《サモナーさんが行く》1
事前調査は必要だよなあ。
出會いの酒場でパーティメンバー募集掲示板を覗くと唸るしかなかった。
申し込みはまたも斷られていた。
メンバー募集中のパーティに一向にけれて貰えない。
自分のほうもメンバー募集を當然しているけど、こっちも書き込みは一切無い。
見てもらえているのかも怪しいな、これは。
お斷りされている理由を明示してくれたほうが親切ってものなんだが。
オレが選択したのは召喚師、即ちサモナーという職業である。
種族は人間で、ステータスはやや知力と神力高めの平均的なものだ、と思う。
何がネックになっていて敬遠されているのか、最初は分からなかった。
素で分からなかったのだ。
今更ながらアナザーリンク・サーガ・オンラインβテスト版で條件が合わない理由を調べてみる。
あからさまに地雷職であると結論付けられていた。
曰く、『お荷』『邪魔』『頓死職』『意味不明』といった評価だ。
昨日は數時間ほどだが、暇を潰す程度に適當にソロプレイをしていた。
こういった報に接する機會はなかったし、自分から報を収集しようとも思っていなかった。
正に不勉強としか言いようが無い。
いや本當にこの職業を選択しているプレイヤーっているんだろうか?
しくじった。
パーティ募集掲示板とは別の流掲示板を覗くと気分は更にげんなりとしてきた。
例えばこんなじになる。
地雷職を語るスレ★2
1. ミナカミ
荒らしスルー耐の無い方は推奨できません。
複數行の巨大AA、長文は皆さんの迷になりますので止させていただきます。
冷靜にスレを進行させましょう。
過去スレ:
地雷職を語るスレ★1
※格納書庫を參照のこと
----------------------------------(中略)----------------------------------
121.コンラッド
βでは不遇だった弓系も若干強化されているもより。
後衛に魔法使い+弓使いのPTはなかなかだぜええええええええええ!
それより職業別ランキングでサモナー発見w
SUGEEEEEEEEEE!!
お先棒擔ぎ乙wwwwwww
122.駒人
そういうなよw
貴重なサンプルだぞw
いやもうβじゃなくて本サービスな訳だがw
123.モコ
さすがに1人だけとかねーよw
でもサモナー界ではこの人が天下取ってるってことじゃね?
それにある意味曬し上げだぞお前ら、自重しろw
ってオレもだけどな
124.茜
M質とか?
βで最後までサモナー系職っていたっけ?
125.駒人
調べてみた。
運営のβ終了宣言時點で12人いた。そのうちソロプレイ組が2名。
當然だけど攻略組じゃなくネタプレイ。
殘り10名は低レベルで半放置だから別垢作の離組かもなw
126.クラウサ
βでは全職業で上位職封印だったからな。
上位職次第では地雷にならないかもだぜ?
まあ上位職なんてどれも暫くは確認できそうにないけどなー
127.紅蓮
でも召喚した魔引き連れて歩くのには興味がある。
128.zin
>>127
トップチーム乙。
最初は魔っぽくないのばっかだった筈だけどな。
モフモフな皮に囲まれたいって気持ちのほうが強いぜw
つか初期フィールドをまだ誰もクリアできてないのってどうなのよ?
