《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第8-36話 新たな一歩!
『百鬼夜行』は壊滅した。
々と殘る部分はあるものの、咲桜(さくら)はそう結論づけた。“伏見”の狐も、天日(あまひ)も見つかっていないというのに、それで全てが終わったといってしまうのはあまりに暴論だった。
“魔”は名前ではなく、人に集まる。
天日(あまひ)が生きている限り、再び第2、第3の『百鬼夜行』は現れるのだ。だが、組織に決定的なダメージを與えたのは間違いなかった。だから、ハヤトはその決定を甘んじてけれて、自分の生活に戻ったのだった。
本部襲撃から1週間後。
「……行くのか?」
「ああ、リリィ……。って、言っても分からんか。向こうに待たせてるやつがいるんだよ」
ヒロはそう言って、笑った。
「つっても、こっちの世界に來れることは分かったんだからそこは収穫だったな」
『百鬼夜行』の本部へと襲撃をかけてから1週間。ヒロとイグレスは々と語り合っていたが元の世界に戻るための算段が付いたらしい。ダンジョンで稼いだなけなしの金を向こうの世界に戻るための機材やらなんやらを購するのに使っていた。
「良いのか? 親とかもいるんだろ? こっちの世界に」
「あん? 最低限、顔は合わせたぜ」
そう言ってヒロはよく分からない魔法陣を描きながらあーでもない、こーでもないと魔法陣の上においた寶石類をかしていた。
ちなみに彼らがいるのは咲桜(さくら)がハヤトと特訓するためだけに購した廃校のグラウンドである。
「好きなようにしろとだとさ。ま、生きてたってのを伝えただけでも十分だってことよ」
どうやら魔法陣が完したらしい。ヒロとイグレスは魔法陣の外に離れて、イグレスが何かの詠唱を始めた。
「つーことで、今回は『バイバイ』だ」
「なんか、寂しくなるな」
「また、來るよ」
よく考えればヒロはハヤトにとって産まれて初めての同世代の、そして同の友人なのだ。
「ああ、待ってるよ」
ハヤトが笑うと同時に、魔法陣の中に黃金の火花が生まれて破裂。1つが2つ、2つが4つと増し、気が付けば黃金の炎になった。
「どうだ。ハヤト、お前もこ(・)っ(・)ち(・)に來てみるか?」
「ははっ。遠慮しておくよ」
別に永久の別れじゃないのだ。また會える時は來るだろう。
「そうか。じゃ、ま(・)た(・)な」
「ああ、ま(・)た(・)」
ヒロはそう言って炎の中に消えて行った。
「世話になったね」
イグレスがそれだけ言って、炎の中に飛び込んだ。2人が消えた瞬間、炎の勢いは急速に弱まるとやがて廃校の校庭にわずかな焦げ跡を殘して何もかもが消え去った。
《あっけなかったな》
(まあ、らしいと言えばらしいよね)
しみったれた別れなんて似合わないだろう。
《アイゼルのときもそうだったが、男の別れはドライなものだな》
(そうでもないよ)
ハヤトは足取りを外に向けると、咲桜(さくら)がリムジンの側で手を振っていた。
「すいません。ここまで送ってもらって」
「いえ。『來訪者』の管轄は我々がやるべきことですから」
「……本當に、あの“九尾”は消えたんですかね」
日本どころか世界を制してた巨大な“呪い”。それはヒロやアイゼルの帰還を妨げていたものだったが、ハヤトと『核の』が九尾を斬った後から解除されてしまっていたのだ。
だから、彼らは帰った。ヒロはともかく、彼らは元々別の世界の住人だ。こちらの世界には合わないのだとかなんとか……。
「じゃあ、ハヤトさんの家まで送りますよ」
ハヤトは咲桜(さくら)に禮を返し、リムジンに乗った。
「世界中で起きた『星界からの侵略者』の事件、あれ大片が付いたらしいですよ」
「良かったじゃないですか」
その後、咲桜(さくら)が話した容によればいち早く危機をしたイギリス、そしてそれに次いで危機をした日本を先陣としてどこの國も災害復興が始まっているらしい。
「ただちょっと厄介なことがありまして」
「何かあったんですか?」
「……『D7』。ああ、ダンジョンが出來た7ヵ國のことなんですけど、それ以外の國で多くのモンスターが見られるようになったんですよ」
「どういうことです?」
「『眷屬』、というらしいのですが、とにかく『星界からの侵略者』の死から生まれて増して人を襲ってるらしいんです」
「はぁ」
ん? つまりモンスターが“外”の世界にも出る様になったってこと?
やばくね?
