《スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★》おでこタッチ♪

いつもの黒スーツとタイトスカート姿で力強く歩き、ハリウッド優かと疑うような貌と自信を振りまきながら、席には著かず、大臣たちの隣に威風堂々仁王立った。

「私は総務省異能部部長、龍崎早百合です。皆さんもご承知の通り、我々は一部の超能力者を集めて、財政破綻した日本の再生計畫を進めています」

的にはどのような?」

「今まで日本が輸していた資材を、超能力で調達し、政府の備蓄資材とするのです。すでにスーパーには外來生や鹿、豬のが並んでいるでしょう? あれを卸売りしているのは政府ですが、用意は能力者によるものです」

「危険はないのですか?」

まるで悪事を追求するかのような記者の口調に、早百合部長は毅然とした態度を崩さない。

「ありませんね。現に、何の問題も起こっていません。彼らは大人とは違いますから、皆、利権に関係なく、アルバイト覚で協力してくれています。當然、報酬は支払う予定です。労働力や善意の搾取は致しません」

「そうですか。しかし、超能力で的に、どうやって資材を調達しているのですか? その方法は本當に問題がないのですか?」

「実に単純です。日本が自給自足できないものは【金屬】【燃料】【食料】【類】の四品目です。特定の原子を集める能力者が都市鉱山、つまりゴミの山から金屬を集めて金屬問題を解消。人間以外のる能力者が、野生を食加工工場に集めて食問題を解決。テレポーターが海中のメタンハイドレートをアポートで取り寄せ燃料問題を解決。また、農作類は最初に説明した方法で手にした金銀で外國から輸することに功しています」

――上手いな。太平洋上でこっそり魚の導をしていることは言わない。あれが呈すると、國際社會から指摘されそうだからな。

「待ってください。テレポーターは遠くのものを自在に取り寄せられるのですか? それはつまり、金庫からお金を盜むことも可能ということでは? その辺りの管理制はどうなっているのですか?」

それは、真理の危懼していた通りの質問だった。

拠もなく他人を犯罪者予備軍扱いしてくる言には腹が立った。

でも、仕方ないのかもしれない。仮に、念じるだけで人を殺せる能力者がいれば、やはり怖いだろう。

「ふっ」

俺が気落ちするのを見かしたように、畫面の向こう側で早百合部長が笑った。

「それは、彼の者に拘束と監視が必要ということかな?」

「否定はしません」

「ならば、貴君にも拘束と監視が必要だな」

「それはどういうことですか? ご説明ください」

憤慨する記者に、早百合部長は涼し気な笑みを返した。

「誰だって人は毆れる。貴君も、そこの人も、あそこの人も、ここにいる誰だって傷害事件を起こすことができる」

記者たちひとりひとりを手で指しながら、言葉は朗々と続いた。

「犯罪を犯す力があるから拘束と監視が必要と言うならば、人類全てが犯罪者予備軍であり拘束と監視が必要だ。それをしないのは、お互いの信頼であり、ペナルティは問題が起きてから與えるものだからだ。彼だけ信頼のから外し、無実の罪で拘束することを是とするなら、それは個人への待でしかない」

――ッッ。

早百合部長の言葉が、俺の心を熱くさせた。

このようなことを言う大人を、俺は知らない。

大人はの大きな子供で、自己中で排他的で日和見主義で世間の為に子供を犠牲にする存在だったはずだ。

親にも教師にも、大人から守ってもらったことのない俺にとって、早百合部長は、初めて目にした、保護者の姿だった。

「しかし、その上でなお、該當テレポーターには極めて高い戦闘力を持った能力者を監視に付け、テレポーターが悪事を働けば実力行使で止めるよう厳命しています。私は否定的でしたが、テレポーター自がそれをみました」

それはちょっと盛った話だ。

けど、結果としてはそうなっている。俺は桐葉の監視をんでいる。むしろ、彼を手放したくない。

「また、誰もが躊躇うサイコメトリーを、自ら一日も欠かさずけ、前科が無いことを証明し続けています。テレポーターは、きちんと皆を信頼のれてくれる、優しい人ですので」

記者団は、ばつが悪そうに黙り込んだ。

ぐぅの音も出ないとはこのことだ。

その様子には、俺はがスカッとした。

「他に質問はありますか?」

「ぐっ、では、財政再建を擔うものとして、現政権についてどう思われますか?」

「どうとは?」

「もちろん、この未曽有の財政破綻を引き起こした政権に対する評価です」

記者は、早百合部長をギャフンと言わせたいというわにした妖しい目つきで、往生際悪く食い下がってくる。

何か叩く材料を手にしないと帰れない、そんなドス黒い使命で頭がいっぱいなのは見え見えだ。

けれど、早百合部長は落ち著いた表だった。

「この場で私からコメントすることはない」

記者が、嬉々として前のめりになった。

「逃げるのですか?」

「特定の答えを引き出したい質問に意味はないし私は政治評論家ではない。貴君好みの記事を書きたければ懇意な政治評論家に依頼すればいい。貴君に都合のいい評論で余白を埋めてくれるぞ」

「今のは侮辱ですよ!」

「では、私のSNSに今の畫をアップしよう。私と貴君の顔と名前と所屬の報を載せてな」

記者は怯み、青ざめた。

「お、脅すのですか?」

「脅すも何もこの映像は國営放送で生中継されているぞ? 自分の顔が流れるのが嫌なら覆面を被ってきたまえ。それに私だけ個人を特定されているのに記者は特定されない。これは不公平ではないか?」

早百合部長の毅然とした態度、その目力と聲力は畫面越しでも息を呑む程だった。

「し、質問を撤回します……」

記者は前かがみでこまり、後ろに下がった。

以降、早百合部長に質問する人は、誰もいなかった。

まるで、畫サイトのスカッと系畫のような展開に、俺は痛快な気分だった。

詩冴と桐葉も、聲を弾ませた。

「早百合部長やるねぇ」

「あはは、記者さんが可哀そうなくらいっすね」

「そういう詩冴だって顔が笑っているぞ」

「そうっすか? でもこれで、ハニーちゃんは安心して眠れるっすね」

「まぁ、ハニーを脅かす奴は全部ボクがやっつけるけどね」

桐葉は悪い笑みを浮かべて、五指に半明の毒針を形した。

「自重しろい」

俺が空手チョップの寸止めでツッコミをれると、桐葉がチョップにおでこを當ててきた。

「おでこタッチ♪」

ちゅっとくちびるを尖らせた桐葉が可い。

それに、手に桐葉の溫をじて、俺はチョップを引っ込めた。

「あ、ハニー照れてる。かわいい♪」

「からかうなよ」

俺が怒っても、桐葉は喜ぶばかりだった。

桐葉の逆隣で、詩冴が頭を悩ませた。

「う~ん、これって監視なんすかねぇ?」

誰がどう見ても、彼とイチャついているだけだった。

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