進捗報告ヨロ
129.空海
一応、本サービスでサモナーでキャラ作まで進んでみたんだけどさ。
やっぱ心が折れたわ。
弓みたいに強化ありって前もってインフォがあった訳じゃないし。
で、オレはキャラ作し直して現在戦士系の弓使いだw
召喚モンスターでもPTメンバー上限數6名に引っ掛かるのはツライ。
さすがに上限數に引っ掛からない仕様なら、先々は強すぎってことになるから當然だな。
運営がそれを許す筈もないってこったw
普段のPTで擬似的に連合みたいなじになるし。
βで地雷職だろうと運営に文句があったが調整はなかったようだ。
それにつけても弓はTUEEEEEEっていうのとちゃう、便利と言いなさいw
130.ソラ
そんなことよりキャラ作で親係累が農民しか出なくて涙目な件
131.ツツミ
>>130
商人が當りとか言ってる奴の気が知れない。
職人だろJK
132.クロウ
>>131
ドワーフ乙
133.黒曜
>>129
チュートリアルスレ見てきた。書き込み乙。
つかあそこに書かれてる容把握の上でサモナー選択するとかないわー
戦闘でも探索でも生産でも中途半端すぐる。
134.ココア
生暖かく見守っておけば?>>all
135.ソラ
じゃあFAってことで
----------------------------------(以下続く)----------------------------------
そうですか。
地雷ですかそうですか。
こちとらはβ版やってないし、予備知識なしでキャラ作してさっさと町の周囲をうろついてた訳だけどさ。
キャラ作一発目で親係累がサモナー。
職業選択で當然サモナーがあったから選んだんですけど。
なんかレアっぽかったし。
・・・
でもこの言われようはどうなんだろう。
バカにされていて気分のいい筈もない。
・・・ぐすん・・・
始まりの町レムトの出會いの酒場を出ると冒険者ギルドを覗いて見る。
プレイヤーが選択できる種族・職業に共通する雑事は全てここで済ませる事ができるのだ。
これに対して出會いの酒場はパーティ編や報収集に特化している。
窓口で昨日の獲になるホーンラビットの角やら皮やらを売っておく。
NPC職員の事務的なきを眺めながら思いに耽る。
どうしようか?
まあ時間潰しにゲームプレイをしてるようなものだし、他プレイヤーの干渉もないものと切り替えよう。
相談する相手がいないってのは不利だが。
「すみません、私はサモナーな上に冒険者駆け出しで々と助言がしいんだけど・・・」
ダメ元でNPC職員のおっちゃんに聞いてみる。
チュートリアルは説明だけでこの場合は大して役に立たない。
しいのはオレのやりたいプレイスタイルに則した助言なのだ。
「冒険者駆け出しかい?まあ時間はかかるだろうがアドバイスをくれる奴ならいるぜ?」
おお。
それはありがたい。
というかなんで今まで聞かなかったのか。
窓口のおっちゃんが何やら布切れに書き込んでいる。
場所のメモをけ取ると始まりの町『レムト』城外の地図のようだ。
ヲイ。
「・・・町の外なんですか?」
「まあな。他の職業なら城に伝手があったりするが、サモナーの伝手はそこしか知らんな」
こんな所にまで差別ですかそうですか。
後ろにいる他プレイヤーの目が痛い。
二重の意味で。
早くどけと言われている気がした。
「メモ、無くすんじゃねえぞ!」
窓口のおっちゃんにそう言われると、一禮を返してさっさと退散した。
の置き場がない。
町を出る前に訓練場も覗いてみた。
ここも人が多すぎる。
訓練を通じてある程度の経験を積めるとなれば、人気があるのも仕方がない。
パーティメンバーが揃うまでの時間潰しと見え、人のれ替わりが多い。
それでも順番待ちがびっしりといた。
ここも退散である。
さっさと町の外に出よう。
町の中央は屋臺のようにいくつかの店が並んでいる。
そしてプレイヤーの數もそれなりに多くいた。
プレイヤーであることを示す緑の逆三角形マークが頭上に浮いているのだ。
ちょっと奇妙な景ではある。
恐らくはもっと多くのプレイヤーが町の外で狩りを続けていることだろう。
生産者組プレイヤーの店はまだない。
そこまで資金が溜まっていないのであろうか?
それ故に現時點では食事にしてもアイテムにしてもNPCに頼るほかない。
店の一つでポーションを5つ買い込み、攜帯食も2つ補充する。
ポーションが1つで30ディネ。
攜帯食が1つで60ディネ。
昨日の稼ぎは400ディネで宿屋が100ディネであったから、もう手持ちは殆どない。
それぞれのアイテム説明を【鑑定】で見るとこんなじだ。
【回復アイテム】ポーション HP+8%回復 品質C レア度1 重量1
一般的なポーション。僅かにだがHPが回復する。
飲むとやや苦みが舌先に殘ってしまう。
※連続使用不可。クーリングタイムは概ね10分。
【食料アイテム】攜帯食 満腹度+30% 品質C レア度2 重量1
パサパサしているが軽い割りに満腹度をそこそこ満たす食料。
持ち運ぶのに便利。水も同時に摂らないと効果は半減するので注意が必要である。
※連続使用可能。但し食べ過ぎには注意しましょう!
