《スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★》一軍ざまぁの続き
「おい、最近チョーシこいている奧井ってのはお前か?」
ぞろぞろと教室にってきたのは、細で形の男7人組だった。
制服のネクタイやリボンのから、同じ一年生であることがわかる。
みんな、読者モデルをやっていてもおかしくないルックスだ。
一年生の形ランキング上位を集めれば、こんなグループができるかもしれない。
けれど、その表は一様にしかめられ、俺のことを威嚇していた。
俺も、睨まないまでも、負けじと語気を強めた。
「調子にはのっていないけど奧井は俺だ」
調子に乗るどころか、みんなとの差をじて、劣等を持っているぐらいだと言ってやりたい。
「調子にのってんだろ」
「いつも峰さん獨占して何様?」
「あのね、峰さんはあんたのものじゃないんだから」
―—それを言うなら、お前らのものでもないだろう。
「あのねみんな、これは別に――」
「まぁまぁ峰さんは座ってて」
「そうそう、話はオレらがつけてあげるからさ」
二人の生徒がびを売るような顔で稲の言葉を遮った。
その間に、背が高くて目力のある生徒が俺と距離を詰め、機に座る俺をぐるりと取り囲み、裁判のように見下ろしてきた。
これは、悪質な人間がよく使う手口だ。
一人の人間を、徒黨を組んで責め立てる。
それも、ターゲットを高い目線から取り囲むようにだ。
そうすることで神的優位を取り、相手を委させる効果がある。
それが一番効果的だと、悪質な人間は本能で知っているのだろう。
「オレさ、能力者って嫌いなんだよ。人と違うことができるからって特別な人間気取りで、自分は神に選ばれた特別な人間だとでも思ってんのか?」
「それかバトル漫畫の主人公気取りな。キモいんだよ。いつまで漫畫に影響されているんだよお前何歳だよ。高校生にもなってこの世が自分を主人公にした漫畫だとでも思ってんのかよ」
稲も能力者なんだけど、こいつら本気で馬鹿なんじゃないか? いや馬鹿か。
悪質な人間は、【相手を攻撃する】というが前に出過ぎて、言葉の整合を考えない傾向がある。
論理が破綻していようが矛盾していようが、とにかく相手を攻撃できればなんでもいいので、支離滅裂なことを言っても気にしないのだ。
「お前ら能力者って、自分らを進化した超人だと思っているみたいだけど違うからな。超能力なんて人よりちょっと足が速いとか歌が上手いとかと同じただの個だからな」
「野球部がバッティングができる自分は進化した新人類とか言うのと変わんねぇよ、寒いんだよ。なのにガキの頃からいっつも偉そうにオレらを見下して何様だ?」
――あー、そういうことか。
ようするに、こいつらは羨ましいのだ。
勉強もスポーツも、努力をすれば鍛えられる。
だけど、超能力だけは手にらない。
だから、超能力者が羨ましくて仕方ないのだ。
それで、超能力と超能力者を見下して悪者に仕立て上げて見下すことで、プライドを保とうとしているのだろう。
稲につきまとうのは、歪んだ征服の現われかもしれない。
いつか稲と付き合い、そのカラダを好きにできるチャンスがあれば、【あの超能力者を屈服させてやった】と、支配とプライドを満たすのだ。
「おいなんとか言えよ」
「それともびびって聲も出ないか?」
馬鹿の相手をするのは面倒だ。
理屈が通じず、あらゆる曲解拡大解釈を駆使して聲高に『とにかく自分が正しくお前が悪い。だから謝罪しろ』の一點張りだからだ。
けれど、これ以上増長させて俺に手を出せば、桐葉が黙っていない。
既に桐葉は、両目に酷薄な殺意を漲らせ、五指の先端に淡いが明滅している。
その前に、こいつらをどこかへテレポートさせようか。
でも、暴力を振るわれていないのにそんなことをすれば、逆に超能力で暴力を振るわれたと聲高にび、被害者面をするかもしれない。
――あぁ、本當に馬鹿の相手をするのは面倒だ。だからこいつらとは関わり合いたくないし俺はソロ充だったんだよ。
親や教師は、みんなと仲良くするよう俺に強要してきたけれど、こいつらと仲良くするということがどういうことかわからない大人たちには、怒りで全のが泡立ったのを覚えている。
――なんて、昔話を思い出している場合じゃないよな。とりあえず聲を大きめに正論を並べるか。
「ちょっとみんな、私の友達に酷いことを言わないでよ」
俺が口を開く直前、稲がたしなめるような語調で言った。
そのまま、誰かが口を挾む前に、稲は活舌よく、朗々と口をかした。
「能力者が嫌いって、今まで私のことそういう風に見ていたんだ。みんな優しい人だと思っていたけどがっかりだよ。それに奧井君は今まで自分が能力者だなんて知らなかったんだから価値観はみんなと同じなのに、勝手な言いがかりで責めるなんて酷いよ。それにそうやって相手を取り囲んで見下ろして圧迫するなんて脅迫も同然じゃない。どうしてそういう底意地の悪いことをするの」
「なんだよ峰、お前オレらよりもこんな奴の肩を持つのか?」
「今は奧井君の肩を持つよ。だって奧井君が一方的にいじめられているんだから」
立て板に水とばかりに言い切った稲に、連中は途端に狼狽えた。
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