《スクール下克上・超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました★スニーカー文庫から【書籍版】発売★》ペンギンよりもかわいい麻彌たん

水族館のり口近くは池が広がり、その中にウニ、ヒトデ、イソギンチャク、カメをむことができた。

そして、池コーナーを通り過ぎてゲートをくぐると、廊下の壁がガラス張りになっている、ペンギンコーナーだった。

ガラスの中では、ペンギンたちがプールで泳いだり、集団で並んで白い床の上をよちよちと歩いてとても可い。

奧の方では、飼育員のお姉さんがペンギンたちにエサの魚を與えている。

が、頬をゆるゆるにして和む。

「ペンギンて可いね。パンダとかシャチとか、どうして白黒のって可いんだろ」

「シマウマはカッコイイ系だけどな。でもペンギンの可さは反則だよな。大人になっても可なんて滅多にいないぞ」

「あ、男の子でもそう思うんだ」

が、意外そうな顔をする。

「おいおい、男子でも可いものは可いんだぞ」

「可いに別は関係ないっす♪ 特にあの他のペンギンより大きいけどふわふわの髪をツーサイドアップにまとめたが白くて目が大きいのなんてマヤちゃんみたいじゃないっすか?」

「本當だな。まるで麻彌だな」

「麻彌ちゃんそのものだね」

「麻彌さんとうり二つだね」

「真理、麻彌は?」

「皆さんの視線の先におりますが?」

詩冴、俺、舞稲、桐葉が、同時に息を呑んだ。

「いやマヤちゃんすよ!」

「あいつどこからったんだ!」

「麻彌ちゃんそっちだめ! すぐ戻ってきて!」

「桐葉さん、出り口探そう」

「わかった」

「大人數でっては大騒ぎになると思いますが」

「ならシサエのオペレーション能力で! ペンギンちゃん、スクラムを組んで壁を作って麻彌ちゃんが奧へ行かないようディフェンスするっす!」

「きゅ~」

詩冴の指示通り、ペンギンたちは橫一列に並んで、がっちりと肩を組みながら壁を作り、麻彌の進行を阻んだ。

麻彌がペンギンの壁にダイブ。

麻彌はペンギンたちのたぷっ腹をのままにみながら、ご満悅だった。

「しまった、麻彌ちゃんがますますり浸っちゃうっす」

「おい飼育員に気づかれるぞ」

奧にいる飼育員は、まだ麻彌の存在に気づいていない。麻彌が無口なのが幸いした。

けれど、もうすぐ餌をやり終わりそうだった。

數秒後には振り返って、麻彌を視界に収めるだろう。

「ぬぉおおお! ペンギンちゃんたち、飼育員さんの気を引くっす!」

飼育員から餌を貰っていたペンギンたちが、突然喧嘩を始めた。

飼育員さんは喧嘩の仲裁をしようと必死になる。

「よし、今のうちに、て、麻彌の奴、ペンギンを抱いたまま寢始めたぞ!」

「くぅぅうう! これ以上どうやって飼育員の気を引けばいいっすか! ペンギンちゃんにムーンウォークでもさせるっすか!?」

「そんなことしたら変な噂になっちまうだろ!」

俺と詩冴がどうしようと慌てふためき、舞はひたすら狼狽して、真理は指示を待つメイドのように控えていた。

そして稲が一言。

「いや、ハニー君のテレポートで連れ戻せばいいんじゃないかな?」

「そうそう」

桐葉もきょとんと頷いて、俺ら三人はうつむいた。

麻彌をテレポートで連れ戻しつつ、服についた汚れだけをテレポートで綺麗にしてあげた。

それから、俺らは麻彌を抱えて水族館の奧へと逃げ出した。

今は、自販売機でジュースを買って、休憩スペースでテーブルを囲んでいた。

「やれやれ、いつバレるかヒヤヒヤしたぜ」

「もう麻彌、勝手に中にっちゃダメじゃない」

に怒られても、麻彌に反省のはなく、むしろ不満げだった。

「むぅ、お腹はモチモチしていたけどはふわふわじゃなかったのです」

「そりゃあまあ泳ぐ鳥だしな。水吸う羽じゃ泳げないだろ」

