《【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!》第9-5話 赤ちゃんはどこから來るの?
「こ、壊れちゃった……!」
互いに剣を構えたまま微だにしないシオリと澪。ハヤトの頭の中も報量の洪水でいまにも壊れそうである。
《壊れた? そんなわけあるか。攻撃を止しただけで……》
ヘキサはにやけ顔を隠すために一部始終を見ていたわけではないので疑問顔だが、ハヤトの“覚醒”スキルを信じるなら特に2人ともきを止めることなどあるわけがない。普通に攻撃をやめればすぐにでもけるはずだ。
だが、2人ともきを止めている。
《と、とにかく! 呼吸の確認! 息してるのか!?》
「い、息ね……!」
ハヤトはとっさに澪の鼻の近くに耳を持っていく。呼吸音を確認。部もわずかにいている。シオリも同等だ。つまり、2人とも呼吸はしている。
「し、してるよ! 息!」
《じゃ、放っておいても良いだろ》
「なんでだよッ!!」
《ずっと放置しておくわけじゃない。この2人をどうにかするまでとりあえずこのまま放置だ》
「あ、なるほど……」
ハヤトはヘキサの言葉で納得した。
《いまはとにかく報がしい。ダンジョンのことだし『核の』に聞けば何か分かるかも……》
「と、とりあえず連れて來よう!」
ということでハヤトは慌てて階下に降りて、エリナやセツカと談笑している『核の』の手を摑むと、エレベーターに飛び込んだ。
「ちょっとー! 何ですか!!」
「見てしいものがあるんだ!」
「見てしいもの? 私に? 何ですか? 勉強ですか??」
「何で俺がお前に勉強聞くんだよ」
「ナチュラルに失禮すぎません?」
というわけで部屋の前に到著。未だに剣を構えたまま直している2人のところに『核の』を連れてきて、事の狀況を説明した。
「それで、子供が出來たといって2人が喧嘩して“覚醒”スキルできを止めたと……。はぇー。ヤ(・)リ(・)手ですね! いよっ! この槍男!!」
「槍……? 確かに俺はよく武で槍を使うけど……」
「うわっ。冗談にマジレスしないでくださいよ。モテない男の典型例ですよ」
「ぐぬぬ……」
「それにしても……」
『核の』は2人にぺたりとれる。
「ハヤトさん。本當に攻(・)撃(・)だ(・)け(・)を(・)止したんですか?」
「……何が言いたい?」
「“正義を詠え、(オムニオ・)言葉でせ(ヴォルカルム)”は“覚醒”スキル、それも人の行にすら影響を及ぼすスキルですよ? 全部のきを止めて、愉(たの)しんでたんじゃないですかぁ?」
「………………」
……。
「うわっ! 無言で外に落とそうとするのはやめてくださいよ!! ここ何階だと思ってるんですか!!?」
「人選をミスった。こうなりゃダイスケさんあたりに聞いてみるか……?」
しかし『ヴィクトリア』というガチクランの経営者である。頼めば快くこの狀況を何とかしてくれそうではあるが、人の好意に付け込むというのはあまりやりたくない。
「ちょっと! 人選ミスなんて失禮なっ! ここは宿と飯のお禮くらいはやりますよッ!!」
「急に劇的になるな」
「ふっ。この私をみくびって貰っちゃ困りすよ。この名探偵『ダンジョンちゃん』が明晰な頭脳にかけてこの事件、一発で解決してやんよっ!!」
「……勘弁してくれ」
もう突っ込む気力もない。
「まずはこの2人の共通點! それは防を著ているということ!!」
しかし勝手に喋りだすのが『核の』。
「そうだな」
「あとはこの! 一見、この2人のに見えますがよく見るとこれは返りです!!」
「そうだな」
「つまり! この2人はモンスターを倒すためにダンジョンに潛っていたと考えられます!!」
「…………」
…………。
「だから! 無言で外に放り投げようとするのマジでやめてくださいって!!」
「見て分かることを大聲で言われてもな」
そもそもこんな事になるのは十中八九、ダンジョンのせいに決まっているのだ。殘りの二一は『星界からの侵略者』である。つまり、100%『核の(こいつ)』が悪い。
「ダンジョンのせいだと分かったならダンジョンに潛るのが一番ですよ! さっ! 私から手を放してください!!」
