《【書籍化】誰にもされないので床を磨いていたらそこが聖域化した令嬢の話【コミカライズ】》【改稿済】もふもふを吸う
殿下は黙って私の手を引き、カウチに座らせた。そしてご自分も隣に座り、陛下に訊ねる。
「後妻の素は? ただの踴り子ですか?」
「うむ。そのようだ。領地の酒場を中心に聞き込みをした結果、疑わしい影のある出でも危険な思想を持っている風でも無かった。ひとまず間者の線は薄そうだ。
……となると、彼は純粋に良い暮らしをしたくてステラ嬢の母君の座に取って代わったのだと思われる」
「ではないのですか?」
「知らぬ。……當初はそういった熱意もあったやもしれぬが、いずれにしろ現在は冷めているようだぞ。侯爵が不在の時を見計らっては町で遊び回っているそうだ」
「こわっ……」
お二方の會話を私は呆然として聞いていた。殿下は話しながら私の膝の上に置いた握り拳にさりげなく手を重ねてくる。溫かくて大きな手。
気遣われているのが伝わってきて、そのおかげで私は正気を保てていた。
「――じゃあ、ステラの母君の実家はどうなっているんです? いくらなんでも騙せないでしょう?」
「うむ。あちらもあちらでずいぶん前から當主――母君の父上、つまり祖父殿だな。祖父殿の調が思わしくなく、遠出が出來ない狀態らしい。
……年齢的に無理もないところはあるのだが、それでも手紙のやり取りはあるようだ。おそらく侯爵が無難な容を書いて送っているのだろうな。今まで誤魔化せてしまっていた。
……侯爵も、もはや後戻り出來ぬのだろう。調査の報告書が來るたび辻褄合わせに必死な様子が垣間見える」
「そっか……」
殿下はため息をつき、力して背もたれに背中を預けた。そしてぽつりと呟く。
「分からないな。なぜ、そんな事をしたんだろう……」
陛下は答えた。
「……妾が、心の拠り所だったようだ。これはステラ嬢の前で口にするにはためらいのある話なのだが……母君はたいそうしい貴婦人であった。そのせいとは言わないが、あちらから輿れに向かって來る際にちょっとした事件があったようでな」
「事件?」
「ああ。賊の襲撃をけて、ほんのひと時敵の手に落ちてしまったらしい。すぐに護衛が救出したのだが、歓迎の場でそれを知った侯爵は大層衝撃をけたようでな。
……救出後、護衛が馬車に同乗したのも不味かった。事件そのものは侯爵家の部でみ消したようなのだが、侯爵からは新妻の貞を怪しむ発言が度々あったと當時の使用人から証言が出た。
つまり――侯爵はステラ嬢を自分とが繋がった娘だと思っていない可能がある」
目の前が真っ暗になった。せっかくおさえられていた手の震えが再び出てきてしまう。
……私は、“そういう”生まれだったのだろうか。だとしたら、お父様が私を冷遇したのも納得出來なくはない……?
「……父上。もう、やめにしましょう」
「……そうだな。ステラ嬢よ。君には知る権利があると思ったゆえ包み隠さずに全て話したが、事実がどうであろうと君が大事な存在であることに代わりはないし、侯爵に罰を與えることも変わらない。
もし君にその気があるのなら“鑑定”のスキルでもっての繋がりを確かめることも出來る。……勇気が要ることとは思うが、し考えてみなさい」
私は小さく頷いた。
「では、今日のところはこれで帰るとしよう。今後とランランちゃんの件は明日改めて話そう。……また來る」
そう言って塔の部屋から出て行く陛下を見送った。異様に靜かな室で、私は自分の心臓の音を聞く。なんだか息が苦しい。目の前が暗い。
「――おい、大丈夫か?」
殿下が聲をかけてきた。でもが引き攣れたようになって聲が出せない。苦しくて背中を丸めるてうずくまると、呼吸の音がヒューヒューと響く。手足が痺れる。
「苦しいのか? ステラ」
頷くと殿下はバッと立ち上がり、ダダダッと走って離れて行ったかと思うとすぐに戻ってきて隣にしゃがんだ。
「これに鼻と口を押し付けろ」
白くてもふっとしたものを顔に押し付けられる。
「落ち著け。ゆっくり息をして」
言われた通りにゆっくりと息をすると、しずつ楽になってくる。
「……そう、上手だ。呼吸が早すぎたんだ。ゆっくり息をすればすぐに治まる」
ふー、ふー、と息をして、しばらくそのまま白いもふもふに深く顔を埋めた。あったかくて気持ちいい。
……これ何かしら。そう思って顔を上げると、私の膝の上で仰向けに転がっているランランがいて。満更でもなさそうな目でこっちを見てきた。
「…………ふふっ……」
思わず笑いが出てきてしまう。そんな場面じゃないのに。
「どう? ランランのお腹、気持ち良かっただろ?」
「はい……ありがとうございます」
泣きたいけれど笑ってしまう。大人しかったポチが靜かに寄り添ってきて、私の背中と腳の下でフヨッと大きく広がった。大きなクッションみたい。を預けると、ポヨポヨしたが全を包んでくれる。
「……いいなぁ、それ。ポチ、俺にもやって」
羨ましがった殿下もポチによるお姫さま抱っこをけて、私の隣でいつも通りに笑った。
側にいてくれる人(?)達が優しい……。
私は産まれて來てはいけなかったのだと思うには、まだ早い。
怒り、悲しみ、親。激しいの振れ幅に疲れて瞼を閉じる。すると隣から手がびてきて、目元にそっとれた。目を開くと、不安そうにこちらを覗き込む殿下がいる。
「……どうか、しましたか……?」
「君が心配で……」
「……私は……、大丈夫です」
一杯、気持ちを強く持ってそう言った。
するともう片方の目元も拭われて、自分が泣いていた事にその時初めて気が付いた。
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