《【完結】処刑された聖は死霊となって舞い戻る【書籍化】》私は変な子らしい
「意識を……? ファンゲイル様、どういうことですか?」
焦る私をよそに、メズが疑問を口にした。ゴズはこういった場面では口を出さないことにしているようで、斧を構えたまま無言で私を見據えている。
対して、頭蓋骨のような意匠のったの丈ほどの杖でを支えるファンゲイルに敵意はなかった。あるのは純粋な好奇心だ。
「ヒトダマっていうのはから抜けた魂が魔化したものなんだよね。僕の場合は式で故意に魔化してるわけだけど、魂と記憶は関係ないからね、普通は意識なんて殘らないんだ」
「しかし、アンデットでも高位の魔だと話したり意思があったりするではありませんか」
「あれはアンデットになってから芽生えたものだよ。人間の中じゃ生前の未練がどうとかっていう話もあるけど、関係ない」
おお、やっぱり高位になれば話せるんだ。
今のところ笑い聲しか出せないが、希が見いだせた気がする。それもこの場を切り抜けないことには始まらないけど。
「そもそも魂っていうのは人間だけに限らず、全ての生が持ってるんだ。そして、それらに貴賤はなく、まったく同じ強度の魂なんだよね。だから皆等しくヒトダマにできるし、進化すれば人型にも獣型にもなれる。魂なんて生の核でしかなくて、記憶や意思は全てにあるからね。ただし唯一の例外が、人間だけに與えられる『ギフト』だ」
『不死の魔王』ファンゲイルは、魔の王というより研究者のような男だった。
実際、アンデットについては誰よりも知識を持っているのだろう。暴無人で人間を殺す兇悪な魔王、という抱いていたイメージとはかけ離れていた。腰は穏やかで、理知的だ。見た目にも人間にしか見えない。
もっとも、片腕に人骨を抱いていなければ、の話だが。
「ギフトについては僕もあまり分かっていないけれど、簡単に言うと魂に刻み込まれるものなんだ。それも死ぬときに消滅することがほとんどなんだけど、たまにギフトを殘したまま魂が抜けることがある。そういう魂は死霊になってもギフトを使える場合があって、僕も重寶しているんだけど」
話している間も、ファンゲイルは私から目を離さない。メズとの會話に夢中になっている隙にこっそり移しようとしたら、箱型に作られた結界に閉じ込められた。
(いやだ! 出して!)
「ギフトが殘ると、意識も魂に殘るのですか?」
「ううん、そんな事例は今までなかったよ。でも、可能が高いのはそれかなって」
手で叩いても突進してみても、結界はびくともしない。
生前の私だったら突破できただろうか。間近で見てみると、これは魔法障壁で質を遮斷する効果はない。しかし魔法生命の私にとっては、難攻不落の檻だった。
アンデットを生み出すのも、ファンゲイルの魔法か。そう考えると、彼は魔導士なのかもしれない。杖も持ってるしね。
「さて、君のギフトは何かな?」
(……知らない)
「ふーん、しらばっくれるんだ」
言えない。聖なんて。
彼の目的を數年間に渡って妨害し続けた張本人なのだから、素直に告げたら殺されるに決まってる!
孤児院を守るために最終的には魔王と事を構えるつもりだったけど、今から突然戦うのはあまりに無謀だ。せめてもっと進化してからじゃないと話にならない。
(それより、なんで王國を攻撃するの?)
「何、君あの國の人? 教えないよ」
ファンゲイルがすっと目を細めた。
若干苛立ったように、杖の石突で床を鳴らして一歩近づく。
むむ、どうしよう。今までは好調だった行き當たりばったりの格が災いしている。
もともと後先考えるのは得意じゃないんだ。でも行く當てもなかったし、砦にやってきたのは間違いじゃなかったと思う。ここからなら王國の方向もなんとなく分かるし、戦力もある程度摑めた。レイニーさんに會えれば狀況を伝えることができる。
だがそれも無事逃げおおせたらの話だ。
「答える気がないならそれでもいいよ。アンデットは僕に逆らえないから、無理やり聞くとするよ――ソウルドミネイト」
ファンゲイルは杖をかざして小さく呟いた。杖についたドクロの瞳が怪しくる。
聖屬以外の魔力を知覚するのは苦手だけど、彼の放った魔力が私のに降りかかるのがはっきりわかった。
「知ってる? アンデットはとの結びつきが弱かったり、そもそもがなかったりするから、魂に直接作用する効果に弱いんだよ。この魔法はそんなアンデットを完全に支配する」
私のを彼の魔力が包み込んだ。泥沼の中に落ちたかと錯覚するほど重く、まとわりつく闇の魔力だ。神的で春風のような聖屬の魔力とは正反対で、気分が悪い。
「君はなかなか面白い子みたいだからね。研究が終わったら仲間にしてあげるよ」
(やだ、なにこれ。う、け――)
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