《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第22話 突破する探索者!
「はぁ、はぁっ」
《あと一歩♪ あと一歩♪》
全汗だく、防は買ったばかりとは思えないほど土や埃で汚れ、酩酊(めいてい)しているかのようにふらふらと怪しく揺れながらハヤトはなんとか16層への階段を降り切った。
「いよっしゃぁぁぁああああああああっ!!!」
《……まさか、本當にやりとげるとは》
さすがに単獨(ソロ)で『滝登り』ということでアイテム縛りは解除したが、かと言って攻略が劇的に楽になるということは無い。
早朝6:45分から潛り始めて現在の時刻は夜の8:14分。ざっと13時間近く潛り続けてきたわけである。
「これで文句はねえよなぁ!? ヘキサッ!」
《……勿論だ。よく頑張ったな》
「帰るっ! 帰って俺はもう寢るっ!!」
《とりあえず汗臭いからシャワー浴びような》
ハヤトは全をつかって呼吸しながら16階層の手前にある寶珠にって、ダンジョンのり口へ戻ってきた。
「帰る……俺はもう帰る……」
《分かった分かった。エリナが飯作って待ってるから、はやく帰ろう》
ハヤトは崩れるようにして咲のもとにやってくる。
「お疲れ様です……って、大丈夫ですか?」
「……大丈夫、です。鑑定を……」
心配そうにハヤトを眺めながら、彼が差し出すドロップアイテムをけ取っていく咲。
「凄い量ですね。うわっ! ワイバーンの牙まで……。本當に1から15階層突破したんですか?」
「……やり遂げました」
「これって単獨突破の世界記録じゃないですか?」
「えっ!?」
「ちょっと調べるんで待ってくださいね」
咲はそう言って端末を作。『世界(I)探索者(E)支援(S)機構(O)』に登録されている報を見ているのでしょう。
「あっ、今日の12時まで世界記録でした」
「……というと?」
「ドイツの探索者が今日の12時に18層まで単獨(ソロ)攻略して世界記録を更新してますね」
「ちくしょー!」
「殘念でしたね。さ、鑑定をしますよ。お疲れでしたらあちらの椅子に腰かけられても大丈夫ですよ」
「……汗だくなんで立っときますよ」
それで椅子を汚すわけにもいくまい。
「では急いで鑑定終わらしますね」
淡々と咲がドロップアイテムの鑑定を終わらせながら、ふとハヤトに二つの瓶を差し出してきた。
「これ治癒ポーションですけど、売卻されます? それとも持って帰られます?」
「えっ、治癒ポーション!? マジっすか!!? 等級は!?」
「なんでそんな食いつくんですか……。Lv3とLv2ですね」
「二つとも持って帰ります!!」
今日の『滝登り』に合わせて治癒ポーションを5本買ったのだが、全て使ったのだ。それにLv3の治癒ポーションと言えば四肢欠損を治せるレベルである。持っておいて損はない。
「はい、じゃあ二つを引いて本日の買い取り価格98萬4562円です」
「…………はい?」
「98萬円です」
「すいません。疲れてて耳がおかしくなってるみたいです。もう一度言ってもらっても良いですか?」
「はい。100-2萬円ですね」
「なんで算數の問題出したんですか」
「ここまで言えば流石にわかるかなって」
「ほ、本當に98萬ですか? 9萬8千円とかじゃなくて?」
「本當ですよ。ここに表示してある通りです」
「一、十、百、千、萬、十萬……本當だ」
《くどいぞハヤト》
(だって、本當に100萬だぞ!? これだけあれば一生暮らせるじゃん!)