他に手持ちなのは昨日購した水筒とアイテムをれるリックサックだけだ。
今日はある程度稼いでおかないと宿に泊まるのにも困ることになるだろう。
ポーションは手軽に連続で使用できるものではないらしい。
クーリングタイムが存在しているとなると、あまりリスクの高い行は控えねばなるまい。
そのクーリングタイムもどうやら一定ではないらしいし。
かと言ってポーションなしでメモで貰った場所にソロで辿り著くのも自信がない。
保存食もないと遠出で空腹狀態に陥る可能がある。
暫くは初期草原を踏破できるだけの実力が要るのだが、NPCでもいいからアドバイスがしい所なのだ。
鶏が先かなのか卵が先なのか、判斷しかねるな。
それにしても、だ。
このゲームは親切なのか不親切なのか、判別し難い所がある。
オレってば保険の約款は見たくなくなるような人間なのだ。
事前に仕れる報が多すぎても時間を食うだけ意味が薄い、とも思っている。
概ね、VRMMOのゲームなんてどれも似たようなものだろう。そう考えていたのがまずかったのかもしれない。
氾濫している他のバーチャルゲームでオレが経験済みなのはシューティングゲームだけだ。
キャラ作で親係累がサモナーだったのは恐らくレアなのだろうと思う。
ステータスもそんなに悪い數値ではなかった。
だからこそ職業選択もサモナーにしてしまったんだが。
それがパーティを組むにあたっては地雷になるとは、ね。
自分の持つ運の悪さにはため息が出る。
それはさておいて。
近場で狩りを兼ねて、メモの場所を目指して町を出るとしよう。
このゲームを始めて1日とちょっと、町の四方を近場だけブラブラと様子を見てはいる。
腰に挿した唯一の武裝である初心者のロッドを右手に持つ。
サモナーの初期裝備だ。
昨日は見ることもしなかったステータスを確認してみる。
【武アイテム:杖】初心者のロッド AP+0 M・AP+0 破壊力2 耐久値∞
毆ることも魔法発もできる武だが、その威力は微々たるものである。
ロッドの扱い方に慣れるための裝備。
ほほう。
ロッドは毆ることだけでなく魔法にも補正が付く武らしい。
初心者向けとはいえ、理攻撃も魔法攻撃も修正がゼロか。ゼロなのか。
毆るほうは昨日適當に使ってみて使い勝手は分かっている。
まあ単純に毆りつけるだけだし。
そしてサモナー特有のスキルを使う。
呪文リストから選択するだけで自分自のアバターが勝手に呪文詠唱をする親切設計である。
「サモン・モンスター!」
詠唱が終わると、召喚できるモンスターのリストが別の仮想ウィンドウで表示された。
もっともそのリストには一行しかない。
リストの一番上の行を選択する。
《ウルフLv1、個名ヴォルフを召喚しますか?》
當然《Yes》を選択すると、目の前の地面に魔方陣が現れた。
その中心に薄い影が出現し、徐々にその姿を濃くしていく。
昨日も召喚した茶の並みを持つ狼だ。
固有名稱をつけるか、選択肢があったので「ヴォルフ」と名前を付けていた。
名前の由來はウルフのドイツ語読みなのは安直だが。
狼の頭上にはプレイヤーと同じく緑の逆三角形マークが浮かんでいる。
初期スキルの【識別】で見てみると、ちゃんと名前はヴォルフになっていることが読み取れる。
昨日召喚したウルフと同じ個、で間違いないのであろう。
オレの足元にじゃれつく様子を見せたので、首の後ろをさすってやる。
ちょっと剛なのでモフモフとまではいかない。
まあ気持ち良さそうにしてるのでいいか。
ウルフを召喚すると同時に自分の中から何か生気が抜けていったようにじられている。
ステータス表示でMP(マジックポイント)が30%ほど減っているのが分かる。
まあこれはしょうがないか。
普段どおりに行していれば僅かにではあるが自然回復することは分かっている。
MP回復薬であるマナポーションは町でも売っているが、まだ高嶺の花である。
「じゃあ今日もよろしくな」
相棒に聲をかけると西の草原フィールドに向けて足を早めて行った。
メモによると、アドバイスを貰えるという人の住む場所は昨日歩き回った西の平原の更に先のようだ。
