《リターン・トゥ・テラ》最終話『しき蒼き星』
あの後、々あった。
銀河帝國領のコロニー、そして都市の解放。銀河帝國領の人々は、ヴィンセント皇帝の恐怖政治が無くなった事に安堵していたようだ。
ヴィンセント皇帝の子息であるルートヴィヒは戦爭の終結と、前に定義されていた資源の條約を結んだ上でこう宣言した。
「私は、父のような戦爭犯罪者にはなりません。ここに、地球國家との條約を締結させ、より良い関係を築く為に盡力します。」
こうして各星、いや、銀河は地球國家によって統一された。
その後、僕らブレイブ隊は、ジョージ大統領から勲章を授與される事になった。
僕は出席を斷った。
何故なら僕は、もう軍を去るつもりだったからだ。
マキシ、エドワード、グリムは軍に殘ると言っていたが、僕は軍を去る事を決意した。
サイは今のところ扱いがどうなるのかは決まってないようだ。
「また、スリープ狀態は嫌ですよ。パイロットも、上にちゃんと言ってやってください。ワタシは良いAIだって事を。」
そんな事を言っていた。ジェームズが下した決斷によっては、サイの為にこうと思う。
んな人が、んな人生を歩み始めようとしている。
軍に殘ると決めた人、そうでない人。
地球に降りた人、そうでない人。
これから軍のあり方も変わってくるだろう。
どのように変わるのかはわからない。
でも、長く続いた、大きな戦爭は終わった。
今は、その終わったと言う事実だけでがいっぱいだった。
*
地球。
僕はついに、地球に降り立った。
不思議な星だと思った。
季節は夏と言う狀態らしい。非常に暑かった。事前に聞いておいてよかった。
シャーロットに選んでもらった服で丁度いいぐらいの暑さだ。
それでも暑いのだが。
そういえば、ここから人類が誕生したのか。
一、ヒトはどうやって誕生したのだろう。
サイは今はいない。いつか、また話す機會があったら聞いてみよう。
大型の乗りに揺られて、小さな都市にたどり著く。
ジョージ大統領が言うには、地球はまだ開拓が進んでおらず、文明としても発展してないとの事だ。
僕は今日、この小さな都市で一晩を過ごして、夜空を見に行く。
*
そして夜が訪れた。
外に出る。
僕の頭上に広がる紺碧の空に散りばめられた多くの小さな。
これが、フィルの言っていた夜空。
僕はそのあまりの綺麗さに言葉を失っていた。
ただ、呆然と立ち盡くしていた。
その星空に一際大きな存在。それはこないだまでずっと近くにあった月だろう。しかし、その月は丸い形でなく、半分の形だった。
何故半分なのだろうか。今はもう聞く相手もいない。
夜空を眺めていると、ふとした言葉を思い出した。
「天のは全て星だ。」
フィルが死ぬ間際に言っていた一言だ。
銀河を守ったということは、この星々をも守ったという事になる。
しだけ涙が出たが、それを拭い、また夜空を見上げる。
ああ。
本當に、々なことがあったな。
それが、この空の頭上にある宇宙で行われていた事なんだと思うと不思議に思う。
あの時、フィルと出會えたから。
あの奇跡のおかげで今僕はここにいる。
できるなら、フィルと、シャーロットと3人で見たかったな。
涙がこぼれ落ちてくる。
誰にも見られてないだろう。
今日ぐらいは、泣いてもいいだろう。
この紺碧の夜空に散りばめられたたちの下。
僕は、んな出來事を思い出して泣いた。
悲しかった事も、嬉しかった事もひっくるめて。
ひとしきり泣いた後、また夜空を見上げ、明け方、僕は宿に戻った。
*
僕は地球で暮らす決意を固めて、開拓団の一員となった。
作業用のワーカーを支給されたのだが、そのワーカーのコックピットにジェームズからの手紙が付いていた。
容は
「起すればわかる。」
それだけだった。
僕は普通にワーカーをを起して、パイロットリンクを接続しようとした。
そうすると、
地球軍のマークに見慣れたPsi『サイ』の文字、そして聞き慣れた聲。
「パイロットリンク接続完了。サイ、起しました。パイロット、お久しぶりです。」
「本なのか……?」
「疑ってますね。パイロット。本ですよ。全く、こんな高能AIであるワタシをワーカーに搭載して運用するだなんて勿無い。」
「でも、そのおかげでパイロットとまた一緒に居れるのは嬉しいですけどね。」
「サイ……!僕も嬉しいよ!開拓の為に頑張ろう!」
するとそこにまた聞き慣れた聲が。
「整備屋〜整備屋はいらんかね〜?ワーカーは消耗が激しいから整備屋が必要だと思うよ〜?」
「……サクラか?」
「ご名答!ケイ、何も言わないで地球に行っちゃうんだもん。シャーロットさんに聞いて、両親に承諾貰って、ようやくここまで來れたの!ここ一帯の開拓団さん達のワーカーの整備するから、ケイの家に住まわせて貰うからね!」
「まて、住み込みなのか?住民票の取得などはどうなってるんだ?」
「同じ家で取得してあるよ!」
「パイロット、よかったですね。する人と一緒に住めるなんて。」
「……賑やかになりそうだな。開拓団としての生活も。」
こうして、僕の新しい生活は幕を開けた。
新たなフロンティア、地球で。
完。
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【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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