《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》88 『好奇心』と『獻』
恐怖よりも先に、バラトニアとそれに関わる人々を守らなければという気持ちが沸々とわいてくる。
自分の命を守ることが、自分の國を守ることになるのなら、私はどれだけでも不自由な思いをしてでもいい。全力で自分のを護る。
「この報告はアグリア殿下にも俺の方から上げておきます。……そこから表向きをどう守るかは、アグリア殿下の判斷になるでしょうが、そこは信じてますんでね」
影のネイジアに信じられるだなんて、アグリア様はやっぱりさすがだと、私はこんな時なのにしだけ笑ってしまった。
「えぇ、絶対に悪いようにはしないと信じているわ。あと、ポレイニア王國を抜けるまではそこまで警戒しなくてもいいでしょうね」
「俺もそう思いますよ。伝令がポレイニア王國に國した記録が殘っている。無事にウェグレイン王國に招くまで、下手な真似をすればかえって正義はバラトニアにあり、と見なされる。その時くのは、極冬、それに……ネイジア、ポレイニア王國も兵を出すでしょう。屬國からも非道な真似をしたとして離反される可能が高い。そんなことをしなくても、……あと2日もすればウェグレイン王國だ」
馬車の旅で、荷と護衛もついている。
隣接している國とはいえ、それなりに時間がかかるものだ。まして、こうして貴人として扱われているのだから、強行軍で連れて行かれる、ということがないことだけは救いだろう。
しかし、安心できるのはあと2日。その間に、考えられる限りの手を打たなければいけない。
「まずは、ビアンカが嫁いだかどうかの確証を得てちょうだい。それから、ウェグレイン王國の國王と……教皇について調べて。なるべく早く」
「畏まりました。……まぁ、もう始めてはいるんですがね。厄介なんですよ、神を一番に掲げている國というのは」
私がガーシュに命じたことなど、もうとっくに始めているだろうとは思ったけれど、それにしてもいい返事ではない。
「何せ『善行を積んでいる』と思っていますからね。全ては神の思し召し、って合だ。ビアンカ皇が本當に嫁いでいるのだとしたら、もはやビアンカ皇の傀儡と思って違いない。しかも、その皇……いや、王妃というべきか。それとも、神の化とでも言うべきですかね。とにかく、彼を守るためなら何でもする。善行なんでね。……あんまりそっちに探りをれる手を使うよりは、クレア様の護衛に人數を割こうと思いますよ」
ガーシュの言葉に、私は全く価値観の違う『敵地』に乗り込むことになるのだと意識を改めなければならなかった。
イーリャンはまだ優しい方だった。許容だけを求める。そして、それを示したことで側にいて守ってくれる。それほど宗教というものは、その個人にとって大事なものだ。
妄信というべき程信じているのなら、その大事なものの為ならば何でもするのだろう。
結婚もしたのに、なんだかこうして新婚旅行先でまで命の心配をする羽目になると思ったら、愚癡のような溜息がれてしまった。
「同じ濃い神のなのにね、私は結局祖國からも生贄に出されるし、旅先でも生贄にされるのね。なんだか悲しくなるわ」
「……それはどうでしょうね」
「え?」
ガーシュが面白そうに笑って、いつもの調子で悪戯っぽく返してくる。
「ビアンカ皇がやってるのは、結局リーナ神という虎の威を借りる狐の真似です。対してクレア様がやってることは……あなたが重ねてきた知識と、思考によって形作られた質、他人の為に盡くすというあなたの格であり、徳だ。獻、というんじゃないんでしょうかね。俺はなくとも、フェイトナム帝國の他の皇がバラトニアに嫁いだとしても、生贄以上の価値は何も無かったと思います。けれど、クレア様なら話は別だ。なくとも、ネイジアは味方に付かなかったし、ネイジアがいなかったということは極冬が攻め込んできていたともなる。何より……」
意味深長にガーシュが言葉を切ったので、私はを乗り出して続きを待った。
「バラトニアはあなたの國。そう思っているのは、あなただけじゃないんですよ。ネイジアも含めて、バラトニア王國であなたと接したことがある人は、そう思っていると思いますよ」
じゃ、行きます。とガーシュは言って屋の上に一息に飛び上がっていった。アグリア様の元へ今の話をまとめて報告に行くのだろう。
バラトニア王國は私の國。私の自意識だけじゃなく、周りからもそう思われている。
ならば、私はより一層バラトニア王國に獻しよう。自分の命を守ること、私にできるのはそれだけで、一人ではそれが難しい。
周りの……なくとも今ついて來てくれている人たちは、私を想ってくれている。帰りを待ってくれている人たちもだ。
絶対に死なない。それを目標に、私は安心して休めるうちに休もうと、窓を閉めてベッドに戻った。
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愚者のフライングダンジョン
〖ニート〗×〖怪物〗=人間社會の崩壊??? 夢、信念、向上心。いずれも持たないニートがいた。ある日、祖母が所有する畑で農作業をしていると局地的な地震が地元を襲う。突如として倉庫に現れた大穴は蠱惑的なダンジョンの入り口だった。 〜半年後、世界中の陸地で大地震が発生。世界各地でダンジョンが見つかり、人々は新たな時代の幕開けを感じた。パラダイムシフトをもたらす理想の資源を手に入れたとき、小國と大國の均衡は崩れて戦亂の時代へ逆戻りする。 〜その頃ニートはダンジョンにいた。あれからずっと迷子の大人だ。奇跡的に生きながらえたが代償としておぞましい怪物へと成り果てた。 襲いくる牙。謎の鉱石。限界を超えてみなぎる力。自由を求めて突き進め。いざゆけ、ダンジョンの最奧へ! これは頭のネジが外れたニートが愛されるべき怪物になる物語。それを観察する戯作である。
