《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第2-28話 ボスに挑む探索者たち!
時刻は朝の8:30。數多くの記者と、テレビのカメラ。普段は気楽にしている探索者たちも流石に今日ばかりは、皆張の面持ちでギルドにいた。
「調子はどうですか?」
「攻略の目処は立っているのですか?」
ダイスケとシオリを中心にカメラとマイクが向けられる。それを完全に外野の目で眺めていたハヤトの所に澪がやってきた。
「この人達、全員が前線攻略者(フロントランナー)ですか?」
「おう。これだけ並べば圧巻だな」
総勢54名。今回、25階層の攻略のためだけに集まった前線攻略者(フロントランナー)がギルドに集結していた。
これでも聲をかけた中の3割ほどである。上位の探索者なんてプライドの塊みたいな連中なので、ダイスケやシオリの聲にも乗ってくる奴は數派だ。
ハヤトはもしかしてと思って『WER』日本一位の姿を探したがどこにも見えなかった。
まぁ、あの人なら一人で攻略するだろう。もう人間辭めてるし。
「おーい、そろそろ行くぞぉ!」
ダイスケの掛け聲で探索者たちが彼を見た。
「お前ら、6人パーティーを組め! 今回はそれで行くぞ!」
「うわっ……」
《出たな。どうするハヤト組めるのか?》
(……分からん)
基本的にパーティーを組めるような知り合いがいないから単獨(ソロ)攻略をしているハヤトに組めといって組むような相手が出てくるとは……。
「あ、いたいた。ハヤト、私たちと組むわよ」
「ゆ、ユイっ……!」
「どうせ、組む相手いないんでしょ? 仕方ないから『戦乙‘s(ヴァルキリーズ)』にれてあげるわ」
ため息とともに現れたユイがハヤトには救世主に見えた。
「もっと素直にえばいいのに……」
「あれで一杯なのよ、ユイちゃんは」
「そこうるさい! 縛るわよ!!」
「ごめんね〜」
にこにこ笑いながらけ流すマホ。あれが年長者の余裕というものだろうか。
「ほ、本當にいいのか……。俺なんかれても……」
「何言ってんの。25階層じゃ一緒に攻略したでしょ!」
「うぅ……。ありがとう! やっぱり持つべきものは友達だな!!」
「いいってそんなの」
とし照れ臭いのを隠そうとしたユイのもとに行こうとした瞬間に首を引かれた。
「見つけた」
「……なんだ、シオリ」
「組む相手いないでしょ? 私と組も」
「たった今ったところだ」
「噓はよくない」
「噓じゃない」
「あら? 藍原さん。どうしたの?」
振り返ったユイがこちらにやってくる。
そいやテレビかなんかで喋ったことあるって言ってたな。
「ハヤトをパーティーにいにきた」
「ハヤトならたった今私たちのパーティーにったわよ?」
「ちょうだい」
「無理」
「…………」
「…………」
互いに無言で見つめ合う二人。
何々、いったい何が始まるんです?
