《【完結】処刑された聖は死霊となって舞い戻る【書籍化】》これはいける!
アレンがこじ開けてくれた道を通って、包囲から抜け出した。といっても最前列にいたから、スケルトン一分の隙間で十分だ。
到著してすぐに私の姿を発見して助太刀に來てくれたのかな。昔から私を見つけるの上手いよね、アレン。
「アレン! あまり前に出ないでよ!」
後ろから走ってきたのはカールだ。私たちの五つ年上のお兄ちゃんで、剣の腕を見込まれて兵士になった秀才。
その後ろには筋骨隆々の兵士たちがたくさんいた。二十人くらいかな。みんな、アレンの呼びかけに応じてくれたんだ!
空がうっすらと赤く染まり出した頃でまだ日が沈み切るまで時間はあるから、ベストなタイミングで來てくれたと思う。
喜びのあまり手を振ってにりたくなるけど、レイスが突撃してきたら大パニックになるよね。ちょっと離れたところから様子を伺う。剣を一振りしてスケルトンたちから距離を取ったアレンが、兵士の方へ戻っていった。
「悪い!」
「いや……それにしても近くで見るとすごい數だね。僕たちだけじゃ厳しそうだ」
し減らしたとはいえ、魔はまだ九十ほど殘っている。それも人間とは違い疲労しないアンデットだ。兵士一人につき三倒してもまだ足りない。
「冒険者ギルドへの要請はどうなったんだ?」
「一応向かわせたけど、來てくれるかは五分五分かな……とりあえず目の前の敵に集中しよう」
十歩ほどの距離に魔の大群がいるというのに、カールは落ち著いている。後ろの兵士たちはどこか浮足立っている様子だったが、振り向いたカールが剣を掲げたことで目のが変わった。
兵士は魔戦が専門ではないが、日ごろから訓練に勵む強な男たちはスケルトンくらいともいないと思う。でも、如何せん數が多い。
スケルトンの骨は脆いとはいえ、何も斬っているうちに刃もダメになるだろう。
(ちょっと魔力たくさん使っちゃうけど……聖屬付與)
こっそり放出した魔力が、アレンやカールたちの剣に吸い込まれていく。勘の良い兵士は剣を見て「これは……」と呟いている。
厳には魔法ではないが、聖として活していく中でに著けた技だ。聖屬の魔力を質に付與し、保護する。いわゆる聖別やお清めと呼ばれるもので、アンデットに対して高い威力を発揮するようになる。
から魔力がごっそり減った。魔法生命である霊は魔力と魂でできているから、自軽くなった気がする。
たくさん魔力使って聖別したから、兵士たちに頑張ってもらうしかない!
「総員、突撃!」
カールの合図で、兵士たちは一斉にき出した。
アンデットは足並みを揃えて進軍しているように見えるが、近くに人間が來ると嬉々として襲い掛かった。だがある程度離れたところにいるアンデットは興味を示さず、靜かに歩くのみだ。
「めっちゃ切れるぞ!」
「なんだこれ、まるで魔法のような……?」
「ふふふ」
(久々に聖として人に謝されてる!)
聖別された剣はスケルトンの骨を容易く真っ二つにし、言わぬ骨に変えていく。溫存して死者でも出たら大変だもんね。
「おびき出してしずつ撃破しましょう! カール隊長、これ、勝てそうですよ!?」
それに気が付いた兵士の一人が聲を張り上げる。
「そうだね。でも油斷しないように」
兵士がどれだけ強くても、囲まれてしまったら量で押し負ける。それを防ぐために、きが単調で導しやすい低位の魔を集団から切り離して各個撃破するのだ。
さすがの連攜と言うべきか、四、五人ずつの小隊に分かれた兵士たちは次々とアンデットを倒していく。
ソルジャー、メイジ、アーチャーなどの上位スケルトンも、実力のある小隊長クラスの兵士が危うげなく処理する。
(いける! これはいける!)
