《【8/10書籍2巻発売】淑の鑑やめました。時を逆行した公爵令嬢は、わがままな妹に振り回されないよう格悪く生き延びます!》27、主人を迎えては?
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「ミュリエルが家庭教師をまた辭めさせた? それがどうした。いつものことだろう」
トーマスは、その日の夜遅く帰宅したオーウィンに一部始終を報告したが、案の定、それだけで切り上げられた。
「それより、お前も一緒に飲むか? このワインはなかなかいけるぞ」
すでにくつろいでいたオーウィンは、グラスを置くつもりはないようだ。
しかし。
「ありがたいお言葉ですが、今日ばかりは私の話を聞いてください……いつものことでは困るのです、旦那様」
トーマスは食い下がった。
「もう、來てくださる家庭教師はいらっしゃらないかもしれません。公爵家の評判に関わる由々しき事態です」
もちろんオーウィンもそれはわかっていた。わかっていたが、そういった面倒ごとに頭を使いたくなかった。
トーマスはまだ諦めない。
「僭越ですが旦那様、どなたかとご結婚して、屋敷に新しい主人を迎えると言うのはどうでしょうか」
いつになく踏み込んだことを申し出る。
「結婚ねえ……」
古くからいる使用人たちは、忠義に厚い。それゆえオーウィンには逆らえない。そしてオーウィンがミュリエルを甘やかす限り、現狀はよくならない。
だが主人がいれば、話は別だ。
ミュリエルを厳しく指導してくれるだろう。
しかし、オーウィンは首を振る。
「結婚はもういい。今さら」
オーウィンとて相手に不自由はしなかった。だが、決まった相手を作るのは面倒になって、今はその場その場の人を作るにとどめている。
最近の相手は、王都でも売れっ子の優だが、優としての地位を高める野心はあっても、公爵家の正妻という不自由な地位には興味がないところが気にっている。オーウィンも優上がりを公爵家に迎えるつもりはなかったからだ。
しかし、今日のトーマスはしつこかった。
「或いはご親戚の方にミュリエル様のご教育をお任せするのはどうでしょか」
それも面倒臭いな、とオーウィンは思った。
実際、ミュリエルを引き取る際に、下心ありでいろんな親戚が手を貸すと申し出たのだが、手を借りれば口も挾まれる。それが嫌で、オーウィンは全部斷った。
結果、昔から家にいる使用人たちと、クリスティナとシェイマスに皺寄せが來たのだが、親戚に口を挾まれるよりオーウィンには実害がなかった。
「今のミュリエル様では、家庭教師どころか、使用人も居著きません」
ミュリエルの癇癪のために、ミュリエルのの回りの世話をする使用人はれ替わりが激しかった。
「ミュリエル様がこちらの生活に慣れるまでは、と平民出のメイドを多く使うことで何とかしのいできましたが、ミュリエル様もいずれはどこかにお嫁りする。そろそろきちんとしたメイドを付けなくては」
今のままではミュリエルの意識が向上するきっかけがないのだ。
かといって、クリスティナの周りの侍や母にミュリエルの面倒を見させようにも、ミュリエル自がそれを嫌がった。
「じゃあ、とりあえずクリスティナが宮廷にいる間、実家に下がった連中を呼び戻してミュリエルの世話をさせるのはどうだ?」
「……承知しました。ではメイドの件はそれで」
まためるだろうな、と思いながらもトーマスは了承した。
「しかし、旦那様。彼たちにの回りの世話はできても、勉強は無理です。家庭教師の件も至急お願いいたします」
「そうだな……」
考えるのも面倒になったオーウィンは、
「まあ、考えておく」
といつものように先延ばしした。
トーマスはため息をついた。
それでなくとも、最近、屋敷の中が浮ついているような気がするのに。
オーウィンの危機のなさに、トーマスは一抹の不安を覚える。
‡
「きゃっ!」
ガシャン!!
「あなた、今、お姉様と私を比べたでしょう!」
「そ、そんなことありません!」
クリスティナがいない間、ミュリエルの世話を擔當することになったマリーは、一日に何回もそんな言いがかりをつけられ、ついには水差しを投げつけられた。
「失禮しますっ!」
仕事だから仕方ないが、できるだけ近寄りたくないのが人だ。マリーはなるべくミュリエルから離れるようにした。マリーだけではない。誰もが腫れをるようにミュリエルに接し、ミュリエルは一人でいることが多くなった。
でも、平気だった。
ひとりには慣れていた。
昔からそうだったから。
ただ。
ーーこんなのおかしいわ。
くすぶっている不満は大きくなるばかりだった。
ーーだって、この家のものは全部私のものでしょう?
なのに、みんなクリスティナのことばかり譽める。喋らなくても、ミュリエルにはわかる。その目が、その態度が、クリスティナとは大違いだと言っているのだ。
ーーこんなのおかしい! おかしいわ! そうでしょ、お母様?
心の中で、亡くなった母に語りかける。
ミュリエルの母エヴァは、ミュリエルが小さい頃から、お前は本當は公爵家の娘で、いつか父親が迎えに來るから、と言い聞かせていたのだ。
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