《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第27話 寶箱ではしゃぐ探索者!
20個の明な珠はガラス製というにはとても澄んだ(クリアな)珠である。
「転移の寶珠かしら? それにしては小さいわね」
「転移の寶珠を見たことあんの?」
「テレビがダンジョンにるときにはスタッフさんが持つのよ。ほとんどは兼業探索者さんにお願いするんだけど、どうしても探索者さんがれないときがあるから、素人のスタッフさんには安全策で、ね」
「へぇー」
テレビを見ないからあんまり納得を得ない報である。っていうか、ハヤトとしてはユイがスタッフに“さん”を付けて呼んでいるのが意外だった。もっと尊大(そんだい)に振舞(ふるま)ってるものかと。
「でもビー玉ってじじゃないし」
「へー。ビー玉ってこんなじなんだ」
「は? あんたビー玉知らないの!?」
「……うん」
「どんな家で育ったのよ……」
「名家」
「はいはい。名家のお坊ちゃまは二年間セルフカットですね」
「適當に流すの止めてくんない?」
「ねえ、これ攻略本のアイテム一覧に載ってないの?」
「ちょっと待ってくれ」
そう言ってハヤトはユイがビー玉らしきの詳細を見ている間にアイテム一覧のページをめくるが……そこには無い。
「無いぞ」
「じゃあ、こっちでも調べてみるわ」
そう言ってユイが取り出したのはスマホ。探索者ならみんなれてる攻略アプリである。このアプリの凄いところは寫真で撮ったアイテムがなんなのかを畫像認識で教えてくれるのだ。
「持ってるなら最初っからそれ出せよ……」
「あんまりポーチを開け閉めしたくないの」
「さいですか……」
そう言いながらユイは明な珠の寫真を撮る。
「……出てこないわ。今まで見つかってないアイテムっぽい」
「アイテム? 『超(オーパーツ)』じゃなくて?」
「『超(オーパーツ)』は寶箱の中に取扱説明書(トリセツ)が付いてくるの。ここには無いからアイテムでしょ。まさかこの見た目で武や防ってこともないだろうし」
「詳しいな。まるで探索者みたいだ」
「縛るわよ。うーん? よく分かんないから、『鑑定』持ちの友達に聞いてみるわ」
「よろしく頼む」
「はい。じゃあ、半分あげる」
「えっ、要らねえよ」
ビー玉らしきが半分だと10個。そんなものアイテムポーチにれようものなら場所を取って仕方がない。
「私だって要らないわよ。けど見つけたものは半分に分けるのが二人組(バディ)の鉄則でしょ」
「まぁ……。持ってて損は無いか」
ふと、今までそれをじっと見ていたヘキサが口を開いた。
《……それ、狀態保存珠(ホルダージュエル)じゃないか?》
(何それ)
《私も似たようなアイテムをたくさん知っているから間違ってたらすまないが》
ヘキサの前置きと共に息を吐く。
《それは狀態を文字通り今の狀態を保存できる珠だ。例えば今のお前をその球に保存すると、HPやMPが切れた時に珠を使えば、保存したお前の狀態がそのまま上書きされる》
(……は?)
何そのチートアイテム。
《もちろん、年齢やの狀態もそのまま引き継がれる。欠點と言えば、ステータスも保存されるからもし數か月後、長した後とかに使うとステータスが下がると言ったぐらいか……》
(他人も使えるのか?)
《いや、無理だ。本人しか使えないはず。あと、記憶はそのまま継続するから、そこは問題ない》
(死んだら?)
《そこまでは流石に知らないな……》
どっちにしろ馬鹿みたいにチートなアイテムであることは確実だ。例えば、若くして功した資産家。もしくは政治家。なくとも探索者のように激しくステータスが変しないが、長い壽命を求める人間はこの世界に掃いて捨てるほどいる。
あるいはある程度の変を許容できる高位探索者(ハイランカー)などの常に命の危機に瀕しているような人たちが瀕死の狀態で使うと一気に全快するという寸法だ。
もしこれが狀態保存珠(ホルダージュエル)なら、この世界にこれをしがる人間は腐るほどにいる。
「ヤバスギでしょ……」
「何か言った?」
「……いや、何も」
まだヘキサの予想である。ここで狀態保存珠(ホルダージュエル)について説明してもぬか喜びするだけかも知れないのだから。
「何か有益なアイテムだと良いわね」
「そうだな。なるべく高値で売れるやつが良い」
二人はそう言って寶箱を後にした。今日の目標は20階層の突破。ここで突破しておかないと、一か月で前線攻略者(フロントランナー)になるのが厳しくなる。
「アンタもう中域攻略者(ミドルランナー)でしょ? そんなにお金に困ってるの?」
「長年の貧乏が……」
「捨てちゃいなさいよ。そんなもの」
「簡単に捨てられたら困らないんだよなぁ」
とまあ何だかんだ言っていると階層主(ボス)部屋の前に到著である。
「そいやユイたちのクランって前線攻略者(フロントランナー)なの? 中域攻略者(ミドルランナー)なの?」
「前線攻略者(フロントランナー)よ。今はアルバム関係の仕事でほとんど潛れてないけど」
「じゃあ24階層にも?」
「23までね。24はちょうど別の仕事と被ったのよ」
「へぇ……。大変だな」
「まあね。さ、リハーサル行くわよ」
そう言ってぐいっとMPポーションを飲み干すユイ。
「いや、俺は本番なんだけど……」
という抗議の聲はユイの階層主(ボス)部屋の扉を開く音に掻き消えた。
「行くわよ! ハヤト!!」
「しゃねーなぁ」
なんだかんだ言いながらハヤトは両手に産み出すのは特大剣。常人なら持って立つことすらも難しいほどの大きさと重さだが、ハヤトの鍛え抜かれたステータスがそれを可能にする。
“【鈍重なる一撃】【強化Lv3】【心眼】をインストールします”
“インストール完了”
「強化ッ!」
ミシリ! と防が一瞬、膨(ふく)れ上がるとハヤトの筋が強化される。
「質化(リダクション)!!」
ユイの手元に産み出された青の槍が発。まっすぐ進むと「ハードロック・ゴーレム」に直撃。巖のが化する。
「ォォオオオッ!!」
【鈍重なる一撃】を発。ハヤトの強化された振り降ろしとスキルの効果が相まって、発的な一撃と化す。
ズドンッツ!!!