「それは良いんだけど、この元兇が何なのか。どこにいるのか。それを知りたいんだよ。お前、なら知ってると思ってさ」
┐(´д`)┌
「何だよその顔」
「なんで私がダンジョンに詳しいと思ってるんですか」
「いや、だってお前のことだろ? 自分のことなんだからダンジョンに詳しいんじゃないのか?」
と、ハヤトが言うと急に『核の』が地団駄を踏み始めた。
「むきぃいいいい!! それっ!! それですよ!!! いま私が言われて一番腹立つ言葉はそれですよっ!!!」
「何で」
「じゃあ逆に聞きますけど!! ハヤトさんは適當な筋だけ見せられて! どこの筋か當てられますか!? どんな役割してるか當てられますか!? 當てられませんよねェ!! それと一緒! 私のの中(・)なのに! 何で私が知ってるんですか!! 人間の方が詳しく知ってますよ!!! あ、今のちょっとエロい」
《中學生か》
ノータイムのヘキサの突っ込み。ハヤトは全てを無心で流した。
「……お前の言い分は確かに分かった。ギルドに行こう」
「えっ。マジですか」
「お前はここにお留守番だぞ」
「なッ。何でぇ!? 私の中に行くんでしょ!? 私もいるじゃないですか!!!」
「いや、お前は萬が一こいつらがきだした場合、きを止める役割だ」
「…………なるほど」
「いいか。この2人に何もするなよ! 絶対にするなよッ!!」
「あったりまえじゃないですかぁ!」
「フリじゃねえからなッ!」
「…………わ、分かってますよ」
ということでしつこいくらいに念を押して、ハヤトは防に著替える間もなくマンションを飛び出してギルドにレッツゴー。あまり飛ばし過ぎると速度違反で警察に注意されるので法定速度を守りながら向かうところが真面目たるところか。
(なあ、ヘキサ)
《どうした》
(……子供、どうしようか)
あまりに深刻そうにこちらに聞いてくるハヤト。ヘキサはしばらく考え込んで、そのまま本格的に考えこんだ。今までハヤトのの上話を聞いてきて、過酷な社會に現実を教えてあげるのはあまりに酷すぎるとこの手の話を逸らし続けてきたがこのままでは彼のためにならないのではないか。
そう思って、しばらく真面目にこの先どうするかを本當に真面目に考えて。
そして、結論を出した。
《出來てるわけないだろ(笑)》
「は?」
あまりの衝撃でハヤトは赤信號でブレーキをかけきれず、半分橫斷歩道に突っ込んでしまった。
「あぶねっ!!」
慌ててブレーキ。ハヤトは運転手たちから白い目で見られながらいそいそと自転車を戻した。
(ど、どういうことだよッ! お前が出來てるって言ったから!!)
《…………ハヤト、真面目に聞け》
(何だよ)
彼は自転車にまたがって、信號が切り替わるのを黙って見つめた。
《子供は、コウノトリじゃ出來ない》
(…………はっ。その手の冗談にはもう騙されないぞ)
《良く聞け。これはマジな話だ》
(……何がマジな話だよ)
《子供はがあれば出來るものでも無いんだ……!!》
ヘキサの切実な聲に、ハヤトはちらりと彼の方を見た。
(……まあ、そりゃ知ってたよ)
《…………そうか》
やけに冷たい聲でハヤトがそう言うだから、ヘキサは黙り込んだ。
(で生まれるならさ、俺は産まれてないはずだから)
《……そうか》
またツッコミにくい話になったなと、ヘキサが顔をしかめているとハヤト自がその話を打ち切った。
(ま、俺の話はどうでもいい。子供はどこから來るんだ?)
《む。本題だな》
実を言うとヘキサはまだこの結論で良いのかを迷っていた。だが、ハヤトが知りたがっているのだ。年長者として教えてあげねばならないだろう。
《ハヤト。子供の別名を知っているか?》
(別名?)
《ああ。『子供は風の子』ってやつだ》
(ん? ああ。聞いたことがあるけど)
だからヘキサは、
《あれが真実なんだ。子供は風に飛ばされてそれぞれの家にやってくるんだ……!》
まだ、楽しむことにした。
惜しくもネット小説大賞最終落ちでした……。
悲しいですが打ち切りとかしないんで安心してください!
しっかり完結させますんで……!
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