「アメリカとかは々考えてるらしいですよ。それこそ、探索者の輸(・)出(・)とかやるんじゃないですか?」
「日本はやらないんですか?」
「國民が許してくれますかね」
そう言って咲桜(さくら)さんはニマニマと笑った。
「自衛隊の時はえげつない反対でしたし、これが民間人となるとちょーっと大きな問題ですよ」
「ちょっと……?」
しかしこの人の考えていることはよく分からないので、放っておこう。
「うちのバアさん、見つかりましたか?」
「それがすっかり行方をくらましちゃってて、“草薙(ウチ)”でも々探してるんですけどねぇ」
「1000年以上も隠れ続けてた人ですからね、そんなに急には見つからない……ってことですか」
「そういうことです。おっと、喋ってたらハヤトさんの家ですよ」
「今日はありがとうございました」
「いえいえ。しっかり休んでくださいね」
「…………はい」
「あら? どうかしたんですか? 顔が優れないようですけど」
「いや、何でもないです。失禮します」
ハヤトは咲桜(さくら)に禮を告げて、車から降りると自分の家へと向かった。
オートロックの前で自分の部屋番號を力すると、エリナの綺麗な聲が聞こえてくる。ハヤトは幾つか言葉をわすと鍵が開いたので中にってエレベーターに乗り込む。
まっすぐあがって自分の部屋にろう……としたところで、部屋の外にまで聞こえてくる大聲に顔をしかめた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!! 誰よ! 私のアイス食べた奴はッ!」
「あ、それハヤトさんが食べてましたよ」
「噓つけェ! テメエの顔にアイスがついとるわボケェ!」
「えっ。だって、さっき顔洗って……。……あっ!」
「ぶっ殺すッ!!」
うるさっ……。絶対近所迷じゃん……。
ハヤトは近隣住民の方々に申し訳ない気持ちを抱いたが、よくよく考えればこのマンションに住んでる人たちはみんな探索者だということを思い出すと申し訳なさは一瞬で消えてしまった。
「……ただいま」
「おかえりなさい! ご主人様!!」
「何が起きて……って、言わなくても良い。何が起きたか大理解出來た」
セツカが『核の』を後ろから羽い絞めにし、家の中がしっちゃかめっちゃかになっている。そんな中、それらの騒音を一切無視してテレビにかじりつくようにしてアニメを見ているアメリア。
「……これがウチかぁ」
「騒がしくていいじゃないですか」
アメリアは咲桜(さくら)さんがアメリカに返すといっていたが、パスポートも戸籍もないので々と大変なのだという。だから、咲桜(さくら)さんがどうにかするまでアメリアはハヤトの家で保護することになったのだ。
セツカはセツカで『百鬼夜行』が壊滅したから家が無いとか言い出しやがった。その家をぶっ壊した張本人がハヤトなので彼を追い出すわけにもいかず、ウチに泊めたままである。
『核の』は知らないに勝手に外にでるようになってるし。
「まあ、そうだなあ」
「あ、プリンありますよ。食べますか?」
ハヤトのぼやきにエリナがそう言った。
「え、プリンあるんです? 私もたべたーい!」
「あんたは私のアイスを返しなさいよッ!!!」
『核の』が飛び込んだ瞬間、後ろからセツカが取り押さえた。どっすーん! と大きな音と振が階下に伝わっていく。
……勘弁してくれ。
《良かったな。ハーレムだぞ》
(お前は毎回それをいわなきゃ気が済まんわけか)
《しかも全員形……って、エリナは違うか》
(……好きじゃないの! 俺は!!)
《我慢はに毒だぞ》
(ふざけんなッ!!)
と、大きくヘキサにんだところでハヤトは1つの書類を取り出した。って、ヘキサに構ってる場合じゃない。重大発表があるのだ。
「あれ? どうしたんですか、ご主人様。何か書類関係で不備がありましたか?」
いつも書類関係を任せているエリナが心配そうにハヤトを見る。
「えっ。ハヤトって全部この子に書類投げてるの……?」
別の意味で心配そうな視線をこちらに投げかけてくるセツカ。
「おー、ハヤトさんに書類なんて似合いませんね。何ですそれ。婚姻屆ですか?」
「違うわっ。良く聞け、お前ら。おい、アメリアもだ」
「え、私も? ちょっと今無理ー。これから頂上戦爭編なのに」
「良いからッ!」
ハヤトは(?)たちをダイニングの椅子に座らせた。
「それで、改まってなんですか?」
エリナが銀髪を揺らして尋ねる。
それにハヤトはドヤ顔で書類を見せた。
「これだ」
「え、何ですか……?」
咲桜(さくら)さんにお願いして取り寄せてもらった書類だ。
中を知らないヘキサが書類を覗き込んで絶句。アメリアは漫畫とアニメ以外の日本語が分からないので疑問顔。だが、セツカは「おおっ」というじで目を見開き、エリナは激のあまり涙を流し始めた。
「高認試験の申し込み用紙だっ!」
「えええええええええええええええっ!!!!!!!」
驚きのあまり『核の』が椅子から転げ落ちた。
「は、はっ、ハヤトさんがこ、ここ、高卒にィ!?」
「そんなに驚くようなことか、これ」
「だって、ハヤトさんの決定的な特徴がそれじゃないですかっ!」
「馬鹿ぁー! 俺の夢はキャンパスライフを送ることなのっ!」
「じゃ、じゃあハヤトさんが……大卒……」
『核の』は泡を吹いて気絶した。
To be continued!!!
験戦爭編スタート(大噓)
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