《【最強の整備士】役立たずと言われたスキルメンテで俺は全てを、「魔改造」する!みんなの真の力を開放したら、世界最強パーティになっていた【書籍化決定!】》第46話 夜會(2)
翌日の夜。
フェルトマン伯爵から要請があった夜會が行われる館。
俺とエリシスは二人でこの會場にやってきた。
大きな館だ。街からはし離れている郊外にある。夜會の會場がある館と、宿泊ができる宿屋のような館と二つが塀に囲われている。
その二つの館の間に、中央にはしく手れされた庭がある。
俺たちは館に著き名を告げると、控え室に通された。
「あの……他の方は大丈夫でしょうか?」
「アヤメはしっかりしてるし、リリアとキラナの面倒くらい見られるよ」
「それもありますが、その、もし夜盜などに襲われたら?」
「うーん、高級宿だから警備は厚いだろうし、アヤメもリリアも強い。キラナも自分のくらい守れると思うが……」
エリシスは納得していないようだ。
銀竜の姿を萬が一心ない者に見られていたら、捕らえられてひどいことをされるのではないかと心配している。
とはいえ、竜の狀態で【炎の息(ファイアブレス)】を使ったらどうなるのだろう?
ただでさえLV90だ。巨人(ジャイアント)でもあっさり丸焼きにしてしまうだろう。いや、それどころか區域全域が灰になる恐れだってある。
一応、街中では自制するようにと伝えている。キラナは賢い子なので大丈夫だろう。
とはいえ、の危険をじたら……くれぐれも愚か者が、彼らを攻撃しないことを切に願った。あの宿屋も灰にしてしまいそうだ。
「しかりエリシスはやっぱり貴族なんだな。そのドレス似合っているよ」
「フィーグ様もとてもお似合いだと思います」
し地味目とはいえ、それっぽい貴族が著るようなドレスをにつけている。
俺は、なくとも夜會に來ておかしくない程度のスーツを晝間に用意しに付けている。
「フィーグ様と二人だけというのは張しますね」
「そうなのか? それなら俺は廊下で待っていようか?」
「いえ、大丈夫です。ここにいてください」
などと話していると。
コンコンとドアをノックする音が聞こえ、呼び出される。
「では、夜會の準備ができました。エリシス様、こちらへ」
あれっ?
夜會の前にフェルトマン伯爵に引き合わせるものだと思っていたのだが……そのまま夜會が始まってしまったのだった。
☆☆☆☆☆☆
夜會會場に通される。
ここは貴族の社場。
部屋の口側はテーブルがいくつかあり、飲みや食事が用意されている。
かなり広い部屋で、絨毯もふかふか。壁には絵畫や紋章をかたどった旗がぶら下がっている。
奧の方は広い空間があり、既に踴っている男がいる。
豪華絢爛、著ている服もにつけている裝飾品も、どれもこれもギラギラしているように見える。
俺はこんな世界に慣れていないので目がくらくらしてくる。
エリシスは壁際に立った。
周りの令嬢は次々に男に聲をかけられ、踴り始める。
しかし、エリシスには誰も聲をかけようとしなかった。
「あの……あれか……聲をかけてはいけないって聞いているが」
ふと、エリシスを見つめつつそんな聲を発する者がいる。
ニヤニヤした下卑た視線を送る者がいる。
「フィーグ様。私はどうやら歓迎されていないようですね」
「なぜ? 貴族って、こういうことあるの?」
「分かりません。このような場に來たことはないので」
といいつつも、眉を下げ口をつぐむエリシス。
彼の視線は華麗に舞う男に向けられてきた。
楽しそうに踴る男を、エリシスは目で追っている。
うず、うず、しているみたいだ。踴りたいように見える。
でも、相手が現れない。
伯爵の差し金なのか貴族の男たちは皆、完全にエリシスを無視していた。
壁の花になってしまうエリシス。そして、その様子を嘲笑うように見つめる令嬢たち。
どうやらエリシスに恥をかかせるのがこの夜會の目的らしい。
俺はそんな周囲の様子にイラッとした。
「エリシス、君は踴れるんだよね?」
「はい……生前のお父様とお母様に習いました」
「じゃあ、俺とどうかな?」
俺がそういった所で、聲をかけてくる人がいる。
「あら、これはこれは……婚約破棄をされたエリシスさ(・)ん(・)でしたっけ? それに……」
一人のド派手なドレスをに纏ったが俺たちに近づいてきた。
俺は思わず溜息をつく。