弱い魔はみんなに任せて、エアアーマーを倒そう。さすがに剣の通用しない相手は、兵士には荷が重い。
エアアーマーを探してさまよっていると、アレンが近づいてきた。
「セレナ、なんとかカールを説得できた。こんなにいると思わなかったけどな」
ありがとう、という意を込めて両手を上げて丸を作った。
アレンがいてくれてよかったよ。おかげで、なんとか街を守れそう。
「セレナのおかげだ。教えてくれなかったら大変なことになるところだった。この數の魔が街に辿り著いていたら、かなりの犠牲が出たと思う。これが終わったらきちんとカールに話そう。もっとも、それも無事勝ってから、だな」
「あははは!」
「はは、魔になっても笑い方変わってないな」
二人で笑い合って、魔を食い止めるべく別れた。
エアアーマーは殘り四。攻略法は一目で分かった。
ポルターガイストは、魔力をってを摑むというスキルだから魔力消費がない。あくまでをかすスキルで破壊には向かない分、一度出した魔力は消費されずに使い続けることができるのだ。
火に魔力という薪をくべるのが魔法なら、薪そのものを使うのがポルターガイストである。使っても減ったりしない。
(見つけた!)
聖別で魔力を大幅に消費した分、ここで使いすぎると魔力切れになる。
(節約節約……ポルターガイスト)
要領は一目と同じだ。
両手を前に出して、手の延長線上に魔力があるイメージ。それを使ってがっしりとエアアーマーを挾み込む。
剣を奪って、兜を摘まみ上げる。
(ふんぐーーーー)
乙らしからぬ聲を心の中でびながら、兜を引きはがしにかかる。
魔力を知覚できないギフトなしの兵士から見たら、エアアーマーがひとりでに浮き上がっているように見えるだろう。見えない攻撃と、もがき苦しむエアアーマーの攻防はすぐに終わりを迎えた。
(近づかれなかったら私に分があるね!)
すかさず近づいて、魂をぺろりと平らげる。
うんまーい!
いつもお読みいただきありがとうございます。
広告下↓から☆評価、想を頂けると勵みになります!よろしくお願いします。
【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの少年は、眠りからさめた女神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】
サーガフォレスト様より、1巻が6月15日(水)に発売しました! コミカライズ企畫も進行中です! 書籍版タイトルは『神の目覚めのギャラルホルン 〜外れスキル《目覚まし》は、封印解除の能力でした〜』に改めております。 ほか、詳細はページ下から。 14歳のリオンは駆け出しの冒険者。 だが手にしたスキルは、人を起こすしか能がない『目覚まし』という外れスキル。 リオンはギルドでのけ者にされ、いじめを受ける。 妹の病気を治すため、スキルを活かし朝に人を起こす『起こし屋』としてなんとか生計を立てていた。 ある日『目覚まし』の使用回數が10000回を達成する。 するとスキルが進化し、神も精霊も古代遺物も、眠っているものならなんでも目覚めさせる『封印解除』が可能になった。 ――起こしてくれてありがとう! 復活した女神は言う。 ――信徒になるなら、妹さんの病気を治してあげよう。 女神の出した條件は、信徒としての誓いをたてること。 勢いで『優しい最強を目指す』と答えたリオンは、女神の信徒となり、亡き父のような『優しく』『強い』冒険者を目指す。 目覚めた女神、その加護で能力向上。武具に秘められた力を開放。精霊も封印解除する。 さらに一生につき1つだけ與えられると思われていたスキルは、実は神様につき1つ。 つまり神様を何人も目覚めさせれば、無數のスキルを手にできる。 神話の時代から數千年が過ぎ、多くの神々や遺物が眠りについている世界。 ユニークな神様や道具に囲まれて、王都の起こし屋に過ぎなかった少年は彼が思う最強――『優しい最強』を目指す。 ※第3章まで終了しました。 第4章は、8月9日(火)から再開いたします。
8 98【書籍化】物語完結後の世界線で「やっぱり君を聖女にする」と神様から告げられた悪役令嬢の華麗なる大逆転劇
転生も巻き戻りもせずに大逆転を遂げる悪役令嬢の物語。 婚約者だった皇太子とその浮気相手の聖女に斷罪されたイリス・タランチュランは、処刑を目前にして牢獄の中で夢を見た。夢の中でイリスはこの物語の神だと名乗るウサギに出會う。ウサギは聖女であるヒロインへの不満から、イリスに向けて「やっぱり君を聖女にする」と言い出した。目が覚めると、イリスの瞳は聖女の証であるルビー眼に変わっていた。同時刻、神殿の大神官の元には有り得ない衝撃的な神託が下り、知らせを聞いた皇帝は愕然とする。自分を陥れた元婚約者とヒロイン、そしてその周囲の人々へ復讐を誓うイリスは、神に與えられたこの設定を存分に利用するのだった。 ※お陰様で書籍化が決定いたしました。詳細は後日ご報告致します!
