《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第2-24話 集まる探索者!
ギルドの時計が17:30を指した瞬間に、長かった會議が終わりを迎えた。
「疲れた〜」
「どうだ、ハヤト。この後飲みに行かねぇか」
「俺未年ですよ」
彼らがいるのはギルド二階の大會議室。そこに50人ほどの探索者が集まり、25階層の階層主(ボス)を倒すべく報換が行われた。會議は『戦乙‘s(ヴァルキリーズ)』とハヤトへの質疑応答から対策へと変わり、5時間かかってようやく終わった。
「そう堅いこと言うなよ。Aランク探索者になったんだし、ひとつお祝いということで」
「飲みたいだけでしょ」
「ははは」
ダイスケに笑って流された。
「ダメ。ハヤトはこれから予定がある」
「ん? そうなのか。若いのの邪魔になるのはまずいか。それで、何すんだ?」
「ハヤトの家で引っ越しパーティー」
「お前、そのままドサクサに紛れて新居に來る気だな。いや、待て! お前、どこで俺が引っ越ししたって知ったんだ!!」
コレ(シオリ)とアレ(ツバキ)には伝えていないはずだ。
「ふふふ」
シオリにも笑って流された。
尾行には気をつけよう。
こいつは執念というところで本家の連中とは別ベクトルの追尾能が備わっている。むべくはそれが俺に対してオフになっていることだが。ここ一年半ほどオフになっていたのですっかり忘れていたが、こいつはこういうやつだ。
「あ、そうだ。聞いたぜ。お前、弟子取ったんだってな」
「そうなんですよ」
「どんなじなんだ?」
「まぁ、まだ一週間ですし……何にも言えないです。今のところずば抜けて凄いって所は無いですけど、それもまだスキルが無いだけですからね」
「探索者はスキルひとつでどれだけでも変わるからなぁ」
自分にぴったり當てはまるスキルが見つかった瞬間に発的にびるのが探索者という職業だ。ハヤトにとって【武創造】と【スキルインストール】がそうであった様に。
「まだ一週間だから、どのスキルが良いのかも分かんないんですよね」
「ははっ。師匠になった奴ならみんな悩むんだよ。それ」
「そうですよねぇ」
スキルオーブは高い。最低価格で200萬を超える。
ハヤトですらもおいそれと買えるようなものじゃないのだ。
「節稅対策で買ってやればいいのに」
「せ、節稅……?」
……なんだ、その不気味な単語は。
「あん、そりゃお前。確定申告だろ。探索者は個人事業主(フリーランス)だから自分でやるんだぞ」
「…………そ、ソウデスヨネ」
……知らなかったっ!
それもそのはず。彼はこの二年間で103萬の壁を超えなかった男である。そもそも公民を習っていないので、彼が知っている稅金と言えば消費稅である。
《……エリナが、ワンチャン……》
(奉仕種族(メイディアン)って稅金計算もできるの!?)
《そこまでは流石に分からんっ……!!》
「ま、確定申告までは時間があるしゆっくり考えてもいいんじゃないか」
「そんなことより重要なことがある」
ダイスケの言葉を斷ち切ってシオリがハヤトを見た。
「どうした?」
「弟子が男なのか、なのか」
「確かにシオリちゃんにはそっちの方が重要だな」
「どっちなの、ハヤト」
「…………」
《……おい? ハヤト?》
冷や汗がハヤトの背筋を伝っていく
……くそ、こうなったら!
「……シオリ、お前その問いは失禮だぞ!」
「何が?」
「ここ最近はダイバージェントって言って配慮が……」
「多分、ハヤトが言いたいのはダイバージェントじゃなくてダイバーシティ」
「そう、それ。とにかく、別として男でもでもない人たちが、表に出ようとしているのに男かかの2で聞くのは失禮だと思わないのかっ!!」
「……む。確かに」
「配慮が足りないのは良くないところだぞ。親しい仲にも禮儀ありというだろう。やっぱりそういう所からちゃんとしていくべきだ」
「ハヤトの言う通り。反省する」
「うん。それで良い」
「それで、その人ののはどっち」
「…………はぇ?」
話題逸らし、失敗ッ!
「確かに、的指向を配慮していなかったのは私のミス。それで、その人ののはどっちなの」
「な、何で……そんなことを……」
「力の強い探索者が弱い探索者を襲うのは稀にあること。ハヤトがむらむらして、そうするかも知れない」
「お、俺を信じてくれないのか!」
「ハヤトは信じてる。でも、男は信じてない」
「おっと、ソイツは聞き捨てならねえな、シオリちゃん。ハヤトはともかく、男って別を一括りにするのは……」
「男はおっぱいが大きければそっちを見る。例えば、ほらそこに巨がいる」
「「えっ?」」
くいっと條件反でシオリが指した方向を見てしまうハヤトとダイスケ。
「……例え話なのに」
「「…………」」
何も言えねぇ……。
「それで、どっちなの?」
「……個人報だから! 個人報保護法!!」
自分は法律を破っておきながら都合の良い時は法律に頼る最強ムーブをかましていくハヤト。
犯罪者だって法律には守られるから良いの!