周囲の砂を一気に巻き上げて砂煙と共にハヤトの大剣が『ハードロック・ゴーレム』の肩からるとそのまま真下に抜けたのだ。
「……はぇ?」
「ハヤト! 大丈夫!?」
振り下ろしたままかないハヤトを心配してユイが尋ねる。
「……終わった」
「二段階目があるわよッ!」
もし、ユイがそう言わなければハヤトはハードロック・ゴーレムに捕らえられたことだろう。だが、現実はそれよりもハヤトが先にいた。
「あぶねっ!!」
凄まじい速度でハヤトを捕らえようとばしたハードロック・ゴーレムの腕を斬り落とす。そして、次の瞬間に落ちた腕は風化した巖のようにさらさらと砂になっていく。
それは、斬られたも同様に。巖の塊がやがて砂の塊になると大聲で咆哮。
「來るわよ! 近接泣かせの二段階目(セカンドステージ)!」
「……そうみたいだな」
“【鈍重なる一撃】を排出(イジェクト)”
“【水屬魔法Lv3】をインストールします”
ハヤトは手に持っていた大剣を手放すと霧散させる。その瞬間に【心眼】が発。ハードロック・ゴーレム改め『サンドリキッド・ゴーレム』の核(コア)が表示される。
「『魂縛る鬼の鞭(ソウルパラリス)』!」
ユイの麻痺がゴーレムに直撃した瞬間に、全ての砂のきが止まった。
「貫けっ! 「ウォーターランス」!!」
ハヤトの手元に生み出された水の槍は高速回転すると共に発。
バツン!! 空気を切り裂く音と共に核を貫こうと出。
「ロロロォォォォォオオオオオオオオオオっ!!!」
その瞬間、虛ろなる咆哮で世界が叩きつけられた。サンドリキッド・ゴーレムは目の前に砂を集めるとハヤトの「ウォーターランス」を弾く。
「なら、こいつでどうだッ!!」
イメージするのは戦車の如(ごと)き破壊力。二つの足を地につけて両手を標的に向かって重ね合わせる。その瞬間、生み出されるのは大の大人ほどもあるような水の塊。
「ユイっ!!」
「任せて! 「『魂縛る鬼の鞭(ソウルパラリス)』!!」
流れるようなアシストが刺さった。
「往けッ!!」
ズドォォォオオオオオッツツツ!!!!!
戦車砲の発のような轟音が階層主(ボス)部屋に響き渡り、生み出された衝撃波が周囲の砂を巻き上げる。その後、撃ち放たれた砲弾の後に生み出された真空のトンネルに周りの砂が吸い込まれた。リキッドサンド・ゴーレムの作り出した砂の盾を容易く貫いて核ごと霧散させる。
「しゃぁッ!」
核が壊れると同時に砂の巨がゆっくりと黒い煙に変わり始めた。
ごとり、とそこに拳大の寶石を殘して。
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【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】
【12/15にコミックス第1巻が発売。詳細は活動報告にて】 聖女モモを虐めたとして、婚約者の公爵令嬢クロエ=セレナイトを追放した王子レッドリオ。 だが陰濕なクロエが大人しく諦めるとは思えず、愛するモモへの復讐を警戒してスパイを付け監視する事に。 ところが王都を出た途端、本性を表す『悪役令嬢』に、監視者たちは戸惑いの嵐。 ※本編完結しました。現在、不定期で番外編を連載。 ※ツギクルブックス様より書籍版、電子書籍版が発売中。 ※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」でコミカライズ版が読めます。 ※世界観はファンタジーですが戀愛メイン。よく見かける話の別視點と言った感じ。 ※いつも誤字報告ありがとうございます。
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Skill Chain Online(スキルチェイン・オンライン)『世界初のVRMMORPG遂に登場』 2123年、FD(フルダイブ)を可能にするVRギアが開発されてからニ年。 物語の様な世界に期待し、いつか來ると思い続けてきた日本のゲーマー達は、そのニュースを見た瞬間に震撼した。 主人公・テルもその一人だった。 さらにそこから、ゲリラで開催された僅か千人であるβテストの募集を、瞬殺されながらもなんとかその資格を勝ち取ったテルは、早速テスターとしてゲームに參加し、すぐにその魅力にはまってしまう。 體験したSCOの世界はあまりにも、今までの『殘念ソフト』と言われていたVRゲームと比べて、全てにおいて一線を害していたのだ。 來る日も來る日もβテスターとしてSCOの世界にログインする。 SCOの正式オープンを向かえていよいよゲームが始まるその日。SCO専用の付屬部品を頭のVRギアに取り付けて仮想世界へとログインした。 ログインしてすぐ、始まりの街で言い渡されるデスゲーム開始の合図。 SCOを購入する際についてきた付屬部品は解除不可能の小型爆弾だったのだ。 『ルールは簡単! このゲームをクリアすること!』 初回販売を手に入れた、主人公を含む約千人のβテスターと約九千人の非βテスター約一萬人のゲーマー達は、その日、デスゲームに囚われたのだった。
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