《第三次世界大戦だ》
(古いんだよ、ネタが……)
《えっ、これは知ってんの……?》
ハヤトのセンスについていけないヘキサ。
「それなら仕方ない」
ぱっとハヤトを手放すシオリ。
「あげないから」
「なんのこと?」
……良かった。何もなく終わった。
《本當に何もないのかなぁ?》
(……やめてくれよ)
そんなヘキサの顔が若干ウキウキしてるのは気のせいだろうか。
「師匠ー! やっぱりモテモテですね!!」
「……お前にはあれがモテているように見えるのか」
「それ以外のなんだっていうんです?」
「あれはな、獲の取り合いなんだ」
「獲、ですか」
「そうだ。サバンナは食獣が草食獣にありつける機會はないからな。互いが互いに目をらせ合って牽制(けんせい)してるんだ」
「ここ日本ですよ!」
「…………」
そう言われてしまっては何も言えない。
「よし、全員組んだな! 行くぞ!」
転移の間にれるのは最大6人である。故にパーティーごとに順に25階層にっていく。
「じゃあ、俺たちは行ってくるから」
「はい! 私は2階層に潛ってます!」
「心配だなぁ……。本當に大丈夫か?」
「危なくなったらすぐに逃げます!」
「ほどほどにな」
そこまで言った時に、ハヤトたちの番が回ってきたので転移の間へと移する。
「ちょっとハヤト、そっち詰めなさいよ!」
「こっちは壁! 壁!!」
いつもは単獨(ソロ)か二人でる部屋が6人だとぎゅうぎゅうである。
「ユイちゃん。気持ちはわかるけど、そんなにくっつかなくても」
「違いますー!」
「はい。行きますよ」
めそうになっていたところをカオリが治めて6人で転移。ぱっと彼らの姿がそこから消える。
目を開けるとすぐに現在地を確認する。どこに転移するかはある程度の範囲は決まっているものの、その範囲では完全ランダムだ。
「あー。結構近いな」
「さっさと行きましょう! リベンジを果たすのよ!!」
「燃えてるな」
「ハヤトさんに良いとこ見せたいんですよ」
「なんでまた」
「ほら、10階層で々あったらしいじゃないですか」
「……あー」
そういえばそんなこともあったな。
《俗に言う10階層アイドル嘔吐事件だな》
(初めて聞いたよ。それは)
とはいえ、MP切れのアレである。完全に頭から抜けていた。
「そこ! 無駄話しない!!」
「「はーい」」
ハヤトたちが出現したポイントはかなり階層主(ボス)部屋に近いところで30分ほど歩くと到著してしまった。
「いっちばんのり〜」
ミサキがそう言いながら祠(ほこら)の前でくるりと一回転。
「待つかぁ」
「モンスター狩っててもいいわよ」
「疲れることしたくねえよ」
ということで祠の前で待つこと1時間半。ようやく54人全員が集まった。
「何が起きるか分からないのが階層主(ボス)だ。ここで一回おさらいをしておこう。ハヤト」
ダイスケの聲でハヤトに視線が集まる。
「階層主(ボス)は『赤鬼』。昔噺に出てくるアレだ。速いし、強い。魔法も使う。特に特殊な技はしてこなかったはずだから、とにかくそれだけに気をつけてくれ」
「ということだ。いいな!!」
「「「おうっ!!!」」」
「よし、行くぞっ!!」
ダイスケが先陣を切って階層主(ボス)部屋の扉を開けた。
重たく響く音とともに扉が開ききると54名の探索者たちが雪崩れ込む。
「上から來るぞっ!!」
ハヤトの言葉とともに探索者の視線が上を向く。剎那、上から降ってきたのは人類の天敵。
「ウォォォォォオオオオオオオオオオオオッッツツツ!!!!」
咆哮。
だが、これに“恐怖”のバッドステータスが含まれていることはすでに共有済みである。全員が対策用の丸薬を服用したうえでここにいる。
“【鬼殺し】【強化Lv3】【祓魔の心得】をインストールします”
“インストール完了”
「盾役(タンク)!!」
ダイスケのびとともに飛翔した『赤鬼」の前に二人の屈強な男が飛び出した。2mはありそうな大楯をドスンと構えた瞬間、『赤鬼』の渾のストレートが直撃。盾役(タンク)二人はそのまま宙を舞うと、壁に激突した。
「……想像以上だなっ!」
ダイスケが低くらした。
だが、その隙間を埋めるようにさらに久我が飛び出すと、ガラ空きになったダイスケをガード。「赤鬼」の左の一撃が炸裂。
バガァァァアアアアアン!!!