《……お前なら、本當に100萬で一生暮らせそうだから怖いよ》
「では、振り込んどきますね。探索者証(ライセンス)をリーダーに読み込ませてください」
「……はい」
震える手でリーダーに探索者証(ライセンス)をタッチ。ピッ! と心地よい音を立ててハヤトの貯金額に98萬円が追加される。
「お疲れさまでした! 一気にお金持ちですね、ハヤトさん」
「現実が……」
「ふふふっ。そんなものですよ」
「そういう咲さんはあんまり驚かないですね。やっぱり探索者の中には毎日これくらい稼ぐ人もいるんですか?」
「毎日……という人はいないですね。『藍原』さんとか『阿久津』さんも毎日コンスタントにそれだけは稼がないですよ」
「へぇ……」
「まあ、稼げないってわけではないと思うんですけど。やっぱり、しんどいですからね」
「うん、ですよね」
あの二人はできるがやらないだけだろう。というか、上位三人はダンジョンに潛るよりも広告料とかの方が稼ぎとして多そうだ。あのレベルになると防や武が企業から提供される。
當然のように金には困ってないだろう。というか余ってるんじゃないだろうか。
「あっ、そういえば『藍原』さんから言伝(ことづて)を預かっていますよ」
「……聞きたくないけど、一応聞いておきます」
「『攻略する気ならどうして早く教えてくれなかったの?』だそうですよ」
「誰だよ教えた奴……」
「阿久津さんじゃないですか?」
「やりかねん……」
後で怒っておこう。
「ああ、それと『いい加減スマホを持って』とも」
「あぁ……。スマホかぁ……」
ダンジョンの発生とともに文明の針は大きく進み、あらゆるタイプのウェアラブル端末が出てきたがやはりスマートグラスは依然として際(キワモノ)だ。空中に投影できるホロディスプレイを持ったスマートウォッチも出てきたが、何を見ているか他人に丸わかりなのであんまり流行ってない。
「そういえばハヤトさん、まだスマホ持たれてないですよね?」
「買うのに保証人がいるじゃないですか」
「ああ、そういった時には『私が保証人になるから暇な日を教えて』って言ってほしいと頼まれました」
「あ、忙しいって返しておいてください」
「ふふ、モテモテですね。ハヤトさん」
「絶対そんなんじゃないって分かって言ってますよね?」
変人を常識人のくくりで考えてはいけない(戒め)。
「でもシオリちゃん、ハヤトさんのことを話すときの顔が完全にする乙ですよ」
「やめてくださいよ気持ち悪い」
「冗談ですよ。あっ、ハヤトさん後ろ」
「ひッ!!?」
「噓です。あんまりシオリちゃんのことを悪く言ってあげないでくださいね」
「別にシオリだからって悪く言ってるわけじゃないんですよ。っていうか、咲さんはアイツのヤバいところ知らないからそんなこと言えるんですよ? 二年前の俺に絡んでくる時點でよっぽどまともじゃないって分かってるじゃないですか」
「その二年前のハヤトさんに口説かれてた私はまともじゃないんですか?」
そう言って咲は、妖(あや)しげに笑った。
「まともじゃないほど可すぎです」
「はぇっ!? ちょ、ちょっと、ハヤトさん。言うようになったじゃないですか!」
「じゃ、俺はこの辺で! お疲れ様です!」
「明日で連続5日目ですよ! お気をつけて」
《ううむ。タイミング的にはちょっと怪しいんじゃないか?》
(そうか? 結構良いと思ったが)
《いや、怪しまれるぞ。あんなあからさまに離れては》
疲れていたとは言え、索敵範囲にひっかかった小を見逃すほどハヤトは気が抜けてはいない。
(ここで襲ってくるとは考えづらい。場所を移しよう)
《人目のつかない場所がいいな》
咲がハヤトに稼いだ額を通達したとき、運悪くそこを通りかかったものに聞かれていたのだ。ハヤトはお世辭にも格が良いとは言えない。むしろ、弱々しくみられる部類だ。だからこそ、ハイエナのようにじぃっとハヤトを狙っている者がいた。
探索者は名を上げ始めた頃が一番危険と言われている。
初心者は稼ぎも低く、裝備のランクも低いため基本的には同業者の餌食にはかからない。死漁り(スカベンジャー)はその例外。むしろ、例外故にあそこまで注目されたと言うべきだろう。
逆に上級者になると、強すぎてこれもまた餌食にはかからない。ランキングに名を連ねるような化けを相手にすると命が危ないからだ。
そのため、中域攻略者(ミドルランナー)になりはじめの探索者が最も狙われる。稼ぎも悪くなく、裝備のランクも低くない。そして自分の力を過信し始める頃合いだからである。
繰り返していうが、探索者の民度は決して高くない。命を奪う覚。暴力を振るえる快に酔いしれるために探索者になっている人間もなくないからである。
そんな中、まさにカモみたいな年が100萬近い大金を手にしたらどうなるのか。
答えは簡単。襲われるのである。
《返り討ちだ。ぼっこぼこにしてやろうぜ》
(口が悪いぞ。ヘキサ)
そういうハヤトもやる気は満々である。
