《【書籍化決定】拾ったギャルをお世話したら、〇フレになったんだが。》第43話 ギャルたちとコツ
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「センパイ! 私らに勉強教えてください!」
「さい!」
十九時前に家に帰ると、唐突に清坂さんと天さんに土下座された。
こんな綺麗な土下座初めて見た……って、勉強?
「どうしたの、二人して」
「それがその、今回のテストで赤點があると、一科目につき三日の夏の補習があると聞きまして……」
「私ら、全く勉強してこなかったから……」
なるほど、それでか。
今回のテストは十一科目もあるから、下手したら三十三日……夏休みがほぼ潰れる。
高校最初の夏休みが潰れたら可哀想だし……仕方ない。
「いいよ。その代わりあと三週間しかないから、ちょっと厳しめで行くけどいい?」
「「あ、ありがとうございます!」」
うん、とりあえず土下座するのはやめようね。の子に土下座されて喜ぶ趣味はないから。
二人をテーブルに並ばせ、問題集を開いた。
「さて、勉強のコツだけど、問題はがむしゃらに解けばいいってものじゃない。解き方がわからないと、そもそも勉強が楽しくないからね」
「「確かに」」
ちょっとは否定してしかった。
まあ、勉強が好きな人なんてそうそういないか。俺は習慣だからやってるだけだし。
「暗記科目は口に出して暗唱したり、きながら覚えると効果的だ。でも暗記科目以外はそうもいかない。じゃあどうすればいいかというと」
「「いうと……?」」
たっぷり數秒の間を作り──
「先に答えを見る」
──なんてことのない、當たり前のことを言った。
が、俺の言葉に二人はきょとんと首を傾げる。
「え、カンニングっすか?」
「パイセンも悪だね」
「違う。答えには大解説が付きものだ。答えと解説を丸暗記し、その後問題を見る。そうすれば、『答えがわからない。だからやる気が起きない』という勉強嫌いが一番陥りやすい前段階を克服できる」
「「お……おお〜!」」
目からウロコだったのか、二人して顔を輝かせて拍手した。
そんなにされると、ちょっと恥ずかしいな。結構ポピュラーな勉強法だと思うんだけど。
ちなみにこのやり方、被検一號ソーニャで実験済みだ。
「そして最後に、テキストを読んで理解を深める。これなら、勉強が嫌いでも何とかなりそうでしょ?」
「なるほど! 確かに問題を解く時、ちんぷんかんぷんでやる気無くなってたっす!」
「パイセン天才じゃん! 伊達に頭良くないね!」
「褒めるのは実際に學力が上がってからね。ほらほら、さっさと手をかすっ」
「「おっす!」」
二人は今までにないほどやる気に満ち溢れ、問題集に向かった。
鎧ヶ丘高校の赤點は、平均の半分。しかもテストの六割は問題集やテキストから出るから、この勉強方法なら六割は取れる。
つまり赤點は三十點前後。
それ以上點數を取ろうとすると、ちゃんと応用も勉強しないといけないけど。
赤點回避が目的なら、このままでいいだろう。
二人が一生懸命問題に取り組んでいる間に、俺は料理を作る。
今日はカレーだ。どうせ天さんも夜遅くまでいるだろうし、量はし多めに。
俺が料理してる間も、二人はこっちに気付かず集中している。
いい集中力だ。なんだ、二人ともやればできるじゃないか。
そのままカレーができるまでの間、二人の集中力は続いた。
このやり方なら、わからなくてつまずくってことはない。わからない問題が出たら丁寧に教えるけど、今のところその必要はなさそうだ。
「……あれ? ごめん二人とも。一つ聞いていい?」
「はい?」
「何?」
「勉強のやり方は教えたけど……その問題って、試験範囲?」
…………。
……………………。
………………………………。
「「わかんない」」
「おばか……」
「「ぁぅ」」
とにかく、本格的な勉強は試験範囲を先生に聞いてからだな……。
「仕方ない。とっておきの兵をやろう」
「兵?」
「パイルバンカーとか?」
兵の例えにパイルバンカーを出すって、いよいよ天さんもオタク化してきたな。俺のオタ趣味の影響なんだろうけど。
自室に丁寧に保管していたファイルとノートを取り、二人に渡した。
「これ、なんすか?」
「去年の定期試験の問題と、その時俺が勉強したノート」
「「なんと!?」」
鎧ヶ丘高校こ定期試験は、六割は問題集やテキストから出る。
ということは、前年に出た問題が丸々出やすいということだ。
「ここからしは出るだろうし、他の問題も勉強して損はない。これでどうにかなると思うよ」
「センパイ、神! マジ仏!」
「ヤバい、惚れる!」
ノリが軽いな。
と、急に清坂さんのきが止まった。
「どうしたの?」
「あ、いえ。……私、またセンパイのお世話になりっぱなしで、何も返せてないって思っちゃって……」
「考え過ぎだって」
「お返し……お返し……」
あー。でもそういうメンタルで勉強してもにならないからなぁ……清坂さんたちには勉強に集中してもらいたいし。
それにリラックスして勉強してもらいたい。何か気の利いたジョークを……。
「あ、そうだ」
「なんすか!? な、なんでも言ってしいっす!」
「わ、私も協力するよ!」
「じゃあ、背中を流してしいなー、なんて」
……………………………………………………。
空気が死にました。というか俺が死にたい。何言ってんだ、俺。ただのセクハラじゃん。死ねよ、俺。
「ご、ごめん。二人を和ませるジョークを考えたんだけど──」
「わかりました!」
「……え?」
わか……なに?
見ると、清坂さんも天さんも気合十分と言った顔で息巻いていた。
「センパイのお背中、私たちが流します!」
「パイセン、先にお風呂行ってて! 準備するから!」
「ま、待て待て待て。冗談、冗談だからっ!」
「いえ、私たちに出來るのはこれくらいしかありません!」
「お風呂から出たらマッサージもしてあげる! 忙しいパイセンをもてなすよ!」
二人に背中を無理に押され、所へと連れて行かれた。
「さあセンパイ、服をぎぎしましょうね」
「ズボンは私に任せて。今楽にしてあげるから」
ちょ、待っ、あっ……。
「せ、せめて服は自分でがせてくれぇーーーー!!」
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