《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》21 作戦決行
毒を仕込む、とリリアが予告してくれたので、私はメインディッシュで喰らう予定だった毒をスープに回してもらった。
空豆のポタージュ。が獨特の緑なので、かえって目立たないかもしれない。向こうが仕込む隙がどこにあるのか、警戒は出來ても完全に防ぎ切ることは難しい。
だから先に、私は毒を呷る。自分の毒なら解毒剤が効くしね。給仕擔當はメリッサなので安心して頼むことができた。
スープを一口啜る。口の中が痺れて、きたが、3口くらいは飲まないと。
「うっ……!」
カシャン、とスプーンを取り落として、膝の上に乗せていたナプキンで口を覆った。
効き目通りだ、手足が痛む、気管が狹くなってが苦しい。中和剤を飲んでいるから息ができないまではいかないが、大袈裟に椅子から転げ落ちる。
「クレア!」
アグリア殿下が私に駆け寄りを支えてくれる。痺れた舌をなんとか繰って、私はか細く言った。
「だ、誰かが、スープに毒を……」
「くそ……、とにかく、今は彼を部屋に」
ここから先は、先にシナリオを伝えてあるので、私はメリッサとグェンナに連れられて部屋に戻った。
後は見舞いたいと言う父とリリアがボロを出してくれれば一番だが、ここでお義父様がお父様に舌戦で勝ってくれればそれでもいい。
この先のシナリオはこうだ。
お義父様が「先般の戦で恨みを持つ者が多く、萬全を期しているがこのような事が起こる。當然廚房で毒見役を通してはいるが、配膳の途中で仕込まれれば守り切れない。クレア殿はそれでもいい、と王宮にとどまってくれているが、他の皇殿下にそのような覚悟はあるだろうか?」と、お父様に突きつける。
リリアにそんな覚悟などあるわけがない。毒を仕込む事は考えても、仕込まれる覚悟など勿論ない。
お父様もそこは分かっているだろう。そこで「そんな所に娘をおいては行けない、和平條約の項目を無くしてほしい」と言い出すはずだ。
お義父様が「フェイトナム國王。それでは先の要請と何も変わりませんな。クレア殿は分かっていて嫁いできた、あなたも分かっていて嫁がせた。和平を強固にするために。なのに今更和平條約の変更と言うというのは、謝罪ではなくやはり開戦がおみか?」と追い討ちをかける。
そこでお父様は返す言葉を無くすだろう。私は『殺されてもいい』皇として送り出された。敗戦國の姫の処遇など、戦勝國の思うがままだ。條約の項目を了承してサインしたのはお父様なのだから、それを覆すような事はこれ以上言えない。
それ以上の舌戦は無意味だし、私が毒を呷った事と、リリアがうっかり『間者に毒を盛らせるわよ』と遠回しに言った事で、晩餐は中止になるだろう。
この時點で私の目論見は8割達だ。ベッドに橫になったまま、薄く笑う。
私はこの國に『在留しなければならず』『お父様もそれを反故にできず、換も出來ない』し『間者を引き上げさせなければ毒の疑いはフェイトナム帝國に向く』事になる。タイミングがよすぎるからね。私の仕込みだけど。
実は、間者と思われる人の隔離の時點で、手紙のやり取りをじなかった。は居なくとも王宮で働くのだ。
後見人となったバラトニア王國の貴族などが手紙を寄越すので容を査し、既に特定は済んでいる。返事には、されている事を仄めかすような事が書かれていればやり直しをさせた。命は取らないと言えば素直に従った。
お父様たちが帰った數日後には貴族ごと纏めてフェイトナム帝國に送り返す予定だ。
あとはいよいよ私の命を狙うかどうかだ。
私は目を伏せる。本當は分かっていたけれど、ちょっとだけ悲しい。
アグリア殿下、絶対そばにきてくださいね。
12ハロンのチクショー道【書籍化】
【オーバーラップ様より12/25日書籍発売します】 12/12 立ち読みも公開されているのでよかったらご覧になってみてください。 ついでに予約もして僕に馬券代恵んでください! ---- 『何を望む?』 超常の存在の問いに男はバカ正直な欲望を答えてしまう。 あまりの色欲から、男は競走馬にされてしまった。 それは人間以上の厳しい競爭社會。速くなければ生き殘れない。 生き殘るためにもがき、やがて摑んだ栄光と破滅。 だが、まだ彼の畜生道は終わっていなかった。 これは、競走馬にされてしまった男と、そんなでたらめな馬に出會ってしまった男達の熱い競馬物語。 ※この物語はフィクションです。 実在の人物・団體・國などと一切関係がありません。 2018/7/15 番外編開始につき連載中へ狀態を変更しました。 2018/10/9 番外編完結につき狀態を完結に変更しました。 2019/11/04 今更ながらフィクションです表記を追加。 2021/07/05 書籍化決定しました。詳細は追ってご報告いたします。 2021/12/12 書籍化情報を追記
8 63平和の守護者(書籍版タイトル:創世のエブリオット・シード)
時は2010年。 第二次世界大戦末期に現れた『ES能力者』により、“本來”の歴史から大きく道を外れた世界。“本來”の世界から、異なる世界に変わってしまった世界。 人でありながら、人ならざる者とも呼ばれる『ES能力者』は、徐々にその數を増やしつつあった。世界各國で『ES能力者』の発掘、育成、保有が行われ、軍事バランスを大きく変動させていく。 そんな中、『空を飛びたい』と願う以外は普通の、一人の少年がいた。 だが、中學校生活も終わりに差し掛かった頃、國民の義務である『ES適性検査』を受けたことで“普通”の道から外れることとなる。 夢を追いかけ、様々な人々と出會い、時には笑い、時には爭う。 これは、“本來”は普通の世界で普通の人生を歩むはずだった少年――河原崎博孝の、普通ではなくなってしまった世界での道を歩む物語。 ※現実の歴史を辿っていたら、途中で現実とは異なる世界観へと変貌した現代ファンタジーです。ギャグとシリアスを半々ぐらいで描いていければと思います。 ※2015/5/30 訓練校編終了 2015/5/31 正規部隊編開始 2016/11/21 本編完結 ※「創世のエブリオット・シード 平和の守護者」というタイトルで書籍化いたしました。2015年2月28日より1巻が発売中です。 本編完結いたしました。 ご感想やご指摘、レビューや評価をいただきましてありがとうございました。
8 158勇者パーティーに追放された俺は、伝説級のアイテムを作れるので領地が最強になっていた
【今日の一冊】に掲載されました。 勇者パーティーから追放された俺。役に立たないのが理由で、パーティーだけでなく冒険者ギルドまでも追放された。勇者グラティアスからは報酬も與える価値はないとされて、金まで奪われてしまう。追放された俺は、本當に追放していいのと思う。なぜなら俺は錬金術士であり、実は俺だけ作れる伝説級アイテムが作れた。辺境の領地に行き、伝説級アイテムで領地を開拓する。すると領地は最強になってしまった。一方、勇者もギルドマスターも栄光から一転して奈落の底に落ちていく。これは冒険者ギルドのために必死に頑張っていた俺が追放されて仲間を増やしていたら、最強の領地になっていた話です。
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