《【書籍化】ループ中のげられ令嬢だった私、今世は最強聖なうえに溺モードみたいです(WEB版)》22.『先見の聖』とお茶會①
エイムズ伯爵邸へと向かう馬車の中。トラヴィスは、私の格好を死にたくなるほど大袈裟に褒めちぎってくれた。
上品な合いが私にぴったりだとか見違えたとかもっといろんなドレスを著ているところが見たいとか想像以上にしくて驚いたとかどんな華やかな花も君には勝てないとかその他いろいろ。
ついでに、バージルのセンスとブロンドヘアのしさまで。彼に聞かせてあげたかった。
ここまで褒めてくれるなら、こちらとしてもお世辭をけ取ったと割り切れて心穏やかなのに。こんな技を使えるなら、昨日の聖用の新しいドレスの時點で繰り出してほしかった。
一通り褒め殺してくれた後で、トラヴィスは軽く微笑んだ。
「……今日は楽しみだな」
「でもいいのですか? お茶會となるとあなたの顔を知っている人がいるかもしれません」
「この國に戻るならいずれわかることだ。神殿に迷をかけることでなければ気にしない」
「……そうですか……」
今、トラヴィスは『この國に戻るなら』と言った。いろいろと余計なことを考えてしまいそうになったので、私は話題を変えることにする。
「トラヴィス……って、私に関する噂話をどれぐらい知っているのですか?」
「ああ、ほとんど知らないな」
「本當に?」
「信じないものは存在しないのと同じだよ」
そうきましたか。
けれど、トラヴィスならそんな風に考えてくれている気はしていた。信頼している相手以外にはこんな言葉はくれないけれど。
耐え切れないのでなんでもいいからまた褒め殺してほしい、そんなむずい空気になりかけたところで、馬車はエイムズ伯爵邸へと到著したのだった。
今日のお茶會はガーデンパーティーで、賑やかなものだ。サロンでのかしこまったお茶會とは違いたくさんの招待客がいるらしい。
馬車から降りると、トラヴィスはこの前聖用の服を選びに街へお出かけしたときのように右ひじを差し出してくれた。そこにそっと軽く手を預ける。
正直なところ、お茶會なんて慣れていない。聖としては過去4回分のスキルをため込んでいるけれど、貴族令嬢としての私は半人前以下なのだ。けれど。
「僕は人質育ちだけど、わりと大切にされて育った方だから。安心して頼ってくれるかな?」
「……はい」
笑っていいのかわからない冗談と、こちらを優しく見下ろす暴力的なまでに整った笑顔。トラヴィスの言葉遣いにモードが切り替わったのをじて、私もふうと息を吐いた。
「行こうか」
「はい」
◇
一方その頃。
エイムズ伯爵邸の庭には微妙な空気が流れていた。
「今日はクリスティーナ嬢のクロスがないのね? とても殘念だわ。社界で評判の腕前をぜひ拝見したかったのに」
「も、申し訳ございません、エイムズ伯爵夫人。クリスティーナはここのところ神殿での巫の研修で忙しく……クロスをつくる時間がなかったのだと」
「エイムズ伯爵夫人。私、クリスティーナですわ。今回は間に合わず……次のお茶會のときには、必ず」
母親にあわせて頭を下げながら、クリスティーナは心の中で毒づく。
(一どういうことなのよ。確かに布は渡したし、神殿で會ったときに脅しをかけておいたのに!)
異母姉・セレスティアがクリスティーナに逆らったことなどない。途中からは母親の形見を拝借して脅していたという自覚はあるが、どんなときでも大人しく自慢話を靜かに聞いていた姉だ。そんななどなくても、歯向かうはずがなかったのに。
(やっぱり、クロスを神殿まで取りに行くべきだったわ。この後、セレスティアお姉さまもこのお茶會に來る予定だけど……まさか自分で持ってきたりしないわよね!? そんなことをされたら私に刺繍ができないとバレてしまうわ。でもあの人、私に仕返しをするようなタイプではなかったはずだけれど)
今朝になっても、頼んだクロスはスコールズ子爵家へ屆かなかった。後悔したところで後の祭りである。
エイムズ伯爵夫人への謝罪を終えたクリスティーナの肩をマーティンが支えてくる。
「君の刺繍の腕が素晴らしいことは誰もが知っているよ。エイムズ伯爵夫人だって次の機會を下さるさ」
「マーティン様……」
「僕も、今日はクリスティーナが刺繍したハンカチを持っているんだ」
姉の元婚約者からの同的な視線に、クリスティーナはにっこりと可憐な微笑みを返して見せた。
「……今日はセレスティアお姉さまも招待されているのです。きっと間もなくいらっしゃいますわ」
「せ、セレスティアが?」
「ええ。大丈夫ですわ。私たちのことはお母様も納得していますもの。もしお姉さまが取りすようなことがあっても、マーティン様のご心配には及びません」
セレスティアの部屋でマーティンからの手紙を見つけたクリスティーナの怒りは、マーティンではなく姉へと向いていた。
(巫の研修で出會ったアンナのお家がエイムズ伯爵家と懇意だと聞いて思いついたのよね。セレスティアお姉さまにもこのお茶會に來てもらおう、って。マーティン様に婚約破棄を告げたくせに、手紙のやりとりを続けているなんて卑しい人だわ)
「クリスティーナ様。そんなに落ち込まないでくださいませ。私も泊りがけでの研修は大変でしたわ。そんな中、ぎりぎりまでクロスの準備をなさっていたクリスティーナ様は本當に健気ですわ」
「アンナ様……」
今日のお茶會には同じ巫仲間のアンナも出席していて、クリスティーナを勵ましてくれる。あとはセレスティアが到著するだけ。
クロスのことだけは予定外だったけれど、ここのところ取るに足らない姉に上を行かれ、イライラしていたクリスティーナが気を晴らす舞臺は整ったはず……だった。
そのとき、外の道へと続く門が開いて二つの人影が見えた。
(どこか高位貴族のご令嬢と、そのお兄様かしら)
クリスティーナがそう思ったのは、令嬢の格好が洗練されていたからである。ドレスのデザインはトラディショナルなものだけれど、あわせた小に遊び心がじられて。エイムズ伯爵夫人という社界の重鎮主催のお茶會に相応しい、場所をわきまえた格好だった。
そして、その令嬢をエスコートする男は、令嬢よりもさらに目を惹いた。見たことがある……? 遠目にそう思ったけれど、誰なのか思い出せない。
皆が同じようなことを思っているのだろう。お茶會の始まりを待ち、ざわざわと賑やかだったはずの庭に靜寂が満ちる。
「……なんてこと。賓客がお出ましだわ。誰か、すぐにこの庭とは別にサロンの準備を」
エイムズ伯爵夫人の言葉に、一同は顔を見合わせた。
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