《【書籍化】ループ中のげられ令嬢だった私、今世は最強聖なうえに溺モードみたいです(WEB版)》32.『癒しの聖』と魔石ブレスレット①
私たちは汽車と馬車を使い、海辺の町・ミュコスに到著した。バージルが生まれ育ったというお屋敷は高臺から海をむ場所にあった。
「こんにちは! お待ちしていました!」
レモンの木に彩られた庭をくぐり抜け、お屋敷の玄関にたどり著く。そこから飛び出してきたしい令嬢に私は息を呑んだ。すっごくかわいい。
バージルと同じしいブロンドに琥珀の瞳。真っ白いと桜のくちびる。年齢は私よりもしだけ上ぐらいに見えるものの、妖のようなかわいらしさに息を呑んでしまう。
「アリーナ。起きていて大丈夫なの?」
「今日は特別ですわ! お兄様がお友達と一緒にお戻りになるというのですから。橫になってはいられませんわ」
バージルが兄の顔を覗かせていて、それに対するアリーナ様の答えに心配になる。きっと、普段はベッドの上にいらっしゃるところを無理して起きてくださっているのかもしれない。用事はなるべく早く済まそう。
「はじめまして。セレスティア・シンシア・スコールズと申します。今日はお時間を空けていただき、ありがとうございます」
「聖・セレスティア様ですね。兄からお噂は伺っていますわ! 私のことはアリーナと」
「ほら! 外は寒いのよ。こんなところで立ち話していないで、中にりましょう?」
『なかに、はいる』
私の腕をすり抜けたリルが、先陣を切ってお屋敷の中にり込んだ。それに続いて私たちも案される。
「まあ、かわいい。この子は霊でしょうか?」
「犬です」
『いぬです』
早速、リルはごろんと寢転がりアリーナにお腹を見せていた。知らない人についていきそうな私のおとも。かわいいけど、ちょっと心配。
私たちが案されたのは、ロビーやサロンではなく二階の南端にあるアリーナの作業場だった。
真ん中に大きな木製のテーブルがあって、その周囲をさまざまな道やキラキラした石が並べられた棚が取り囲んでいる。
かわいらしいアリーナの外見とは正反対の、ごつごつした作業場。あまりに素敵でかっこいい。
「今日、アリーナにお願いしたいのはこの魔石の加工なのよ。5個あるんだけど、ひとつのブレスレットにしてもらいたくて。この前、國のカタログにのせてもらったデザインに」
「承知いたしましたわ、お兄様」
テーブルの上にころんと置かれたのは、5つの石。はガーネット、エメラルド、トパーズ、アメジスト、クリスタル。普通の寶石に見えるけれど、魔からとれるこれらの石はそれぞれ特別な力を持っている。
を飾るだけの普通のアクセサリーも素敵だと思うけれど、聖としては自分の能力を最大限に発揮してくれつつしい魔石って最高だと思う。
一度目の人生で、トラヴィスに魔石は組み合わせによって効力がアップするということを聞いた。まだ未解明な部分が多く、使用者によってベストな組み合わせが違うことも教えてもらった。懐かしい想い出。
そんなことを考えていると、その張本人が私の顔を覗き込んできた。
「魔石の組み合わせ、バージルと勝手に決めちゃったんだけど、よかった?」
「ええ。ガーネットとエメラルドは私もれたいなって思っていたのです。ほかの石同士の相などはわからないので……決めてくださってありがとうございます」
「一緒に考えたら楽しそうだなって思ったんだけど。なかなかセレスティアに會えなかったんだよね。どうしてかな」
「……」
疑いの視線を私はそのままするりと流す。當然だった。ここのところ、私はトラヴィスを避けている。
大神様にも『トラヴィスと組みたいと言ったのは忘れていただけませんか』とお願いしに行った。けれど、聞こえないふりをされてしまった。こっちこそどうして。
「アリーナ嬢のデザインはセレスティアに似合いそうだね」
「……そうでしょうか……」
「ああ。華奢な手にぴったり。早くつけているところが見たいな」
トラヴィスはそういうとバージルたちのほうに意識を向けてしまった。けれど、私はさりげなく手を後ろに組み直す。自然にそういうことを言われると恥ずかしい。トラヴィスがわざと言っているわけではないからなおさらだった。