8 95高校生男子による怪異探訪
學校內でも生粋のモテ男である三人と行動を共にする『俺』。接點など同じクラスに所屬しているくらいしかない四人が連む訳は、地元に流れる不可思議な『噂』、その共同探訪であった--。 微ホラーです。ホラーを目指しましたがあんまり怖くないです。戀愛要素の方が強いかもしれません。章毎に獨立した形式で話を投稿していこうと思っていますので、どうかよろしくお願いします。 〇各章のざっとしたあらすじ 《序章.桜》高校生四人組は咲かない桜の噂を耳にしてその検証に乗り出した 《一章.縁切り》美少女から告白を受けた主人公。そんな彼に剃刀レターが屆く 《二章.凍雨》過去話。異常に長い雨が街に降り続く 《三章.河童》美樹本からの頼みで彼の手伝いをすることに。市內で目撃された河童の調査を行う 《四章.七不思議》オカ研からの要請により自校の七不思議を調査することになる。大所帯で夜の校舎を彷徨く 《五章.夏祭り》夏休みの合間の登校日。久しぶりにクラスメートとも顔を合わせる中、檜山がどうにも元気がない。折しも、地元では毎年恒例の夏祭りが開催されようとしていた 《六章.鬼》長い夏休みも終わり新學期が始まった。殘暑も厳しい最中にまた不可思議な噂が流れる 《七章.黃昏時》季節も秋を迎え、月末には文化祭が開催される。例年にない活気に満ちる文化祭で主人公も忙しくクラスの出し物を手伝うが…… 《八章.コックリさん》怒濤の忙しさに見舞われた文化祭も無事に終わりを迎えた。校內には祭りの終わりの寂しさを紛らわせるように新たな流れが生まれていた 《九章.流言飛語》気まずさを抱えながらも楽しく終わった修學旅行。數日振りに戻ってきた校內ではまた新たな騒ぎが起きており、永野は自分の意思に関係なくその騒動に巻き込まれていく 《最終章.古戸萩》校內を席巻した騒動も鎮まり、またいつものような平和な日常が帰ってきたのだと思われたが……。一人沈黙を貫く友人のために奔走する ※一話4000~6000字くらいで投稿していますが、話を切りよくさせたいので短かったり長かったりすることがあります。 ※章の進みによりキーワードが追加されることがあります。R15と殘酷な描寫は保険で入れています。
8 170僕はまた、あの鈴の音を聞く
皆さまの評価がモチベーションへとつながりますので、この作品が、少しでも気になった方は是非、高評価をお願いします。 また、作者が実力不足な為おかしな點がいくつもあるかと思われます。ご気づきの際は、是非コメントでのご指摘よろしくお願い致します。 《以下、あらすじです↓》 目を覚ますと、真っ白な天井があった。 橫には點滴がつけられていたことから、病院であることを理解したが、自分の記憶がない。 自分に関する記憶のみがないのだ。 自分が歩んできた人生そのものが抜け落ちたような感じ。 不安や、虛無感を感じながら、僕は狀況を把握するためにベットから降りた。 ーチリン、チリン その時、どこからか鈴が鳴る音が聞こえた。
8 101オワリノオワリ
終わり終わってまた始まる。 真っ暗闇に生まれた二人。 一人の二人は世界を壊す。 一人の二人は物語を壊す。 さぁ、終わりを始めようか。 序盤の文章を少し終生しました。
8 173休止中
ごく普通の一般高校生…でもないか… よくいる學校の地味ーズの[魔壁 勇] 天使より悪魔押しの廚二病… 異世界勇者ライフを満喫!…とおもいきや! とまぁ異世界系の小説です!初心者ですがよかったら! ※二作目で【我輩はモンスターである。名前はまだない。】を投稿中です。そちらもよかったら!
8 107ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~
「私と...結婚してくれる...?」 「い、いいぜ」 中學2年生の藤岡奏太は、引っ越す直前の幼なじみの少女に逆プロポーズされ、中學生にして、めでたく可愛らしい婚約者を手に入れた。 離れ離れになり會えない間も、毎日電話やメールは欠かさず、再會できる日を待ち続けること四年。 高校2年生の春。遂にその日はやって來た。幼なじみ兼戀人兼婚約者である少女の突然の転入に驚きつつも、ようやく大好きな彼女とのラブラブな高校生活を送ることができると、舞い上がる奏太。 しかし... 「靜かにしてくれない?私、うるさい人って嫌いなの。人が喋っている時は靜かにするーーそんな小學生でも分かることがあなた達には分からないのかしら?」 自己紹介でクラスメイト達に上から目線で毒を吐く彼女...。 ...そこに昔の素直で可愛らしい性格の少女の姿は全くなかった。 素直で優しく可愛らしい性格と毒舌なSキャラを併せ持つ婚約者との痛快ラブコメ、ここに開幕です! 2018/5/5 前作の戀愛サバイバル~卒業率3%の名門校~も是非読んでください! 2018/10/8 新作の元主人公、今は脇役願望も是非呼んでください!初めて書いた異能力バトル系です!いや〜戦闘描寫が難しいですね笑!
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