麻彌は椅子を降りると、桐葉の膝の上に乗っかった。そして、桐葉のを枕にくつろいだ。

「やっぱり桐葉さんのおっぱいが一番なのです」

「そう? ボクのおっぱいそんなに気にった?」

桐葉はうれしそうに麻彌を抱きすくめ、ぷにぷにの頬を指でつついた。

仲睦まじい景に俺がほっこりしていると、稲が言った。

「そういえば舞さんて、麻彌さんのこと呼び捨てなんだ?」

「えっ、いや……」

が慌て始めると、真理が口を挾んだ。

「舞さんは私と麻彌さんには割とタメ口です」

「ふゃっ、真理っ」

の言葉を遮るように、真理はまくしたてた。

「しかしこれは皆さんとの壁があるわけではありません。同じ警察班の我々と違い、皆さんと一緒に居る時はほぼハニーさんもセットの時です。なのでみなさんを呼び捨てにするとハニーさんのことも呼び捨てにする必要があり、おない年の男子を呼び捨てにするのは恥ずかしいという乙心の現われです。つまり、舞さんは子力が高いということなのです」

言い切ると同時に、真理は舞に向けて親指を立てた。その無表は、いつもと同じ無表のようでいて、瞳には確かな達があった。

舞の顔は涙目で真っ赤だった。

「真理のばかぁ……」

すると、稲が首を傾げた。

「でも舞さんてハニー君のことハニーくんて呼んでいるよね? 元から名前なんて使ってないんじゃない」

「え? …………あれ、じゃあハニー? でもそれじゃわたしの人みたいだし、じゃあ育雄。今更名前、しかも呼び捨てじゃやっぱりわたしの人みたいだし、いやでもむしろ合法的に呼べるチャンスいやでも……」

はうつむいたまま、ぶつぶつと瞑想にってしまった。

「舞って將來絶対に苦労するタイプだよな」

「私は【すでに】苦労しているタイプだと思うなぁ……」

「だな」

俺がジュースを飲み終えて、空き缶をテーブルに置くと、桐葉が麻彌を抱えたまま立ち上がった。

「ボク捨ててくるよ」

「おう、悪いな」

麻彌を床に下ろしてから、俺と自分、それから、みんなの空き缶も持てるだけ持って、桐葉は自販機橫のゴミ箱まで歩いて行った。

一人で七人分は大変なので、持ちきれない分は、麻彌が手伝ってあげた。

髪のは違うけれど、二人の後姿は、仲の良い姉妹のようにも見えた。

「それにしても、桐葉さん変わったよね」

「ああ。最初は俺以外の人なんていらないってタイプだったのにな。けど、それは稲もじゃないか?」

「私?」

俺は頷いた。

「勘違いならいいんだけど、なんていうか、前よりも事をはっきりと言うようになった気がするよ」

とは言っても、元から俺は、稲と深い付き合いがあったわけじゃない。だから、これは俺の考えすぎだろう。

でも、稲は無言になって、し視線を落とした。

それから、まるで観念したように、でも晴れやかな顔で口を開いた。

「それはきっと、私が八方人をやめたからだね」

なかなかの弾発言に、その場の空気が靜まり返った。

「わざわざ人に話すようなことじゃないかもだけど、実はね、私養子なの」

続く重たい言葉に、俺は反応に困った。

でも、まるで俺に配慮するように稲は淡々と語り始めた。

「割とある話なんだけどね、私の両親は子供ができなかったから私を養子に迎えた。でもその後すぐ、八歳の頃に本當の子供ができてから、家に私の居場所はなくなった。だから、學校では居場所を失いたくなくて、みんなに好かれるような言を心掛けた。けどね、もういいんだ」

大きく息を吐きながら、稲は椅子の背もたれに重を預けて言った。

「だって、私の居場所はここにあるから」

和な笑みを浮かべながら、稲は語った。

「みんなは私に勝手な期待をしない、んだ言葉を言わなくても怒らない。強要も攻撃もマウント取りもしない。みんながいてくれたら、私は學校に居場所なんて無くていいんだよ」

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