《【書籍発売中】砂漠の國の雨降らし姫〜前世で処刑された魔法使いは農家の娘になりました〜【コミカライズ】》10 水の味
月に二度までなら図書館に行っても良いと許可を得た。
「ついでに買いをしてきてくれれば、その分の時間を父さんや母さんが農園で働ける」
「ありがとう、お父さん、お母さん」
今日は図書館に行く日。
図書館に行く前に農園で働いて、朝ごはんを食べたら出発だ。イーサンも一緒。今日はお弁當を持っていくことにした。買い食いするとお金がかかるもの。
小麥を水で溶いて鉄板で丸く焼いたペテ、豆と羊をニンニク、ショウガ、唐辛子、ほろ苦いピマの葉を炒め煮にしたもの、玉ねぎの薄切りを炒めて溶き卵でまとめたものを作った。
お弁當を二人分作り、水筒に水をれると結構重い。リュックにそれらを二人分れて出かけようとしたらイーサンが止める。
「それは俺が背負う」
「重いからいいのよ」
「重いから俺が背負うんだよ。馬鹿だな」
男のプライドかしら。でもは二歳年上の私の方が大きいのに。
「じゃあ荷を半分こしようか。それなら二人とも重くないものね?」
「いいけど、俺のことを赤ちゃん扱いするのはやめろよ。アレシアは怪我をしてからなんだか変だぞ」
あら。
子供の直かしら。以前の私と違うことを何かじるのかな。
二人でリュックを背負い、まずは市場を目指した。今日のお使いは黒砂糖とお父さんのタバコの葉、裁用の糸を白黒ひと束ずつ、塩を小袋でひとつ。香辛料をあれこれ。
全部買い揃えてから図書館を目指した。
今日は家からお出かけ用の服を著てきたから著替えは無し。
け付けの男は私たちを覚えていたらしく「やあ、いらっしゃい」と想良く対応してくれた。
「こんにちは」
笑顔で挨拶して私とイーサンはそれぞれ大銅貨を四枚ずつ払った。
「今日も図鑑を見る?」
「うん。でも自分で選びたい」
「わかった。じゃあ私は自分の本を探してくるね」
今日は魔法関連の本を読む予定だ。
前世ではい時から水魔法を扱えた。心で念じれば水を出せたけど、今世ではそれが全くできない。寢てる間に無自覚に雨を降らせるのは不便だし、危険だ。
私は水魔法についての解説書を読み、まだ文字を習い始めたばかりのイーサンは植の育て方の本を眺めることにしたらしい。
だけど本はさっぱり役に立たなかった。概論ばかりで実踐論が無い。でも利用料金を払った以上、何かしら本を読まなければ勿ない。私は各國の庶民の生活を記した本を読むことにした。
「わぁー。これ絶対に味しいわ」
それは海の向こうの國のお祝い料理。芋を茹でて小麥を混ぜてよく潰し、平たくして、甘辛い味をつけた鶏のミンチを包んで油で揚げ焼きする料理『プティユ』だった。
「これなら材料は全部うちで揃うわね」
前世は貴族だったから料理をしなかったけど、今世では料理は半分家事で半分は娯楽だ。頭を使うしも使う。味しいし喜ばれるし良いことずくめだ。
面白くなって次々と珍しくて実踐しやすい料理を探しては読み耽った。気がつくともう、午後だ。
「イーサン、そろそろ外に出てお弁當を食べようか」
「うん。おなか空いたよ」
魔法関連の本をカウンターに持っていくと、係の人に「魔法に興味あるのかい?」と尋ねられた。
「魔法に憧れているんです」
「子供はみんな一度は憧れるよね。僕も子供の頃は憧れて夢中で読んだよ」
「そうなんですか」
よしよし。うまくかわせた。
本を返して私たちは外に出た。
図書館の前の公園でお弁當を食べようとしたら、水売りの年が聲をかけてきた。
「水はいかがですか。今朝、泉で汲んだ味しい湧き水ですよ」
「ごめんなさい。今日は水筒を持ってきたから」
「そうでしたか」
引き下がろうとした年にイーサンが
「うちの水、すごく味しいんだよ」
と自慢してしまった。
水売りに水の自慢をしてどうする。
「ごめんなさい。気にしないで」
立ち去ろうとしたら水売りの年は明るい茶の癖の頭をし傾け、緑の目を細めて不思議そうな顔をした。
「あの、前に俺の水を買ってくれたことがありますよね?それより味しいの?」
水売りの年がイーサンに真面目な顔で尋ねる。イーサンをどうやって口止めしようか迷っていたらイーサンの口の方が早かった。
「買った水を飲んだのはこの前が初めてだったけど、うちの水の方が味しいと思ったよ。飲んでみる?」
「味見させてくれるの?ありがとう」
あああ。イーサン……。
イーサンは無邪気な顔で年に水筒を差し出した。今それを止めたら不自然よね。年は商売道のコップに水筒の水を注ぎ、味わいながらひと口飲んだ。
「え……」
緑の目を丸くしてまた水を口に含む。
「なにこの甘みのあるような水は。泉の水が一番味しいと思ってたけど、こっちの方が斷然味い」
「でしょう?」
でしょうニッコリ、じゃないよイーサン。私が降らせている雨は普通の水じゃないんだから味が違うのは當たり前なのに。よりによって水売りの人に飲ませるなんて。
「坊や、この水はどこで?」
「うちぶおふがふがっ!」
慌ててイーサンの口を手で塞いだけど微妙に間に合わず。
「井戸かい?僕に君の家の水を汲ませてもらえないかな。これだけ味しかったら売れると思うんだ。僕は稼ぎが足りないと飯抜きになっちゃうんだよ。うちは一日二食だから夕飯抜きはキツいんだ」
ぐっ、とが詰まる。
痩せてるなとは思ったけど、飯抜きって。育ち盛りなのに。飯を抜かされるって。ううう。
