《【最強の整備士】役立たずと言われたスキルメンテで俺は全てを、「魔改造」する!みんなの真の力を開放したら、世界最強パーティになっていた【書籍化決定!】》第44話 埋め——side聖デリラ

フィーグが追放されてから二週間。

勇者パーティの一員、聖デリラは同じパーティの魔師サラに喚き散らす。

「だからさあ、なんでフィーグより下手なのよ。

アンタら、のくせに!」

デリラは魔法使いサラを明らかに下に見ていた。

フィーグと同じように。

「聖デリラ、私たちは冒険者としてずっとやってきたので洗濯のスキルなど無いんですよ。

質を求めるなら、洗濯屋に持っていくのがよろしいかと」

「じゃあ、フィーグはどうやってあんなに綺麗に洗濯できていたのよ?」

「フィーグさんは洗濯職人の店に行っていましたが?」

「だからって、私が洗濯屋に行けと?

言い訳ばかりで……こんな役立たずがどうして殘っているのよ!」

フィーグは洗濯や掃除など、あらゆる雑用をこなしていた。

とはいえ職人に頼むなどしてお金を使っていた様子もない。

師サラは、フィーグが職人のスキル整備(メンテ)をして代わりに作業を代行してもらっていたことを知っていた。

前に勇者アクファや聖デリラに伝えたことはあったのだが、彼らは一笑に付していたのだ。

「はあぁ……フィーグさん——。どうして?

私も勇者アクファたちのイジメを止められなかったから?

うう、ごめんなさい……フィーグさん。

でも……いなくなってやっと分かるなんて、もう遅いわね」

溜息をつき、洗濯を続ける魔師サラ。

次に掃除や食事を作る仕事が待っていた。

勇者パーティ専用宿舎には、元々掃除をしたり洗濯をする専屬のメイドがいたのだが、フィーグが來た頃にはいなくなっていた。

雑用はフィーグが行うようになり一旦はそれで回るようになったのだが、今はフィーグすらいない。

再募集するのだけど、割と高い報酬にもかかわらず誰も応募をしない。

宿舎管理人も首をかしげるだけだ。

「私も、辭めたくなってきたな……」

そう魔師サラはぼやくのだった。

☆☆☆☆☆☆

「ああ……ッ。また洋服がシワになっているわ。

アイツ、どこに行ったのかしら」

デリラは、フィーグの居場所が分かれば、そこに行って連れ戻そうと考えていた。

高圧的に言えば、あるいは、を使ってをすればフィーグは従うだろうと思っている。

以前、こんなことがあった——。

「フィーグ、これとこれ、洗濯お願い」

「聖デリラ……他のメンバーよりどうして量が多いのです?

汚れていないのに洗濯に出していませんか?」

「あら……ウチのお願いを聞いて貰えないの?」

デリラはそう言って、フィーグにれようとする。

しかし、フィーグはサッと避ける。

「……どうして避けるの? お願いを聞いてくれたら、いいことだってしてあげたっていいのよ?」

「はぁ、聖デリラ……あなたには婚約者がいるでしょう?」

「真面目ねえ。

じゃあ、勇者アクファにフィーグの処遇について話し合わなければね。

つべこべ言わずに、とっとと言うとおりにしてればいいのよ」

「……はあ、分かりました」

自分の貌があれば、フィーグも従うと思っていた聖デリラはこんな男もいるのだと驚く。

何度かしたのだがフィーグはまったくなびかなかった。

そのため、高圧的に圧力をかけて従わせてきた。

フィーグはすぐにパーティをやめるわけにいかない。

彼は魔法學園に通う妹の學費を稼ぐ必要があることを知っていたので、ちょっとパーティ構の決定権がある勇者アクファの名を出せば怯むことを利用していた。

☆☆☆☆☆☆

そんなフィーグがまさか出ていってしまうとは。

し前、聖デリラは連れ戻そうとしない勇者アクファに抗議しに行ったのだが——。

「アクファ、どうしてフィーグを追放したの?

雑用係がいなくなって困るのだけど」

「ああ、それは……楽しいからだ。

それに文句も多くてアイツを置いていても面倒だったからな」

「アクファ、あなた……知ってるわよ。

雇われた雑用係のに迫って無理矢理したり、夜の街で無理矢理働かせたり……」

「それがどうした?

雑用係なら男よりの方が良い。

どうせまた応募があるだろう」

「……せめて次の雑用係が見つかってからでも良かったのに」

「ああ、それはこのままだと正式メンバーになってしまうから、時期的な問題もあった。

クッ。希を斷たれたフィーグの顔……傑作だったぞ?

アハハハハハハ!」

デリラは違和を抱く。

格はともかく、この計畫の無さは何だろう?

をうずめ、快楽だけを求めている。

の知れない不安に、聖デリラはこれ以上突っ込めなかったのだった。

☆☆☆☆☆☆

何もかも上手くいかない。

勇者アクファは、先日の冒険の後、王都ギルドに向かったまま帰ってこない。

パーティメンバーは疲れが見える。

このパーティの行く末に不安を覚える聖デリラ。

「そろそろ前に婚約したフェルトマン伯爵に連絡を取ってみるべきかしら?

とりあえず伯爵の家に潛り込めば、しばらくは贅沢ができそうだし」

さっそく伯爵に連絡し……ある報を手にれる。

「へぇ、フィーグが來るのね——」

【作者からのお願い】

この小説を読んで

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