《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第2-22話 逃げ出す探索者!
「ウォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッツツツツ!!!!」
音というより衝撃波じみたび聲が、反響しながら階層主(ボス)部屋の中を埋めていく。その瞬間、ハヤトは己の腳が固まっていることに気が付いた。
(クソッ!!)
『鬼』は恐怖の現化。
故にその咆哮によって“恐怖”のバッドステータスにかかることは十分に考えられることなのに!!
きが固まっているのはハヤトだけではない。それは『戦乙‘s(ヴァルキリーズ)』も同じこと。ハヤトはすぐさま己の舌を噛んで痛みで恐怖を緩和。流れる様にして疾走開始。
「全員、撤退だッ! 逃げるぞッ!!」
一人、『赤鬼』の規格外の強さを知っているハヤトはんだ。
「まだ戦ってないじゃない!」
「駄目だ! 逃げろッ!」
“【魔祓い】【鎮守の礎】【鬼殺し】をインストールします”
“インストール対象に適を確認”
“スキルに補正がかかります”
“インストール完了”
『赤鬼』は“天原”の當主が出ねばならぬほどの“魔”。こんな、お(・)ま(・)ま(・)ご(・)と(・)のような裝備と人材で勝てるはずが無い。
幸いにしてスキルインストールがインストールしたスキルはどれもこれも『赤鬼』に対して、馬鹿みたいに刺さるスキルだらけだ。
パッシブスキル【魔祓い】は“魔”であるものに対して攻撃力上昇。約1.5倍ほどの火力上昇が見込める。ついでパッシブスキル【鎮守の礎】は“魔”よりけるダメージを減。約6割程度にまで下げてくれる。
そして、最後にパッシブスキル【鬼殺し】は“鬼”種族に対しての特攻有り。攻撃力が3倍まで上昇する。
そして何よりも、ここにいるのは捨てられたとは言え“魔”を祓う一族の末裔である。
「ウォォオオオオオッツツ!!」
再びの咆哮。部屋を充満する“恐怖”の匂いに、後ろの二人がプレッシャーに耐えかねて吐いた。ハヤトは他人に構う暇もなく疾駆。『赤鬼』が咆哮と同時に飛び込んだ先にいるマホを守るべく飛び出した。
両者は瞬きする間に二十を詰める。ハヤトは強化をしていないとは言え、『瞬歩』も使った全力の疾走。しかし、『赤鬼』の方が速い。だが、距離はハヤトの方が近かった。
「ふッ!!」
ハヤトが生み出した大剣に鬼の右ストレートが直撃。
ヒュバァンッッツ!!!
まるで大砲でも撃ち抜いたかのような音とともにハヤトは吹き飛ばされた。次の瞬間に壁に激突。壁を砕いて強制停止。塵を巻き上げ喀(かっけつ)した。
「ハヤトさんッ!」
「くっ! 『魂縛る鬼の鞭(ソウルパラリス)』!」
ユイが放った『麻痺(パラライズ)』の狀態異常弾を、しかし『赤鬼』はをよじって回避。そのまま、その巨軀からは信じられないほどの速度を持ってユイに激突――するまえに盾役(タンク)たるミサキが飛び込んだ。
ドゴッッツツツツ!!!
轟音が衝撃波とともにユイとミサキを吹き飛ばす。
そこに生まれるのは決定的な隙。人類の天敵たる“魔”がそれを許すはずもなく二人に飛び込んだ瞬間に“魔祓い”の年がそれを制した。
「下がれ! 俺が食い止める!!」
「けど!」
「良いからッ!!」
當たるだけで決著が決まる『赤鬼』の一撃を回避しながらハヤトが吠える。それを聞いて一番先にいたのはマホだった。未だに“恐怖”によってけないカオリを抱き上げ、撤退開始。
それに続くようにしてアヤネが逃げていく。
「ユイっ! ミサキさんをッ!!」
「っ!! 分かってるわ!」
逃げる時が最も狩りやすい。赤鬼は大人が抱えられないほどの太い腳で駆けだした。だが、その先には――――。
「させねえよ」
パァッ、と赤い花が咲く。赤鬼が気が付いた時、己(おのれ)の右手首より先が斷たれていた。それにより、ユイとミサキが階層主(ボス)部屋より逃げ出すことに功。
《行けるのか、ハヤトっ!》
(分からん!!)