だめだわ、耐えられない。
「あなたお名前は?何歳?」
「ハキーム。十三歳だよ」
「ハキームさん、私のお弁當を食べてよ。いえ、ぜひ食べてください。十三歳の子供なのに。子供が飯抜きなんて。我慢ならないわ」
思わず言い放つとイーサンがそれを聞いて私にむかって小聲でつぶやいた。
「子供子供って。九歳のアレシアのほうがずっと子供だろ?」
【書籍版発売中!】ヒャッハーな幼馴染達と始めるVRMMO
【書籍化いたしました!】 TOブックス様より 1、2巻が発売中! 3巻が2022年6月10日に発売いたします 予約は2022年3月25日より開始しております 【あらすじ】 鷹嶺 護は幼馴染達に誕生日プレゼントとして、《Endless Battle Online》通稱《EBO》と呼ばれる最近話題のVRMMOを貰い、一緒にやろうと誘われる 幼馴染達に押し切られ、本能で生きるヒャッハーな幼馴染達のブレーキ役として、護/トーカの《EBO》をライフが今幕を開ける! ……のだが、彼の手に入れる稱號は《外道》や《撲殺神官》などのぶっ飛んだものばかり 周りは口を揃えて言うだろう「アイツの方がヤバイ」と これは、本能で生きるヒャッハーな幼馴染達のおもり役という名のヒャッハーがMMORPGを始める物語 作者にすら縛られないヒャッハー達の明日はどっちだ!? ※當作品のヒャッハーは自由人だとかその場のノリで生きているという意味です。 決して世紀末のヒャッハー共の事では無いのでご注意ください ※當作品では読者様からいただいたアイディアを使用する場合があります
8 72ウイルター 英雄列伝 英雄の座と神代巫女
アトランス界にある優秀なウィルターを育てる學校―『聖光學園(セントフェラストアカデミー)』では、新學期が始まった。神崎のぞみは神祇代言者の一族、神崎家の嫡伝巫女として、地球(アース界)から遙か遠いアトランス界に留學している。新學期から二年生になるのぞみは自らの意志で、自分のルーラーの性質とは真逆の、闘士(ウォーリア)の學院への転校を決めた。許嫁の相手をはじめ、闘士のことを理解したい。加えて、まだ知らぬ自分の可能性を開発するための決意だった。が、そんな決意を軽く揺るがすほど、新しい學院での生活はトラブルの連続となる。闘士としての苛酷な鍛錬だけでなく、始業式の日から同級生との関係も悪くなり、優等生だったはずなのに、転入先では成績も悪化の一路をたどり、同級生の心苗(コディセミット)たちからも軽視される…… これは、一人の箱入り少女が、日々の努力を積み重ね成長し、多くの困難を乗り越えながら英雄の座を取るまでを明記した、王道バトル×サイエンスフィクション、ヒロイン成長物語である。
8 69妹はこの世界でただ一人の味方
小學六年生のとき霧崎 學の父が病気で他界する。その時の再婚相手である女は子供を置いて失蹤した。義理の妹である霧崎 結衣と父が殘した莫大な遺産で生活を送っていたはずだった。 お互いの考えを知った時二人の生活は180度変わる。 文章は下手くそです。長い目で見てくれると助かります(長い目で見てもらったところで何も成長しなかった男) ちゃんと両立出來てる人もいますが學生なので更新頻度は不定期です。ごめんなさい。 コメントを頂ければ基本的に返信します。どんどん送ってください。あ、コメント數見れば分かると思いますがちょっと異常な數字です。見つけるのに時間がかかる場合もあるので人によっては時間がかかってしまうかもしれません。 キャラぶれぶれ・・・。
8 187ドラゴンテイマーにジョブチェンジしたら転生してた件
MMORPG『スカイ・アース・ファンタジア』のサービス終了のお知らせ。 それを知った主人公の大空 大地(おおそら たいち)は、最後のアップデートで実裝されたドラゴンテイマーになろうと決意する。 その後、なんとか手に入れたジョブチェンジ用アイテムを使った結果、MMORPG『スカイ・アース・ファンタジア』のもとになった世界へと転生してしまうのであった…… これは、強くてニューゲームしてドラゴンテイマーとなった男が、異世界で第二の人生を送る物語である。 ※.第一章完結しました。 ※.1週間に2、3話の投稿を目指します。 ※.投稿時間は安定しませんがご容赦ください。
8 135いつか見た夢
ある日、突然妹が失蹤した。その妹のため、兄は裏の世界の住人になることを決意する。謀略と暴力が渦巻く世界に巻き込まれていった兄妹の姿を描いたアクション。ことの発端は、妹の友人にまつわるストーカー事件だった。 ※また、過去にあげた回は順次、見やすくしていっています。
8 62姉さん(神)に育てられ、異世界で無雙することになりました
矢代天使は物心ついたときから、姉の矢代神奈と二人で暮らしていた。そんなある日、矢代神奈の正體が実の姉ではなく、女神であることを知らされる。 そして、神奈の上司の神によって、異世界に行き、侵略者βから世界を守るように命令されてしまった。 異世界はまるでファンタジーのような世界。 神奈の弟ラブのせいで、異世界に行くための準備を念入りにしていたせいで、圧倒的な強さで異世界に降り立つことになる。 ……はずなのだけれども、過保護な姉が、大事な場面で干渉してきて、いろいろと場をかき亂してしまうことに!? 姉(神)萌え異世界転移ファンタジー、ここに開幕!
8 106