目標の建は森の中にある池のほとりの小屋、とある。
結構歩く距離になりそうだが致し方あるまい。
指針を得るのに必要な投資であり、リスクなのだと割り切るしかない。
プレイヤーに相談するのも掲示板を全部見て回るのもに合わない。
町の外に出ると遠目にも他パーティが街道沿いに移しているのは見えていた。
うらやましくはある。
でもサモナーをネタとして見ているプレイヤーに弄られるのも気分がいいものではない。
これも何かの縁だろう。
ヴォルフが黃の瞳をオレに向けている。
なんとなくだがめられてるような気がしていた。
そうだな、相棒。
オレにはお前というパートナーがいる。
草原を一緒に駆けてみたりしてみる。
ヴォルフはと言えば尾を振りながらオレについて來る。
いや、こうして見てるだけならまるで飼い犬と飼い主だよね。
そういえば。
自的にセットされていたスキルを見てみる。
スキル一覧、と念じると別窓で表示が現れた。
杖Lv1、召喚魔法Lv1、風魔法Lv1、錬金Lv1、連攜Lv1、鑑定Lv1、識別Lv1、となっている。
昨日一日、町の周りをブラブラとしていた割りにどのスキルもレベルアップしていない。
一覧の下に控えの項目もあるが、そこには何も表示されていない。
一番下にボーナスポイント殘19、と表示されていた。
ボーナスポイントが多いのかないのか、オレには良く分からない。
セットされているスキル項目に意識を向けると點滅するようだ。
何これ?と意識するとヘルプ畫面が別窓で重ねて表示されていく。
移しながらこんなこともできるのか。
使用説明を碌に見てないからこうなる。
【武スキル】杖Lv1(New!サモナー初期取得スキル)
基本武裝である杖、ロッド系武を使いこなす為の戦闘スキル。
Lv向上に従い攻撃による効果に様々なプラス補正と武技が得られる。
※武は使い慣れるに従いスキルが向上します。
※使用するのに一定のLvが必要な武が存在します。
へえ。
サモナーを職業として選択したら自的に得られるスキル、という事らしい。
次のスキルも見てみよう。
【魔法スキル】召喚魔法Lv1(New!サモナー初期取得スキル)
使役するモンスターを召喚する魔法スキル。
Lv向上に従いより強力なモンスターの使役が可能となる。
召喚したモンスターはパーティメンバーにカウントされ、Lvアップすることで長していく。
※召喚モンスターと共に行する時間は長いほど、行に伴う経験が濃いほど早く長します。
※場所によってはモンスターの召喚を制限される場合があります。
※召喚モンスターは死亡することでロストとなりませんが、経験値減ペナルティとクールダウンが必要です。
ふむ。
まあ使い勝手に制限がつくのは知ってたけどさ。
パーティメンバーにカウントされるって所は確かにネックだ。
もう一回読み返そうとすると・・・ヴォルフが吠えた。
周囲を見る・・・前方やや右から黒い塊が2つ、近寄ってきているようだ。
【識別】で見ると赤の逆三角形のマーカーが浮かんでいるのが分かる。
魔だ。
主人公???
種族 人間 男 種族Lv1
職業 サモナー(召喚師)Lv1
ボーナスポイント殘19
スキル
杖Lv1(New!サモナー初期取得スキル)
召喚魔法Lv1(New!サモナー初期取得スキル)
風魔法Lv1(New!サモナーランダムボーナス初期取得スキル)
錬金Lv1(New!サモナー初期取得スキル)
連攜Lv1(New!サモナーランダムボーナス初期取得スキル)
鑑定Lv1(New!サモナー初期取得スキル)
識別Lv1(New!種族ランダムボーナス初期スキル)
裝備 初心者のロッド 簡素な服 布製の靴 背負袋
所持アイテム 剝ぎ取りナイフ 老サモナー宅への地図
基礎ステータス
用値 15
敏捷値 15
知力値 18
筋力値 12
生命力 15
神力 19
召喚モンスター
ヴォルフ ウルフLv1
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