戀人に別れを告げられた次の日の朝、ホテルで大人気女優と寢ていた
彼女に振られ傷心のまま自棄になり酒を煽った巖瀬健太は、酔った勢いで居酒屋で出會った一人の女性と一夜を共にしてしまい後悔に駆られる。しかし、早々に一人立ち去る女性を見て、関係はこれっきりなんだと悟り、忘れようと努めたが……二人は隣人関係であり、奇妙な交友関係が始まりを告げることになる。
8 182【書籍化】斷頭臺に消えた伝説の悪女、二度目の人生ではガリ勉地味眼鏡になって平穏を望む【コミカライズ】
☆8/2書籍が発売されました。8/4コミカライズ連載開始。詳細は活動報告にて☆ 王妃レティシアは斷頭臺にて処刑された。 戀人に夢中の夫を振り向かせるために様々な悪事を働いて、結果として國民に最低の悪女だと謗られる存在になったから。 夫には疎まれて、國民には恨まれて、みんな私のことなんて大嫌いなのね。 ああ、なんて愚かなことをしたのかしら。お父様お母様、ごめんなさい。 しかし死んだと思ったはずが何故か時を遡り、二度目の人生が始まった。 「今度の人生では戀なんてしない。ガリ勉地味眼鏡になって平穏に生きていく!」 一度目の時は遊び呆けていた學園生活も今生では勉強に費やすことに。一學年上に元夫のアグスティン王太子がいるけどもう全く気にしない。 そんなある日のこと、レティシアはとある男子生徒との出會いを果たす。 彼の名はカミロ・セルバンテス。のちに竜騎士となる予定の學園のスーパースターだ。 前世では仲が良かったけれど、今度の人生では底辺女と人気者。當然関わりなんてあるはずがない。 それなのに色々あって彼に魔法を教わることになったのだが、練習の最中に眼鏡がずれて素顔を見られてしまう。 そして何故か始まる怒濤の溺愛!囲い込み! え?私の素顔を見て一度目の人生の記憶を取り戻した? 「ずっと好きだった」って……本気なの⁉︎
8 136全てを創造した主の後継者と神の器の異世界ライフ‼︎ 〜可能性しか貰ってませんが⁉︎〜
ある日、その教室內にいた者達は一人殘らず異世界に召喚された。 異世界へ召喚された主人公はクラスのみんなが勇者スキルと魔法の屬性適性を授かるなか、魔法の屬性適性…無。勇者スキルも、神の加護もない。 だが主人公には人に言えない秘密があった。その力で異世界を楽しく過ごすことを決意する。 初投稿作品なので、非常に読みにくいとは思いますが、よろしくお願いします!
8 97女神に拾われた俺は女神の為に頑張ろうと思う
目を開けるとそこには無の空間に1人の女性がいた 何とその女性は女神だったのです 主人公は魔族として成長していく、人間化、魔物化のスキルを使って目指せ魔王!目指せ世界平和! 気付かぬ內に死んでいた俺を拾ってくれた女神の ために頑張ろうと思う Twitter始めました @kuma_chan066 是非フォロー下さい!返します! 広めてくれると嬉しいです! 投稿頻度は1話1話完成したら投稿します 要するに不定期なんです!すいませぇん! コメントやいいねをしてくれると凄く勵みになります! 初投稿なのでおかしな點が多々あると思いますが暖かい目で見てくださいm(*_ _)m
8 85コンビニの重課金者になってコンビニ無雙する
■ストーリー ・ある日、900億円を手に入れた。世界的規模で寶くじを運営している會社のジャックポットくじに當たったのだ。何に使うか悩んでいたが、家の近くにコンビニが無い事を不便に思い、ひょんな事が切っ掛けでコンビニを始める事にした。 (一番近いのは、二駅隣のホームセンター併設のスーパーマーケット) もっと便利に、もっと、もっと・・と便利を追及して行く內に、世界でも屈指のコンビニ重課金者となっていた。拡張し過ぎて、色々商品も増え、いつの間にかその世界では有名な”最強のコンビニ”になっていた。 そのコンビニに行けば、何でも売っている。 マッチ一本から、原子力潛水艦まで。 いつの間にか、その土地は不可侵となり、國と國との取り持ちまでする様になっていた。『なんで、そんな事に』って?そんなの、こっちが聞きたいよ……ただ単に、便利で安全で快適さを求めていただけなのに。 いつの間にかコンビニ無雙する事になった男の物語。 ---------------------- ■その他 ・少しづつ更新していく予定です。
8 88異世界サバイバル~スキルがヘボいとクラスから追い出されたけど、実は有能だったテイムスキルで生き延びる~
動物好きの高校生、仁飼睦樹は突然異世界に転移してしまう。クラスメイトと合流する彼だが、手に入れたスキルが役立たずだと判斷され追放されてしまう。モンスターしかいない森の中でピンチに陥る睦樹。しかし、やがて成長したスキルが真の力を見せた。モンスターの言葉を理解し、命令を下せるスキル??〈テイム〉を駆使して彼はサバイバルを始める。とどまることなく成長を続けるユニークスキルを武器に、過酷な異世界サバイバルで生き殘れ!
8 169