現れたのは、聖デリラ。俺が追放された勇者パーティの一員だ。
「あ、ああ……久しぶり」
「フィーグッ! こんなところで出會えるなんて奇遇ね!」
「そ、そうだな」
俺は今すぐ逃げ出したい衝に駆られる。
もう関係は無いとは言え、この人は苦手だ。やたらしてくるし、なんだかんだ雑用を押しつけられてきた。
あたりを見渡す。一番會いたくないのは勇者アクファだ。
しかし、姿が見えない。俺はほっと一息つく。
「神程度のこんなより、私と踴りませんこと? 久しぶりの再會を祝って。踴れなくても、私がサポートするわ」
聖デリラは俺に手を差し出した。
正直苦手な人で、とりあえずその言葉に従っておけば間違い無いことはが覚えている。
だから、この手を取れば問題はないはずだ。
しかし……。
こんな。エリシスにそう言ったことに、俺はなからずイラッとした。
俺のことはともかく、貴重なパーティメンバーをバカにされて黙っているほど、俺はお人好しでもない。
こんな時に大切なメンバーを守れないようでは……世界で一番強いパーティなんて目指すことができない。
「すみません、聖デリラ。殘念ながら俺は……こちらの聖(・)(・)エリシスと一緒に踴りたいと思います」
その言葉に、聖デリラはピクッと眉をかす。
明らかに揺していた。
「何ですって? このが聖ですって? それに、私を選ばないとどういうことになるのか、分かってるのっ?」
前に何度もけた恫喝だ。以前は勇者パーティに縋っていたし、勇者アクファに々言われるのが嫌で従ってきた。
だけど今は、俺は自分のパーティを持っているし、今俺の周りにいてくれる人たちより重要なことなどない。
それに——。
「選ばなければ、どうなるんですか? 俺はもう勇者パーティの一員ではありません」
「だから、勇者パーティに戻れるように私が手助けを——」
「いりません。それに、俺にとっては聖エリシスの方が大切です」
俺の凜とした言い方に、聖デリラが怯んだ。
今までにないことだ。
「なっ。だいたい、庶民のフィーグがダンスを踴れると思っているわけ? 私ならサポートできるのに、そのはできるって言うの?」
アテが外れたのか、怒り狂う聖デリラ。
し張したけど、きちんと言い返せた。今の俺は前と違う。
俺は、ぷしゅーっと湯気を立てているように怒り出す聖デリラに背を向ける。
そしてエリシスを見て、改めて手を差し出した。
「俺と、踴ってくれませんか?」
「えっ? しかしフィーグ様は——」
エリシスは何か言いかけて、留まった。そしてしうつむく。
言いたいことは分かる。
庶民出の俺が貴族が行うようなダンスなど踴れるはずがない。
俺は心配そうな表をしているエリシスに、ニッと笑顔を見せた。心配するな、そう想いを込めて。
すると、彼は戸いながらも俺を見上げてくる。
エリシスは俺の表を読み取り、し口角を上げた。
「そうですね。フィーグ様は偉大なる——神でしたね」
今だけは、咎めない。パーティメンバーが前を向いてくれるなら、顔を上げてくれるなら、俺は何にだってなろう。
エリシスは俺の差し出した手を取った。
「フィーグ様、おいいただき、ありがとうございます。喜んで、おけいたします」
エリシスの可らしい笑顔が戻ったことを確認すると、俺はスキルを起した。
【スキル整備(メンテ)を起します。——エリシスの特技スキルを診斷します】
【特技スキル、貴族:舞踏を整備(メンテ)します。功しました。魔改造しますか?】
「當然、YES!」
【以前整備したことがある王族たる者の質、および、エリシスの特を利用し魔改造します。
——功。
舞踏は、王族:前衛舞踏《コンテンポラリー・ダンス》に魔改造されました】
うん?
おかしいな。今まで王族自のスキル整備はしたことがないんだけどな。
まあいいか。
俺は、エリシスの手を引き、颯爽と広く空いた舞(・)臺(・)の中央に躍り出た。
後ろで聖デリラが、なにやらわめいている。
でも、俺にとってそれはもう、どうでもいいことだった。
【作者からのお願い】
この小説を読んで
「すべては、パーティメンバーのために」
「続きが気になる!」
「この先どうなるの!?」
としでも思ったら、ブックマークや、↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!
