《【書籍化】誰にもされないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話【コミカライズ】》父から離れて初めて本當のことを話せた
「スキルがない!? 噓!?」
「本當です。何の啓示も、授かりませんでした……」
「信じられないな……。こんなに聖っぽい見た目をしているのに」
「見た目は関係ないじゃないですか」
――私のどこに聖っぽさがあるというのよ。
冗談がきついと思ってくすくす笑ってしまうけれど、殿下は笑っていなかった。
「いやいや本當に……。君、先代の聖にし似ているんだよね。見たことない? 肖像畫」
「肖像畫?」
「そう。王宮の大広間のやつ」
大広間。
行ったことがない。
「見たことは、ありません……」
「本當に!? 君くらいの年齢の娘なら舞踏會とかで出りすることがあったでしょ!? 気付かなかった?」
「いえ、行ったことがないのです」
家族の中で私だけ連れて行ってもらえなかった。
だから、知らない。
殿下は私の言葉の意味するところを正確に読み取ったらしく、し悲しそうな顔をした。
「そうか……。まあ、どこの家にも暗部は付きだからな。ステラの家は隠し子がいるって事がそれに相當したってところかな」
「隠し子!?」
「だって、そうだろ? 年頃の健康な娘を人前に出せない理由なんてそのくらいしか」
え、だって。
隠されていたのは私よ?
あの家で産まれ育った私が、隠し子扱いだったというの?
フィオナじゃなくて私?
考え込む私に殿下は興味津々な顔をした。
椅子から立ち上がってらかなカウチベッドに移って座り、隣をポンポンと叩いて「ここ、座りなよ。話が長くなりそうだから」と言う。
私は殿下が散髪に使った椅子に座り、噓偽りのない生育歴を打ち明けた。父から離れて初めて、本當のことを口に出來た。
「――え!? 神殿には行かなかった!?」
「はい。連れて行ってもらえませんでした。どうせ大したスキルではないだろう、と言って」
「いやいやいや、結果的に大したスキルでなくとも啓示はけておくものだろう。適に沿う傾向があるとは言え、何が出るかは分からないのだから」
「……私もそう思っていたのですが……」
「父親が怖かった?」
こく、と頷く。
「まぁ、そうだよなぁ……。子供、ましての子だったら父親の威圧に反抗なんて出來るもんじゃないもんな……」
何気ない殿下の一言に、ふと、目の奧が熱くなった。
孤獨だった自分を見付けてもらったような気がしたのだ。
「それにしてもマーブル侯爵は何を考えているんだ……? 妹はちゃんと連れて行って行ったようだし……が繋がっているかどうかも不明な娘を……ん? ああ、もしかして……いや、まさかそんな……。ねえ、ステラ。ちょっと聞きたいんだけど、――ありゃ、どうした?」
私は泣いてしまっていた。
私よりもひどい環境で暮らしてきた殿下がひねくれたりせずに飄々と過ごしている事。その殿下が私の境遇に理解を示してくれた事。
上手く言えないけれど、どちらもすごく嬉しくて、有り難く思った。
「なんでもありませんっ!」
すぐに涙は止まるはずだ。
エプロンのポケットからハンカチを取り出して、顔を拭った。殿下はカウチベッドの上でオロオロしている。
「ど、どうしよう。俺に惚れちゃった? 今からでもこっち來る?」
「けっこうです! あと別に惚れてません!」
「あれっ……。そうなの? なーんだ、期待して損した。……びっくりしたら何を言おうとしていたのか忘れちゃったな。俺達、何の話をしてたんだっけ」
「私も忘れました」
もう、思い出さなくていいんだ。
辛かったことなんて忘れて、これから出會う人たちと楽しく生きていきたい。
「ステラも忘れちゃったか。……まぁ、いいか。そのうち思い出すだろ」
「そうですね」
よし。涙が止まった。
顔を上げて殿下と目が合うと、自然に笑顔になる。殿下はし驚いたような顔をしていた。
時刻は夕方になり、夕食を取りに行く頃合いということで、再び塔の階段を下りた。今日だけで何回ここを登り下りしたのだろう。辛い。
下りる時だけでも階段がすべり臺みたいになればいいのに、などと考えながら塔を出て、廚房で盆に載った食事を二人分ぶんけ取る。
立派なほうが殿下。こぢんまりしているほうが私。
殿下付きのメイドはこうして二人ぶん一緒に持っていって、殿下の食後に控えの間で食べるのだそうだ。
――これを持ってまた階段を上がるの……?
今夜は、寢る前に腳のマッサージをしなければならない。
「……ステラ。良かったら、一緒に食べないか?」
殿下の食事の準備を整え、足をぷるぷるさせながら背後に控えていたら、同席のおいをいただいてしまった。
「え……。ですが、私はメイドです」
「そうだけどさ。こんな所でそんなの気にしてもしょうがないじゃないか。隣じゃなくていいからさ……。離れたところでもいいから、座ってよ」
さすがの殿下も食事の時は寂しいのかしら……。
確かに、近くに人がいるのに一人で食べるのって寂しいのよね。
そう思って、殿下の斜め向かいに自分のぶんのトレイを置いて、そこに座った。殿下は嬉しそうに笑って、自分のところの小皿をいくつも私の前に置いてくる。
「そんなに食べられませんよ」
「たくさん働いたんだから、たくさん食べなさい。俺はゴロゴロしてただけだからしでいいの」
「殿下だって痩せすぎじゃないですか。もっと食べて下さいよ」
「いらないって。俺は人が食べてるところを見るほうが好きなんだよ」
なんだか押し切られてしまった……。
品數の増えた食卓は、それだけで賑やかにじる。
ワイングラスに食前酒を注ぎ、王宮の料理に手を付けてみた。とても味しかった。
「部屋が綺麗だと食事が味しいね。ステラのおかげだ。……ところで、やっぱり君はちゃんとしたところのお嬢様だよね。食べ方が綺麗だ」
「栄です。マナーの先生から、食事はもっともに近い行為なのだからせめてしくこなさなければならない、と何度も言われました」
「ね、確かに」
「殿下も綺麗ですよ」
「ん? 何が? 顔?」
「今食べ方の話をしてたじゃないですか。どうしてそうなるんですか」
ははは、と笑う殿下。もう酔っ払っているのかしら、と思ったけれど、いや、元からそういう人だわね、と思い直す。
「……そういえば、殿下はおいくつなのですか?」
「今年十九。ステラは?」
「十七です。あまり変わりませんね」
「そうだね。弟と一緒だ」
なにげなく口にした“弟”とは、第二王子――この國の王太子のことだ。
それほど長い時間ではなくても、今まで話をしたじでは、この第一王子に王位継承順を飛ばされるほどの問題があるとは思えないのだけど……。
幽閉みたいな扱いをされている事といい、どんな事があるのかしら。
ちょっと訊いてみようかな……。
「……あの、殿下はどうしてこの塔で暮らしているのですか?」
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