一方、作業臺の前では魔石をブレスレットに加工する準備が進んでいた。魔石と、不思議な形をした金屬製の道たち。材料と道が揃ったところで、シンディーが言った。
「その前にアリーナさんの調を確認してもよろしいでしょうか」
「そうね。そのほうがいいわね。アリーナ、腕を出して」
聖が使う回復魔法は聖屬の魔力をもとにしたものだけれど、シンディーが使うのは神力によるものだ。このまえトラヴィスが私の能力を鑑定したみたいに、神力を相手のに流すことで傷や疲労を回復する。
だから、聖の回復魔法よりも効率が悪くて自分の負擔も大きい。けれどそれでも使わないといけないほどに、回復魔法は希なのだ。
アリーナが手を差し出したときに、きらり、と袖から見えたブレスレットに私は首を傾げる。
「あの。アリーナ……とバージルはお揃いのブレスレットを?」
「え? やあねえ。アタシたちは仲がいいけど、さすがにそこまではないわよ」
「そうですか……」
あれ。あのブレスレット――まさにいま私がアリーナにつくってもらおうとしているデザインのもの、を1回目のループで出會ったバージルはに著けていたと思ったのだけれど。気のせいかな。
【書籍発売中】【完結】生贄第二皇女の困惑〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜
【書籍版】2巻11月16日発売中! 7月15日アース・スターノベル様より発売中! ※WEB版と書籍版では內容に相違があります(加筆修正しております)。大筋は同じですので、WEB版と書籍版のどちらも楽しんでいただけると幸いです。 クレア・フェイトナム第二皇女は、愛想が無く、知恵者ではあるが要領の悪い姫だ。 先般の戦で負けたばかりの敗戦國の姫であり、今まさに敵國であるバラトニア王國に輿入れしている所だ。 これは政略結婚であり、人質であり、生贄でもある。嫁いですぐに殺されても仕方がない、と生きるのを諦めながら隣國に嫁ぐ。姉も妹も器量も愛想も要領もいい、自分が嫁がされるのは分かっていたことだ。 しかし、待っていたのは予想外の反応で……? 「よくきてくれたね! これからはここが君の國で君の家だ。欲しいものがあったら何でも言ってくれ」 アグリア王太子はもちろん、使用人から官僚から國王陛下に至るまで、大歓迎をされて戸惑うクレア。 クレアはバラトニア王國ではこう呼ばれていた。——生ける知識の人、と。 ※【書籍化】決定しました!ありがとうございます!(2/19) ※日間総合1位ありがとうございます!(12/30) ※アルファポリス様HOT1位ありがとうございます!(12/22 21:00) ※感想の取り扱いについては活動報告を參照してください。 ※カクヨム様でも連載しています。 ※アルファポリス様でも別名義で掲載していました。
8 73魔力ゼロの最強魔術師〜やはりお前らの魔術理論は間違っているんだが?〜【書籍化決定】
※ルビ大量に間違っていたようで、誤字報告ありがとうございます。 ◆TOブックス様より10月9日発売しました! ◆コミカライズも始まりした! ◆書籍化に伴いタイトル変更しました! 舊タイトル→魔力ゼロなんだが、この世界で知られている魔術理論が根本的に間違っていることに気がついた俺にはどうやら関係ないようです。 アベルは魔術師になりたかった。 そんなアベルは7歳のとき「魔力ゼロだから魔術師になれない」と言われ絶望する。 ショックを受けたアベルは引きこもりになった。 そのおかげでアベルは実家を追放される。 それでもアベルは好きな魔術の研究を続けていた。 そして気がついてしまう。 「あれ? この世界で知られている魔術理論、根本的に間違ってね?」ってことに。 そして魔術の真理に気がついたアベルは、最強へと至る――。 ◆日間シャンル別ランキング1位
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