《スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★》いい人は都合のいい人
放課後になると、俺ら三人は下駄箱で上靴から外靴に履き替えて、正門から外に出た。
いつもなら、ここでテレポートを使うのだが、俺はどうしても、稲に確認しておきたいことがあった。
「じゃ、テレポートよろしくね」
「なぁ、稲」
「ん? なーに、ハニー君?」
俺の手を握ってから、稲は首を傾げた。
俺は、できるだけ平坦な聲で尋ねた。
「晝休みの時、稲はどうして俺をかばってくれたんだ?」
「…………うーん」
しばし無言になって悩んでから、稲は優しい表を見せてくれた。
「し、歩こうよ」
俺の返事を待たず、稲は歩き出し、手を引いた。
桐葉は何も言わず、ついてくる。
いつもの無邪気な顔ではない、かといって、時折見せる、冷酷な表でもない。
証明寫真を撮る時のような無表で、り行きを見守るように無言だった。
しばらく歩いていくと、下校する生徒たちの流れは、駅のり口に吸い込まれていった。
だから、駅の前を通り過ぎると、生徒の數はぐっと減る。
人目のない住宅街で、稲は俺の顔を見やった。
「さて、何か悩みがあるなら稲さんに話してごらん」
同い年なのに、まるで年上のお姉さんのように包容力のある口調で、稲は聞く姿勢にった。
その、しくだけた態度が、俺の口を軽くする。
「前、桐葉にも話したんだけど、俺、いわゆるボッチだったんだよ。小學校でも中學校でもみんなに馴染めなくて。だから晝休みの時みたいにかばわれたことも無くて、だから、なんでかなって」
「それはね、私がハニー君と友達になりたいからだよ」
「なんでだ? 俺なんて何も取り得ないぞ? それにイケメンでもないしトークが上手いわけでもないし、一緒にいて楽しくないだろ?」
「そんなことないよ」
稲は、穏やかな聲音で言った。
「ハニー君は、凄く【いい人】だから。ハニー君って、謙虛で真面目でしょ。それって魅力的だと思うよ」
言われたことのない単語を並べ立ててから、稲は続ける。
「サイコメトリー能力者の舞さんを信じて簡単に手を握ったよね。周りに優しくしてもらえない人が、他人を信じるって、凄いことだよ」
――稲は、俺がボッチなのを知っていたのか? いや、坂東と俺を見れば、俺の中學時代なんて、だいたい想像がつくだろう。
「それに、桐葉さんだって。ハニー君に魅力が無いと好きにならないよ」
稲とは逆隣を歩く桐葉を意識しながら、俺は重く口を開いた。
「でも俺、今まで好かれたことないぞ」
「それはきっと、みんなが【いい人】じゃなくて【都合のいい人】と付き合いたかったからじゃないかな?」
意外にキツイ言葉を吐くんだな、と思う間も、稲は優しく教え諭すように、滔々と話を続けた。
「舞さんや桐葉さん、詩冴さんや真理さん、それに麻彌ちゃんの気持ち、私はわかるよ。私もそうだから。昨日、ハニー君言ったよね。自分はただのタクシーだって、あんなこと、普通なら言えないよ」
そして、彼の聲にはどこか寂し気な響きが含まれる。
「普通の人は他人の手柄を橫取りする、自分との共同だったことにする、あるいは他人の手柄にケチをつける。でもハニー君は自分の手柄にすら気づかない。そんなハニー君のことが、私は好きだな」
――ああ、そうか。
今の言葉で理解した。きっと彼も昔、々とあったのだろう。
いつも穏やかに見えて、きっとその目で、悪質な人間たちを見続けてきたに違いない。
そう思うと、急に親近が湧いてきて、調子に乗ったことを言ってしまう。
「なら、俺も稲はいい人だと思う。みんなが卑屈で地味だと言う俺を、お前は謙虛で真面目と言ってくれる。そんなお前は、凄くいい人なんだと思う」
「惚れちゃった?」
すぐそばの桐葉を意識して、心臓が凍りそうだった。
「ちょっ、そういうことは冗談でも、なっ」
「はは、噓噓。ハニー君は、ちゃんと桐葉さんのこと、考えないとだめだぞ。じゃ、そろそろテレポートしようか」
「お、おう」
稲が俺の右手を握ると、逆側から、すぐに桐葉が左手を握ってきた。
そのまま俺と肩をれ合わせて、亜麻の髪を揺らしながら、桐葉の蜂の瞳が俺の顔を覗き込んできた。
「好きだよハニー」
まるで、何かに謝するような響きの意味を考えながら、俺は総務省にテレポートをした。
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本作を読んでくれてありがとうございます。
本作は第6回カクヨムWebコンテスト賞作で、修正、加筆したものを來月3月1日に書籍版が角川スニーカー文庫から発売されます。
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