《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第36話 ギャルと酔っ払い①
◆
「え、今日白百合さんのとこ行くんですか?」
バイト終わり。コンビニで買い込んだ酒とつまみのったビニール袋を持たされ、そんなことを言われた。
「おう。白百合と飲む約束しててな」
「あの人、俺がバイト來る前から酔ってましたよ」
「いつもだろ」
あー、確かに。
あの人、家にいる時は基本酔ってるからなぁ。よくアル中にならないものだ。
「つーわけで吉永、付き合え」
「は? 俺明日も學校なんですけど」
「私と白百合も明日大學だ。大丈夫だろ」
「大學生と高校生を一緒に考えるな」
てかいつも思うけど、酒の席に高校生をうなよ。
白百合さんも花本さんも、未年に飲ませないって分別は付いてるけど。
「大丈夫大丈夫。日付変わるまでには帰すからさ。ジュースもあるし、つまみも好きに食っていいぞ」
「そう言ってこの前は朝方解放されたんですが」
「そうだったか?」
「酔っ払いめ……まあいつもの事ですし、別に……あ」
しまった。今は俺だけじゃなくて、清坂さんもいるんだった。
前までは一人だったし、白百合さんの部屋も角部屋だから騒いでも問題はなかったけど、今はそうもいかない。もしかしたら清坂さん、寢てるかもしれないし。
「どした?」
「あー……やっぱり今日はちょっと。すみません」
「なんだよー。ノリ悪いぞー」
「酒の席にノリを求めてくる人、信用出來ない」
「さっきは信用してるっつったろ」
俺一人ならいい。けど清坂さんを一人には出來ないし、ましてや酒の席にうのも論外だ。
それに清坂さん、酔ってる白百合さんのこと苦手そうだし。
ちぇー、と舌打ちをした花本さん。なんだか申し訳ない。
そんな話をしていると、ようやくアパートが見えて來た。
「それじゃ、俺はこれで」
「あいよー。またバイトの時なー」
花本さんと別れて、自分の部屋にる。
はぁ、今日はなんか疲れた……。
「あ、センパイお疲れっすー。……なんか疲れてません?」
「ああ。ちょっと今日はね……」
「ほへぇ。バイトって大変なんですね」
いや、疲れの大半は清坂さんと天さんなんだけど……まあいいや。
鞄を置いて息つく。
と、急に隣の部屋かドタバタと騒がしくなった。楽しんでるなぁ、あの二人。
「清楚ギャルさん、今日も元気っすね」
「まあ、今日は大學の友達が來てるから。俺のバイト先の先輩でもある」
「あー、じゃあ今日はずっと騒がしいっすね。怒られないように大人しく添い寢しましょっか」
「だね」
とりあえず、もう風呂にっちゃおう。手洗いうがいはそのタイミングで……。
「────!」
「────!! 〜〜〜〜!」
それにしても、今日は余計騒がしいな。一何してるんだか。
──バンッ! ドタバタッ、ドンドンドンッ!!
「かいとォ、いるかァ!?」
「ちょっ、白百合落ち著け!」
「ヒィッ!? せせせセンパイっ、センパイ! 取り立てっす! ヤクザっす! センパイ何したんすか!?」
「いや白百合さんだから」
いやー、この押しかけて來るじは久々だ。最近は大人しいと思ったんだけど。
とりあえずドアを開けるか。このままだとぶち壊されかねないし。
「白百合さん、近所迷なんでやめてください」
「おー、出た出た! かいとくんでたー! あひゃひゃひゃ!」
「す、すまん吉永。今追い返すから……って、誰それ?」
あ、やべ。清坂さん隠すの忘れてた。
俺の服を握って、後ろから顔を覗かせている清坂さん。
そんな清坂さんを見て、花本が「あっ」とらした。
「もしかしてその子が、吉永の言ってた?」
「あーはい。清坂さんです」
「き、清坂純夏っす」
「ワォ……思ってたよりも人さんだ。こりゃ吉永が夢中になるのもわかるね。どーも、花本カレンだ」
「ども……それよりセンパイ、夢中って──」
「ワーーーー! そ、それよりどうしたんですかっ?」
花本さんに清坂さんのことを相談したなんて言えない。
しかもそれが、だのなんだのって相談だ。そのことを清坂さんに知られるのはまずい……!
「どうしたもこうしたもっ、酔っ払いのせいだわ」
「そーだ! わたしのせいだ!」
「自覚あるならやめてくれ」
一升瓶を片手にふんすっと仁王立ちをする白百合さん。なんでこんな得意気なんだ。
「そーれーよーりー。かいとくん、なんでさそいことわるのー? そんなに若い子が好きか! ぴちぴちのじぇーけーが好きか! そんなにしょじょはめんどいかーーーー!!」
「途中から男関係の私挾むのやめてください」
俺とあんた、そんな関係じゃないでしょう。
「白百合マジで落ち著けって」
「おちついてまーす。お酒の席をことわったかいとくんがわるいでーす」
なんでだよ。
「こ、これが大學生……」
「清坂さん、この酒カスと他の大學生を一緒にしちゃダメだよ」
「そうだぞ、清坂。私とこのアホを一緒にするな」
「びえーーーーん! みんながいぢめるぅーーーー!」
クソだるいなこの人。
「あの、本當に近所迷なんで、とりあえず部屋に引っ込んで貰えますか?」
「いやです。かいとくんが來るまでここにいすわります。あ! ならすみかちゃんも來なよっ、たのしーよ!」
「えっ」
おー、めちゃめちゃ嫌そうな顔。
「あーもう……わかりました。俺が行きますから、清坂さんは許してください」
「センパイ!?」
「あ、そう? じゃーわたしのへや行こー!」
白百合さんがウキウキで部屋に戻る。
その後を、申し訳なさそうな顔で花本さんが追いかけた。
「という訳で、ちょっと行ってくるよ。日付変わるまでには戻るからさ」
「ぇ、ぁ……ぅ……」
清坂さんは白百合さんたちと俺を互に見ておろおろしている。
うーん、面倒なことに巻き込んじゃったなぁ……まあ、あの人の隣に住んでるってだけで、いつかはこうなるとは思ってたけど。
「…………ます……」
「ん、何?」
「……わ、わっ……! 私もっ、行きます……!」
…………。
「え?」
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