「ねぇ、どっち。は有るの。無いの」
「くっ、何という二択……」
「男にもはありますよ」
「久我さんっ!!」
『戦乙‘s(ヴァルキリーズ)』と同じ部屋の空気を逃さないようにと會議が終わってから9分43秒の間息を止めていた久我さんがここで參戦ッ!!
良く見ると顔が真っ赤だし流石に限界だったのだろう。
「今、久我さんには聞いていない。、増やすよ」
そういって【雪影】で久我の腹あたりをちょんちょんしだすシオリ。
「はははっ。子高生に増やされるなら本ですね」
「……きもい」
うおっ、シオリがドン引きしたところを初めて見たかもしれない。
今度からシオリに悩まされたら久我さんを召喚しよう。
「そういえば、久我さん。『戦乙’s(ヴァルキリーズ)』の人たちと喋らなくて良かったんですか? あの時、時間稼ぎまでしてたのに」
『忌の牛頭鬼《フォビドゥン・タウロス》』の時のことである。
「あれは仕事ですし。それに、辛い時こそ推しを支えながら応援するのが本當のファンというものです。間違っても助けた恩など振りかざしてはいけません。ファンなら、助けるのは當たり前(マスト)ですから」
……さいですか。
「な、こいつ変わってるだろ」
そういってゲタゲタ笑うダイスケ。良く分からんがこの二人は案外お似合いなのかも知れない。
ちなみに『戦乙‘s(ヴァルキリーズ)』は仕事ということで會議が終わるなりすぐに出て行った。あの歳で學校に通いながらアイドル活+探索者活である。
……休む暇あんのかな。
「それでハヤト、どっち」
「も、黙で……」
こうなりゃ黙権を行使だッ!!
「師匠ー。どこですか?」
すると、ほとんどの探索者たちが帰って閑散とした會議室に澪の聲が響いた。
「……終わった」
ハヤトがそうらすのと、シオリが澪を見たのはほぼ同時。
「あぁ、そこにいたんですね!」
悲しいかな。未だに狀況判斷に甘い新米(ニュービー)探索者である澪がそのままハヤトの方にやってくるのは當然のこと。
「探しましたよ! って、この方達は……?」
「弟子はの子、だね」
「……デスネ」
澪のことなどすでに眼中にないシオリがハヤトを締め上げる。
「ちょっと! 何してるんですか! 師匠から離れてください!!」
だが、彼我の戦力差が摑めない澪は勇猛果敢にシオリに挑んだ。
「おおう……」
それに嘆の聲を上げるダイスケ。確かに『世界(W)探索者(E)ランキング(R)』世界18位の化けに挑むは中々いない。
「へぇ、ハヤトってこういう子が好みなの?」
「えっ! そうなんですか!? どうなんですか!!?」
だが、シオリの一言で尋問が一人増えた。
おい澪っ! 寢返るのが速すぎだ!!
「の」
「「の?」」
「ノーコメントで」
《お前の好みはエリナだもんな》
……確かにドストライクだけど!
殘念なことにシオリも澪もあれが小さい。
ハヤトは母に飢えているのであれがしいのだ。あれが。
「ほー。小さいな。お弟子ちゃんの名前は?」
「澪です! 14歳です」
「14。最年か」
「ハヤト、もしかしてロリコン?」
「ち、違う!」
《違わないだろ》
うるさいやい!
「じゃあ何、源氏語の再現でもするの」
「俺は源氏語を知らんっ……!」
「じゃあ、何でこの子にしたの?」
「募集した」
「運?」
「運」
正確には運ではないのだが、これだけ人がいる中でそういう話はすべきではないだろう。
「なら、仕方ない。知り合いがいないハヤトが悪い」
「…………」
「師匠! もう18時になりますよ! 閉まっちゃいます!!」
「うおっ。本當だ! よし、急いで行くぞ!!」
「はいっ!!」
「どこ行くの?」
「裝備屋!」
「……1週間、防無しで戦わせてたの?」
「1階層だし」
「有り得ない」
「ハヤト、お前……ウチでもやんないぞ」
「AGIを上げてるんですか? 確かに盾役(タンク)でなく回避主の探索者ならそういう育て方もありますけど」
高ランカーから次々と間違いを指摘されるハヤト。
「え、本當に……?」
一階層って防つけないのが普通(スタンダード)じゃないの?
「大丈夫です! 師匠が間違ってることなんて無いですから!!」
弟子に擁護される師匠なんているかね……。
《そっか、“天原”だから……》
(……何だよ)
《戦いに関しても常識外れなんだな》
失禮な。
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