盾が砕けたのではないかと錯覚するような轟音とともに久我の両足が石畳の地面に埋まった。
「くっ……」
きが取れなくなった久我のカバーに他の探索者たちがった。『赤鬼』の注目(ヘイト)はダイスケに向いている。その隙にとハヤトとマホが疾走。二人が息を併せて背中に攻撃。分厚い筋が邪魔をして有効打にはなり得ない。
だが、構わない。時間稼ぎになれば。
『赤鬼』の視線がハヤトに向く。絶対強者の視線に思わず足が震えた。その瞬間、右腳を斷ちに走ったが走り抜けた。
ヒィィィイン! と澄んだ金屬音とともに、『赤鬼』の皮が薄く斷たれ出した。
「足を斬るつもりだったのに」
シオリは殘念そうにそう言うと、飛んできた蹴りを踴るように回避。そこに別の探索者が飛び込んで攻撃。『赤鬼』の注目(ヘイト)を一箇所に集めない作戦だ。
「全員、下がれっ!!」
ダイスケの怒號。注目(ヘイト)を集めていた探索者の間に二人の盾役(タンク)がって『赤鬼』の攻撃を防。瞬間、前線攻略者(フロントライナー)たちの最大火力である魔法攻撃が叩き込まれた。
炎、水、氷、巖。
ありとあらゆる屬のありとあらゆる攻撃が『赤鬼』に雨霰(あめあられ)のように降り続ける。
「ォォォオオオオオオオオオッツツツ!!」
『赤鬼』の咆哮とともに無數の炎が巻き起こり、魔法攻撃を打ち払った。
「『鬼火』かっ……」
一人、それを知っている年は呟いた。
「下がれ! 巻き込まれるぞ!!」
ハヤトのびに全ての探索者が従った。
「水屬の防魔法を! 速くッ!!」
先程まで攻撃魔法を唱えていた魔法使いたちはすぐに脳を切り替えると、『ウォーターウォール』を展開。周りの探索者を守るために壁を張る。
ズドドドドドドドドドドッ!!!
『赤鬼』から放たれた鬼火が、絨毯撃のようにして周り全てを焼き払っていく。3mの分厚さがある『ウォーターウォール』が削られていくのを見てハヤトは背筋に冷たいものが走るのをじた。
……マトモではない。
だが、天原の當主(ハヤトの父親)はこれを1人で祓うのだ。自分も負けるわけにはいかない。そう思って槍を強く握った。
「フゥウゥゥゥゥウウウウウウウウッツ!!!」
鬼火を使い果たした『赤鬼』が大きく息を吐き出す。それを見計った探索者たちが飛び込んだ。その後ろから支援の攻撃魔法が空を飛ぶ。『赤鬼』はその魔法スキルを弾き、毆り、そらした瞬間の空いたに、背中に剣と槍が叩き込まれた。
マホが跳躍。『赤鬼』の目に剣を叩き込み、右目を潰す。だがその瞬間にばされた手に捕まった。
「くそッ!」
ハヤトは槍を放棄。黒い霧となって霧散していく中、大剣を呼び出すと今にも潰されそうになっているマホを助けるべく右手を斬り落とした。
「ガァッツ!!!」
赤鬼が痛みにいた。マホはをよじって斬り落とされた右手から逃げ出すと、治癒ポーションをあおった。
敵がく。その隙を見逃すようではいつまで経っても前線探索者(フロントランナー)などにれぬだろう。故に、ここにいる猛者たちがそこに飛び込まないわけがない。
先陣を切ったのはシオリだった。彼は右足を切り抜けながら斬り落とすと息を吐き出す。バランスを崩した赤鬼がばした左腕をダイスケが斬り落とす。
「シッ!」
ハヤトはその瞬間に跳躍。自らの持ち得るスキル全てを使って『赤鬼』の首に大剣を叩き込んだ。ギィイン!! と骨にぶつかったとは思えないほどの金屬音。だが、さすがにハヤトのほうが強い。ガスッ! と斬り抜け、地面に剣が突き刺さる。
ハヤトは『赤鬼』のを蹴って距離を取る。こんな強敵が一段階のわけがない。他の探索者たちも同じ考えか、既に攻撃魔法の詠唱を初めている者もいる。
鬼の首が落ちてゴロゴロと地面を転がっていく。ふと、止まると同時に鬼のに炎が燈った。それは次第に広がっていくと鬼の死を燃やしていく。
……違う。あれは治しているのだ。
炎は再び人の形を取ると、その中から現れるのは先程より一回り大きくなった『赤鬼』。
「ウォォォォォオオオオオオオオオッッツツツツ!!!!!」
鼓が破れそうなほどの咆哮。剎那、天から降ってくるのは3mの巨大な金屬塊。
「來るぞ! 二段階目だッ!!」
ダイスケの言葉に、金(・)棒(・)を持った赤鬼が再び吠えた。
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