《外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。》赤錆の非リア その③

マショウさんがく。

僕は咄嗟に両腕を目の前で差させ顔面を守った。

衝撃が腕に響き、そのまま後方へ弾き飛ばされる。

なんて威力だ。

イチゴさんにも匹敵するんじゃないのか、これ。

ギリギリで踏みとどまり、僕は再びマショウさんに向き直った。

「や、やめましょうよこんなの! あなたたちとは戦いたくないんですよ!」

「そんなことを言う人間ではないな――君は。変わったか―――我々と離れていた間に」

々ありましたからね。今は軍部とニヒトを倒すことだけに集中しましょうよ。わざわざ味方と戦う必要もないし、そうしている場合でもないんだ」

「妙だな――ますます」

両手でファイティングポーズをとったマショウさんが、視線だけを周囲に巡らせる。

ヤバい。

気づかれる(・・・・・)。

僕は反的に、マショウさんの周りに仕掛けていた【切斷(キル・ユー)】の弾幕を一斉発した。

が、マショウさんはその隙間のないはずの攻撃でさえ必要最小限のきで回避する。

まるで、見えない刃が見えているかのように。

もしかすると焦って発したせいで狙いが狂ったのかもしれない。

、【切斷(キル・ユー)】の攻撃に気づかれるわけがないんだし。

でも。

それでも。

僕の勘は、敵に自分の狙いが気づかれると言っていた。

「今のさえ躱すんですか」

「仕掛けていたか―――我々を倒す罠を。抜け目ない男だ―――君は」

「本の殺人者は相手に気付かれないうちに殺すって、僕の知り合いが言ってましたからね」

「正しいな――それは。理にかなっている―――お互いに。しかし――簡単に殺されはしない」

「!」

再びマショウさんがく。

僕はそれを橫に避け―――られない!?

完全に回避したと思ったマショウさんの蹴りを、僕は脇腹に直撃されていた。

無理やりをひねりマショウさんから離れ、再び勢を整える。

どちらにせよ相手は近距離でしか攻撃できないんだ。

僕が遠くからちまちま攻撃していればいずれ……。

「無駄だ――【切斷(キル・ユー)】も【貫通(メーク・ホール)】も」

「え?」

「対策はしてある――既に。試してみるか?」

マショウさんは僕を挑発するように両手を広げた。

そういうことなら、やるしかない。

「冗談じゃ済みませんよ?」

「冗談では――ない」

なら。

「【殺戮劇場(サーカス)】」

僕は僕の持ちうるありとあらゆる遠距離攻撃を放った。

【切斷(キル・ユー)】も【貫通(メーク・ホール)】も【天(ソーラ)】も【追尾(ストーカー)】も。

しかしそれでも―――。

「効果は――ない」

それでも、マショウさんには傷一つつけられなかった。

「ど、どうして」

言いかけて僕は思い出す。

あの、トーブの街での戦闘を。

を機械化された、サイカのことを。

あの時も僕のスキルは無効化された。

そしてサイカは、【人進化研究所(クーパ)】との関係を匂わせていた。

マショウさんのに、サイカと同じ仕掛けが――つまり、スキルを無効化するような細工がしてあったとしても不思議じゃない。

「スキルは……効かないとでも言いたいんですか?」

「さきほども言ったはずだ―――効果はないと」

「それがあなたたちの答えですか? スキルを使う人間に対処するための方法は、スキルを封じ込めることにあると?」

「一つの手段だ――これも」

「いいんですか? それで本當に僕を倒したことになるんですか?」

「構わない――そして、超えるだろう――君は、我々の打った対策さえも」

全く、僕も買いかぶられちゃったな。

「だけど、スキルを無効化するってことはマショウさんたちのスキルも使えなくなるってことじゃ?」

「それは違う――本的に。別なのだ――我々の言うスキルと君のスキルは」

「分かりませんね」

「難しいことじゃない――我々のスキルは、ただ人間の機能を強化したものだからだ。法則や常識を無視した君たちのスキルとは――違う」

再びマショウさんが僕に接近してくる。

っていうかこれ、圧倒的に僕が不利じゃないか。

相手にスキル使われ放題じゃないか。

それに、単純な弾戦じゃマショウさんに勝ち目ないし……。

左右からの連撃をギリギリでけ流しながら僕はそんなことを考える。

「……!?」

「―――すまないな」

毆られたのとは違う痛みが僕の腕を襲った。

見ると、注が二の腕の辺りに突き刺さっていた。

「どういうつもりです?」

「作戦の一つだ――我々の」

「!」

僕は咄嗟にマショウさんから距離を取った。

何をやられたんだ?

いや、余計なことを考えるのはやめよう。

ここも三年前と同じ手で乗り切るしかない。

つまり、なんとかして空中におびき寄せ、自由を奪った狀態で毆るしか……。

僕がこうやっている間にも軍部と反軍の戦闘は続いている。

僕らのために集まってくれた人たちを死なせないためには、僕が一刻も早く首都の壁をどうにかする以外に方法はない。

悩んでいる暇はないってわけだ。

「マショウさん、手加減はしませんよ」

「そのつもりになってくれたか――ようやく。しかし――どうする気だ?」

「こうするんですよ」

僕は地面を強く踏みつけた。

その振で、部から削られていた(・・・・・・・・・・)地面が崩壊する(・・・・・・・)。

こんなに簡単に崩れたのは、ずっと【切斷(キル・ユー)】で削っていたからだ。

「なるほど――あの時の再現というわけか」

そう言いながら、マショウさんは地面を離れ空中に逃れる。

三年前と同じように。

そして僕もまた、三年前と同じように空中へ跳んだ。

「これなら躱せないでしょう!」

たとえスキルを無効化するような仕掛けがあったとしても、サイカと戦った時と同じように何度も繰り返し攻撃すればいずれ直撃させることができる。

この瞬間ですべてを決める。

僕はそう決意した―――のに。

「それは違う――えーくん」

「え?」

「躱す必要はない(・・・・・・・)」

マショウさんの言葉が聞こえた瞬間、僕は鳩尾に激しい衝撃をけた。

まるでが開いたような――否。実際そこにはがあいていた。

バッ、と僕のが飛び散る。

崩れてぐちゃぐちゃになった地面に落下する瞬間、僕は僕の方へ向けられた銃口を見た。

アイさんが僕に、あのライフル銃を向けている姿を。

「そういや、あの人もいたか……」

忘れていたわけじゃない。

だけど、空中へ跳んだ一瞬、僕はマショウさんだけに集中していた。

僕を一撃で撃ち落とせる隙を、ずっと伺っていたのだろう。

本當にこの人たち、僕を殺すために研究を続けて來たんだな。

どうするんだよ僕。

もう打つ手なんかないじゃないか。

スキルは全的に封じられている。

能力じゃマショウさんに劣っている。

攻撃の程距離じゃアイさんに劣っている。

本當に、僕って。

いや、やっぱり(・・・・)僕って。

何もできない無能なんだよなあ……。

なんて戯言を、薄ゆく意識の中で僕は考えたのだった。

そして、目の前が真っ暗になって、死んだ。

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