《リターン・トゥ・テラ》38話『仲間たち』
スタースピードを抜けた先で、ムラクモから通信がる。
「銀河帝國艦隊は月にさらに接近し、戦場は混戦狀態になっている!」
「月面基地のバリアは限界の様子だ!基地から所々黒煙が上がっている!」
「我々も……。」
そう言いかけたところで艦に大きな衝撃が加わる。
ムラクモではない、別のクルーが艦に放送をれている。
「ミサイル被弾!ダメージコントロール!」
「被弾區畫シャッター閉鎖!急げ!」
そしてまたムラクモから通信が來る。
「待機アームド、出撃急げ!」
「彼らの出撃だけは全うするんだ!」
「出撃まで対空防に全力を出せ!」
エミリアとソフィアも予備のアームド、ガーディアンで待機していた。
今度はエレナから通信がる。
「エミリア機、ソフィア機、早急な出撃準備を。両機から、カタパルト出します。取り付いている敵アームドの掃討をおねがいします。」
エミリアは
「りょーかい!任されたっての!ストライカーじゃないけど、金星のエースの腕、見せてやるんだから!」
そう言って第1カタパルトに向かう。
ソフィアも
「タイプ・ムーンほど防力、機力のある機ではありませんので、無理はできませんが、最善を盡くします。」
そう言って第2カタパルトへと向かった。
彼たちが出撃を終えるまで、僕はまだ待機となっている。
そうしていると、サイから聲がかかる。
「パイロット、張していますね。無理もありません。」
「管制機からのデータを信しました。ブレイブ隊は他3機ともまだ健在。懸命に防衛を進めています。」
「他の部隊も必死に防衛を続けています。」
「協力すれば、互いに互いを守り合えば、間違いなく良い方向に向かうでしょう。」
僕はサイの言葉に勵まされた。
「そうだな。頑張ろう。」
そう返す。すると。
「パイロット、驚きました。過去一番で聲が優しいです。」
「リラックスできたなら、なによりです。パイロット、ワタシも頑張ります。」
そうこう話していると、エレナから通信がる。
「エミリア機、ソフィア機出撃を確認。」
「ストライカー、出撃準備を。」
僕はエレナに了解!と返事をする。
僕は顔を上げる。パイロットリンクで連し、機が起する。そして網投影が完了する。
サイはエンジン、腕、腳の確認を行なっている。
「エーテライトエンジン、3つとも正常作を確認。腳部ブースターは出撃まで始停止。腕、腳、バランス最終確認。OK。」
「いつでもいけます。パイロット。」
「よし、行こう。サイ。」
そして僕は自分に言い聞かせる。
「互いに守り合えば……。必ず。」
*
カタパルトデッキに立つ。所々でエーテライトエンジンの発が見え、戦場は確かに混戦となっている。
僕は取り回しのいい対アームド用アサルトライフル、そしてシールドを両手につけ、両腰にヒート・ブレード、両肩にミサイルポッドを攜えて出撃となった。
サイが
「出力がものすごく上がっただけあります。流石のフル裝備ですね。」
と言っている。
「それでも弾も武も無駄にできない。気を引き締めて行こう。」
と僕が言うと、エレナから通信がる。
「進路オールグリーン。ストライカー発進、どうぞ。」
「了解だ!ブレイブ2、ケイ、ストライカーで出撃する!」
カタパルトが始する。
その時だった。
敵の対艦ミサイルがまた、セレーネを襲うのが見えた。
直撃。
僕はそのままカタパルトで打ち出された。
エレナとは通信は繋がり続けていたが、ムラクモが「直撃だ!総員、退艦準備!」と言っているのが聞こえた。
引き返して、退艦の援護をしなくては、と思ったが、エミリアから通信がる。
「迷わず行け!援護なら私たちに任せて!」
ソフィアからも
「先程の対艦ミサイルを持ったアームドは潰しました。間に合わずすいませんでした。後の護衛は私たちに任せてください。」
と通信がる。
「サイ。行くしかないか。」
「行きましょう。パイロット。まずはブレイブ隊との合流です。」
「腳部エーテライトブースター始。パイロット、かかるGに備えてください。」
凄い速度で僕らは宇宙を駆けた。
対G強化パイロットスーツのおかげか、あまり負荷はじなかったが、あまりに凄い速度に言葉を失っていた。
サイが
「大丈夫ですか?」
と聲をかけてくれる。
「問題はないが、凄い速度だな。よく機が耐えれる。」
「ストライカーの丈夫なパーツだからこそです。後5秒でブレイブ隊と合流です。」
「了解!」
そう言ってるまもなくマキシの機が見えた。
戦っているのは……。サイクロプス。そしてあの黒とオレンジの配は、間違いない。
インペリアル・ロイヤル・ガードの1機だ。
サイが
「戦データリンクを繋ぎます。マキシ隊長。援護いたします。」
と聲をかける。
マキシはどうやらパイロットリンクを最大にして立ち向かってるようだった。通信が返ってこない。
そのかわりエドワードから通信がる。
