投げかける。
「コックピットに損傷したのか?IFFに反応がなかった。」
男は答える
「降下中にコックピットに損傷をけて、AIが損傷して、戦沒認定されてしまいまして……その後、部隊ともはぐれて、武裝も破壊されて……ずっと一人で彷徨ってたんですよ……」
僕は男に聞く。
「右腕を損傷してるようだな。ライフルは何を使っていた。」
「えぇと……A-91エリミネーターです……」
同型なら丁度いい。マガジンをけ渡してもらえれば、弾薬の補給にもなる。
「同型だな。マガジンをくれないか。」
そこでサイから助言がる。
「パイロット、こういう時はまず、部隊、所屬を名乗って、相手の気持ちに寄り添ってあげた方がいいですよ。ワタシ達も一人でここまで行してきたのですから、ワタシたちも相手も心細いはずです。」
接通信だ。サイの言葉も全て聞かれている。
男はクスッと笑いながらこう話す。
「しかし、よく喋るAIですね。そう言えば言ってたっけな、ストライカーのAIは特別だって……」
「そうだ。僕はセレーネ所屬ブレイブ隊のブレイブ2、ケイだ。」
僕のを聞き終えて、男も名乗る。
「自分は空母ディスカバリーIII所屬、レイヴン隊のグリムです。」
僕はグリムに提案する。
「急だが僕とエレメントを組んでもらう。やれるか?」
「やってみせます。攻撃できるのは基本的に頭部バルカンポッドぐらいしかありませんが……」
自信はないことはないようだが、武裝がほぼない事にグリムは不安気に応える。
「うしろと攻撃は僕が擔當する。チョバムアーマーもつけてないのは危険だ。シールドを常に構えながらゆっくり進んでくれ。」
「通信には聴いていたと思うが、第4陣が降下してくる。まだ先ではあるが、できる限り対空砲を潰す。」
「その後ポイント・ストーンバンカーまで後退して味方機と合流だ。」
「グリム、ここまで生きれたんだ。なんとしても生きて帰ろう。」
「了解です!」
そのグリムの聲にはし活力が宿っていた。
22話へ続く。
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