まだ評価をされてない方も、★をいただけると嬉しいです。
【書籍化】物語完結後の世界線で「やっぱり君を聖女にする」と神様から告げられた悪役令嬢の華麗なる大逆転劇
転生も巻き戻りもせずに大逆転を遂げる悪役令嬢の物語。 婚約者だった皇太子とその浮気相手の聖女に斷罪されたイリス・タランチュランは、処刑を目前にして牢獄の中で夢を見た。夢の中でイリスはこの物語の神だと名乗るウサギに出會う。ウサギは聖女であるヒロインへの不満から、イリスに向けて「やっぱり君を聖女にする」と言い出した。目が覚めると、イリスの瞳は聖女の証であるルビー眼に変わっていた。同時刻、神殿の大神官の元には有り得ない衝撃的な神託が下り、知らせを聞いた皇帝は愕然とする。自分を陥れた元婚約者とヒロイン、そしてその周囲の人々へ復讐を誓うイリスは、神に與えられたこの設定を存分に利用するのだった。 ※お陰様で書籍化が決定いたしました。詳細は後日ご報告致します!
8 155拾ったのはダンジョンコアでした!?
僕は前世の記憶を持つ子供だった。 僕は前世の記憶が蘇った時には孤児になり住んでいる村の村長さんに育てられていた。 僕はいつも通り村長さんのお手伝いをしていると森の中で水晶を見つけた。 水晶は水晶ではなくてダンジョンコアだったのだ。 ダンジョンコアを拾った僕はダンジョンマスターになった。 これはダンジョンコアを拾ったことでダンジョンマスターになった僕の物語
8 164異世界転生者〜バケモノ級ダンジョンの攻略〜
pv【12000】越え! 私こと、佐賀 花蓮が地球で、建設途中だったビルの近くを歩いてる時に上から降ってきた柱に押しつぶされて死に、世界最強の2人、賢王マーリンと剣王アーサーにカレンとして転生してすぐに拾われた。そこから、厳しい訓練という試練が始まり、あらゆるものを吸収していったカレンが最後の試練だと言われ、世界最難関のダンジョンに挑む、異世界転生ダンジョン攻略物語である。
8 159LIBERTY WORLD ONLINE
『LIBERTY WORLD ONLINE』通稱 LWO は五感をリアルに再現し、自由にゲームの世界を歩き回ることができる體感型VRMMMORPGである。雨宮麻智は、ある日、親友である神崎弘樹と水無月雫から誘われてLWOをプレイすることになる。キャラクタークリエイトを終えた後、最初のエリア飛ばされたはずの雨宮麻智はどういうわけかなぞの場所にいた。そこにいたのは真っ白な大きなドラゴンがいた。混亂して呆然としていると突然、白いドラゴンから「ん?なぜこんなところに迷い人が・・・?まあよい、迷い人よ、せっかく來たのだ、我と話をせぬか?我は封印されておる故、退屈で仕方がないのだ」と話しかけられた。雨宮麻智は最初の街-ファーロン-へ送り返される際、白いドラゴンからあるユニークスキルを與えられる。初めはスキルを與えられたことに気づきません。そんな雨宮麻智がVRの世界を旅するお話です。基本ソロプレイでいこうと思ってます。 ※基本は週末投稿 気まぐれにより週末以外でも投稿することも
8 74(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
「お前、ここで働かないか?」 その一言で働くことになった俺。喫茶店のスタッフは、なんと二人ともドラゴンが人間になった姿だった。なぜかは知らないが、二人はメイド服を著て喫茶店をしている。なし崩し的に俺も働くことになったのだがここにやってくる客は珍しい客だらけ。異世界の勇者だったり毎日の仕事をつらいと思うサラリーマン、それに……魔王とか。まあ、いろいろな客がやってくるけれど、このお店のおもてなしはピカイチ。たとえどんな客がやってきても笑顔を絶やさないし、笑顔を屆ける。それがこのお店のポリシーだから。 さて、今日も客がやってきたようだ。異世界唯一の、ドラゴンメイド喫茶に。 ※連作短編ですので、基本どこから読んでも楽しめるようになっています。(ただしエピソード8とエピソード9、エピソード13とエピソード14、エピソード27~29は一続きのストーリーです。) ※シーズン1:エピソード1~14、シーズン2:エピソード15~29、シーズン3:エピソード30~ ※タイトルを一部変更(~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~を追加)しました。 ※2017年からツイッターで小説連載します。http://twitter.com/dragonmaidcafe 章の部分に登場した料理を記載しています。書かれてないときは、料理が出てないってことです。
8 56After-eve
のどかな自然に囲まれて--- 小さな街の「After-eve」というパン屋を中心のヒューマンストーリー
8 92