8 155闇墮ち聖女の戀物語~病んだ聖女はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~
闇墮ちした聖女の(ヤンデレ)戀物語______ 世界の半分が瘴気に染まる。瘴気に囚われたが最後、人を狂わせ死へと追いやる呪いの霧。霧は徐々に殘りの大陸へと拡大していく。しかし魔力量の高い者だけが瘴気に抗える事が可能であった。聖女は霧の原因を突き止めるべく瘴気內部へと調査に出るが_______ 『私は.....抗って見せます...世界に安寧を齎すまではッ...!』 _______________聖女もまた瘴気に苛まれてしまう。そして黒騎士へと募る想いが瘴気による後押しで爆発してしまい_____ 『あぁ.....死んでしまうとは情けない.....逃しませんよ?』
8 69世界がゲーム仕様になりました
『突然ですが、世界をゲーム仕様にしました』 何の前觸れもなく世界中に突然知らされた。 何を言っているかさっぱり分からなかったが、どういうことかすぐに知る事になった。 普通に高校生活を送るはずだったのに、どうしてこんなことになるんだよ!? 學校では、そんな聲が嫌という程聞こえる。 外では、ゲームでモンスターや化け物と呼ばれる今まで存在しなかった仮想の生物が徘徊している。 やがてそれぞれのステータスが知らされ、特殊能力を持つ者、著しくステータスが低い者、逆に高い者。 ゲームらしく、勇者と呼ばれる者も存在するようになった。 そして、 ステータス=その人の価値。 そんな法則が成り立つような世界になる。 これは、そんな世界で何の特殊能力も持たない普通の高校生が大切な人と懸命に生きていく物語。 ※更新不定期です。
8 192職業通りの世界
この世界では、職業が全て。 勇者「俺が魔王を倒す!」 魔法使い「魔法で援護する!」 剣士「剣で切り刻んでやる!」 そんな中、主人公である館山陸人(たてやまりくと)の職業は…… 執事「何なりとお申し付けください」 予想とは裏腹に、萬能な執事という職業で、陸人は強くなっていき、最終的には勇者をも超える存在に!? 投稿ペースは不定期です! 2作目になります。前作と繋がっているところはほとんどありませんので、気にせず読んでもらって結構です。 ですが、後半の展開は前作を読まれるとより楽しめます! 誤字脫字の報告や感想はいつでもお待ちしております! Twitterもやりますので、感想を書くのが恥ずかしいとかある場合はそちらに是非!質問もある程度はお答えします! ヒロ @hi_rosyumi
8 93ダンジョン・ザ・チョイス
※都市伝説や陰謀論、政治、スピリチュアルな話を元にした內容が主に2章から展開されます。実際にあった出來事などを用いた設定がありますが、あくまでフィクションとお考えください。 Lvはあるけどステータスは無し。 MP、TPあるけれどHP無し。 ”誘い人”と名乗った男により、わけが分からないまま洞窟の中へ転移させられてしまう主人公コセは、ダンジョン・ザ・チョイスという名のデスゲームに參加させられてしまう。 このゲームのルールはただ一つ――脫出しようとすること。 ゲームシステムのような法則が存在する世界で、主人公は多くの選択を迫られながら戦い、生きていく。 水面下でのゲームを仕組んだ者と參加させられた者達の攻防も描いており、話が進むほどミステリー要素が増していきます。 サブ職業 隠れNPC サブ武器 スキル パーティーなど、ゲームのようなシステムを利用し、ステージを攻略していく內容となっています。 物語の大半は、HSPの主人公の獨自視點で進みます。話が進むほど女性視點あり。 HSPと言っても色々な人が居ますので、たくさんあるうちの一つの考え方であり、當然ですがフィクションだと捉えてください。 HSPの性質を持つ人間は、日本には五人に一人の割合で存在すると言われており、少しずつ割合が増えています。 ”異常者”がこの作品のテーマの一つであり、主人公にとっての異常者とはなにかが話しのメインとなります。 バトル內容は基本的に死闘であり、そのため殘酷な描寫も少なくありませんので、お気をつけください。
8 179