『忌の牛頭鬼《フォビドゥン・タウロス》』の時は狹い通路にスキルのお膳立てまであって倒せた。今回はスキルのお膳立てはあるものの、赤鬼相手にハヤトの「星走り」は通用するか怪しい。
彼が使えるもう一つの技は時間がかかるため今回は使えない。
「あっ。良い事思いついた」
《え?》
ハヤトはちらりと階層主(ボス)部屋の扉が開いていることを確認。
「よし、行くぞッ!!」
赤鬼は千切れた己の右手首を摑み上げると傷口に押し當てて修復。再び猛(たけ)るとハヤトめがけて疾走。
……タイミングと角度を合わせろッ!!
赤鬼が修復したばかりの右手を大きく引いた。
《來るぞッ!!》
大きく重の乗った、赤鬼渾の右ストレート。
ハヤトはそれにタイミングよく跳躍。大剣を破棄し、目の前に現れるのは盾。
「あばよ」
ヒュバッツツツツツ!!!!
目にも止まらぬほどの速度で振るわれた拳は中空のハヤトに激突。彼は慣のままに吹き飛ばされて、
「しゃッ!!!」
勢いよく階層主(ボス)部屋から飛び出した。
《えぇ……》
流石のヘキサもこれにはドン引き。
「閉めるわよッ!!」
扉端に控えていたユイとマホが階層主(ボス)部屋の扉をいそいで閉める。だが、部屋から出たものに興味は無いのか『赤鬼』は大きく蒸気を吐き出してハヤトを見た。
『また來い』
まるで、そう言うかのように。
「ハヤトさん。傷を治すのでかないでくださいね」
カオリはそう言って【治癒魔法】を発。
「カオリ……さんは治癒師(ヒーラー)なのか」
「そうよ。前線攻略者(フロントランナー)の中で一番うまい治癒師(ヒーラー)よ」
「それは言い過ぎです」
ユイの言葉に笑って返すカオリ。ハヤトも張の糸がほぐれて思わず笑顔になってしまう。
「けどハヤト、あんた大概無茶するわね」
「何が?」
「鬼のパンチで部屋から飛び出すとか……頭のネジが外れてるわ」
「えぇ……? それをユイに言われんの……?」
一同、笑。
どうにもテンションがハイになっているみたいだ。
それから30分ほど経って、6人はこのことをギルドに伝えるべく転移の間へと向かった。
「25階層の階層主(ボス)モンスターを見つけたというのは本當ですか?」
咲が尋ねる。これはギルドの慣習だ。
「はい。ですが、滅茶苦茶強いです」
「……攻略クラン『戦乙‘s(ヴァルキリーズ)』とAランク探索者のハヤトさんの混パーティーで防戦一方。これは本當ですか?」
「その通りです」
「違います。私たちがハヤトの足を引っ張っただけで、本當だったら良い戦いをすると思います」
「ねぇ、ユイさん。俺を殺す気ですか」
ここは噓でも強かったといっておけば集団戦に持ち込めるのに。
「なるほど。つまり、ハヤトさんはアレをすべきだと、言いたいのですね」
「えぇ。そうでもしないと犠牲者が出ると思います」
アレとはすなわち、『集団攻略(エキサト・タクティクス)』である。これは、前線攻略者(フロントランナー)ですら手出しの出來ない階層の階層主(ボス)が現れた時に行われる攻略方法だ。
ギルドの號令の元、數多くの前線攻略者(フロントランナー)が力を貸し合い、一の階層主(ボス)を倒す。問題はドロップアイテムの分配だが、これは真面目にジャンケンだったり賭け事(ギャンブル)で解決したりする。
「ではこちら(ギルド)でも協議してみます。何はともあれ、皆さんが生きて帰られて何よりです」
「ですね」
本當に、命あっての種という奴だ。
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