《【8/10書籍2巻発売】淑の鑑やめました。時を逆行した公爵令嬢は、わがままな妹に振り回されないよう格悪く生き延びます!》13、他の誰かに見えるっていうの
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「あの、クリスティナ様?」
令嬢たちは、まさか私がミュリエルをかばうなんて思ってもいなかったようだ。驚きと戸いを隠せない様子で、まじまじと私を見つめる。
負けじと見つめ返したおかげで、ようやく彼たちの名前を思い出した。
ーーディアナ男爵令嬢に、エリカ子爵令嬢、ヘルミーナ伯爵令嬢。
どなたとも、それほど親しい間柄ではなかった。
だからこそ、これを契機に仲を深めようとしたのかもしれない。
ディアナ男爵令嬢がおずおずと口を開く。
「本當にクリスティナ様ですよね?」
そんな質問をするくらい、彼たちにとって私の行は意外だったようだ。
私は腕を組んで、わざと尊大な態度で答えた。
「當たり前じゃない。他の誰かに見えるっていうの?」
三人とも黙り込む。
私の真意を計りかねているのだろう。
そこを畳み掛けるように言った。
「確かにミュリエルも非常識な行をしたかもしれない」
「そうですよね!」
「でも、あんなふうに大勢で一人を取り囲むなんて、そのほうが私にははしたなく思えるわ」
私は、一人ずつ、きっちりと目を合わせて告げた。
「今この場で、ミュリエルに謝罪するのであれば、今回は不問にします。次、同じことがあるようなら、私にも考えがありますので」
今まで他人に怒ったところを見せたことのない私がそこまでいうのだ。
三人はすぐにミュリエルに謝罪した。
ミュリエルは終始、無表だった。
しかし、令嬢たちが立ち去るとすぐ、ミュリエルは私を睨み付けた。
「余計なことしないでよ! お姉様のそんな善人気取りなところ、大っ嫌い!」
手を出さなかった自分を偉いと思う。
代わりにこちらも言い返した。
「あら、奇遇ね。私だって、この狀況でお禮も言わないあなたが大っ嫌いよ」
そして、失禮、とパーティに私だけ戻った。
「何よ、何よ何よ!」
背後からミュリエルのび聲が聞こえたけれど、振り返らなかった。
「戻りましたわ」
大広間は、私がいなかったことなど誰も気づいていないような盛況ぶりだった。
心配そうな顔で待っていたお兄様の橫に素早く立つと、お兄様は困ったように聞いた。
「なんで一人?」
私はを聲に乗せないようにして答えた。
「お兄様。八つ當たりされたくなければ、それ以上聞かない方がよろしいかと」
お兄様は肩をすくめた。
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國境近くのブリビートの村に到著してすぐに、イリルはそれを目に止めた。
「あれはなんだ?」
遠目によく見れば、山に點在する巖のいくつかが、規則正しく並んでいる。
「巖、ではないのですか?」
側近のブライアンの答えに、イリルは馬上で首を振った。
「おそらく違うな」
「では一?」
「いや……まずは、あそこまで行こう」
休む間もなく、イリルたちはその巖の近くまで登った。
國境近くのブリビートの村は、標高高い山岳地帯にある。
石を積み上げて出來た家々は、萬が一の奇襲に備えてかなり頑丈だ。
幸いにもここしばらくは、隣國ドーンフォルトとは落ち著いた狀態が続いていると聞いていたイリルだが、なぜかその巖が気になった。
勾配はどんどん急になり、最終的に馬を置いて歩いかねばならないほどだった。
間近まで來てようやく、違和の正がわかった。
「やっぱりお墓だ」
巖だと思ったものは簡素な墓石だった。
それぞれ名前と、生まれた日、そして亡くなった日が彫ってある。
それらを読みながら、イリルはあることに気が付いた。
「ん?」
疑問を深めるように、周りの墓石をいくつか調べる。
やはり、と頷いた。
「どうされましたか?」
不思議そうなブライアンに、聲だけで答えた。
「十數人ほどがこの1ヶ月に相次いで亡くなっている」
「え……まさか」
驚いたブライアンも膝を突いて確かめた。
「本當だ……」
イリルは腕を組んだ。
「これについて、何か聞いているか?」
「申し訳ありません、報告はけていません」
「だな。私も聞いていない。ブライアン、村に行って事のわかる者を連れてきてくれ。我々はしばらくここで他の墓石を調べておく」
「承知しました」
ブライアンはすぐに村に向かった。
王の遣いが來ることは知っているはずだ。すぐに村長が現れるだろうと、イリルはじっくりと墓石を見て回った。
その十數人以外は、特に変わったものはなさそうだ。
ーー流行り病だろうか。
宮廷に連絡が來ていないということは、ごくごく最近のことでまだ落ち著いていないということか。
ーーだとしたら厄介だな。
「デニス」
年若い部下が飛んでくる。
「私がよしというまで、全員、持ち込んだ食料と水でしのぐよう通達せよ」
幸い自分たちは到著して間もない。
離れて野営することで共倒れは回避できるだろう。ゆっくり駐屯して疲れを癒してやりたかったが、仕方ない。
「かしこまりました!」
隊したばかりのデニスは、イリルに命令されたのが嬉しい様子で、すぐに辺りを駆け回った。
「嫌な予がするな」
イリルは思わず呟いた。
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