「ったく!タイミングがいいんだか、悪いんだか!とりあえず、隊長が危ない!手出ししようにも相手も隊長も早すぎて追えねぇ!」
グリムからも通信がる。
「別部隊のアームドは僕とエドワードさんで抑えます!ケイくんは隊長の援護に!」
「了解した。今のこの機ならやれる。」
そう言って僕はブースターを全開にして、マキシ機の後を追う。
エドワードから通信がる。
「いくらなんでも速すぎるだろ!どうなってんだ!」
「説明は後でする!」
マキシの機に追いつく。マキシはリンクシステムのフィードバックの限界が來たようで、きが鈍くなる。
それを見逃さなかったかのように、敵機はライフルを構える。
「させるか!」
僕はそのままマキシ機の後方から意表を突くかたちで飛び込み、敵機のコックピットブロックを狙ってシールドの先端を突き刺す。
シールドは深く突き刺さる。
敵機は沈黙した。
シールドを引き抜き、マキシに通信で聲をかける。
「大丈夫か!マキシ!」
「坊主か……。助かった……。ありがとうな……。」
「間に合ってよかった。」
そう言って僕はグリムとエドワードにも通信を繋ぐ。
「グリム、エドワード。敵機を撃墜した。こちらに來てくれ。」
「マキシがリンクシステムのフィードバックでけない狀況にいる。」
「このまま一度、4人で後方まで後退した方がいいだろう。」
そう言うとマキシが、
「いや、まだまだやれる……。老いぼれでも頑丈さだけは一級品じゃ。」
と言い、大勢を立て直す。
エドワードが言う。
「後退するっていっても、セレーネは轟沈したんだろ。もう引くに引けねぇ戦いってわけだな。」
「管制機の報によると急出のシャトルは無事出したそうですね。安心です。確かにもう引くところもありませんから、戦い続けるしかないんですよね。」
と、グリムが言う。
サイが提案する。
「先程の敵は相當な腕の持ち主、パイロットが言うにはインペリアル・ロイヤル・ガード部隊の1人だったそうです。」
「インペリアル・ロイヤル・ガード部隊は4機編らしく、2機殘っています。そのうち1機はパイロットと戦した新型です。」
「ワタシたちの部隊でインペリアル・ロイヤル・ガード部隊を叩くことができれば、戦況を有利にできるでしょう。」
「危険な作戦ですが、ご協力お願いできますか?」
「まぁ、基本的にお前がやんなきゃ誰がやるって話だよな。いいぜ。地獄までついていくさ。死神らしくな。」
とエドワード。
「縁起でもないこと言わないでくださいよ!エドワードさん!危険な作戦なのは承知の上です。それに、多分新型は4人で追い込まないと勝てないと思います。ですから、ついていきます!」
とグリム。
「先の戦いでもそうじゃったが、奴らは相當な手慣れじゃ。そして坊主をやった新型も出てくるとなりゃ、潰しておくのが得策じゃな。サイ!そのい乗ったわい!」
とマキシ。
危険な戦いになると言うのに、皆協力してくれると言う。
「ありがとう。みんな。」
僕はみんなに禮を言う。そして、もう一言。
「絶対に生きて帰ろう。」
と付け加えるのだった。
*
管制機の報を元にこちらの戦線を崩しているインペリアル・ロイヤル・ガード部隊の戦位置を特定する。
場所は月面基地にかなり近い位置のようだ。
月面基地は既にバリアを消失。今は対空砲や地対空ミサイルで守っているが、それもそろそろ限界とのこと。
民間人は出艦で大半は地球に向かったらしいが、一部はまだ月面に殘っているそうだ。
民間人に被害を及ぼさせるわけにはいかない。一刻も早く加勢しなければ。
「マキシ、エドワード、グリム。申し訳ないが先に行かせてもらう。」
エドワードから通信がる。
「さっきの速度出せるってのは、腳の追加パーツか?そしては大丈夫なのか?」
「そうだ。片腳ずつエーテライトエンジンを積んだブースターを裝備している。あと、これ専用の特殊なパイロットスーツを著ている。」
それを聞いたエドワードは
「無茶しやがる……。」
と言う。
マキシは
「今は月面基地の本部隊が戦ってるようだが、一方的にやられているようだ。しかもあそこにその、なんとか、かんとか、ガードってのが2機ともいるとなりゃ。」
「奴らは月面基地本部を落としにかかってきたな。」
「坊主!先に行きな!そして月面基地本部隊と共闘して、やれるとこまでやりな!」
「ケイくん!無茶だけはダメですよ!その速度があれば、ヒットアンドアウェイで時間を稼ぐこともできると思います!」
グリムからも通信がる。
「了解した。時間は稼ぐ。確実にここで倒すぞ。」
「では、先に行く。」
僕は足元のペダルを踏み込む。
サイが一度姿勢制を行い、腳のエーテライトエンジンが始する。
僕らは高速で宇宙を駆け、月付近へとへと向かう。
今度こそ、アルファと決著をつけてみせる。
39話へ続く。
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