《サモナーさんが行く》14

『PKを知らない・・・だとお?』

ずっと黙っていたミオが唸った。

理由は分からないが怒っているような気がする。

いや、PKと聞いて思いつくものはあるけど、このゲームと関係ないでしょ?

『本當に知らないの!PKだよPK!』

『サッカーでキーパーとキッカーが1対1で』

『それはペナルティキックのPK』

『ほら、超能力者が手でらずにかしたり』

『それはサイコキネシスのPK』

『ゲームとかで後付けの追加シナリオとか機能強化してるプログラムを売ってるよね?』

『それは某社が出してたりするパワーアップキットのPK』

『死語だと思うけどパンツが』

『言わせないよ!』

するミオをレイナが羽い絞めにして抑止した。

いや本當、意味分かりません。

『フィーナよ。この男は本當に大丈夫か?』

『キースはこの手のゲームは本當に初心者みたいよ?そうだ、説明はジルドレにお願いしたいけど』

『斷る。付き合いはお前さんの方が長いだろうに』

『ほんの一日なんだけど』

フィーナは深く溜息をつくと説明を始めた。

『PKはプレイヤー・キラーの略。プレイヤーがプレイヤーを殺してしまう行為そのものも意味するわ』

『そんな事ができるんですか?』

『この手のゲームでは仕様として出來なくしているのもあるけど、アナザーリンク・サーガでは可能』

へえ、そうなのか。

ゲームとはいえ結構な自由度があるんだな。

犯罪行為もアリとは社會の図と言えなくもない。

『プレイヤー・キラー行為は程度がどうであれ、俗に悪墮ちと言われてる現象が起き易いの』

『盜賊、ならず者、詐欺師、暗殺者といった犯罪者の職業に強制ジョブチェンジする事になる!総稱して悪墮ち!』

『そういった職業でないと得られないスキルもあったりしてんで悪墮ちを狙う人もいるのよね』

『悪墮ちしたプレイヤーの偽裝スキルや変裝スキルは厄介!βでも酷い目に遭遇したし!』

『オレは人數のPK行為は是認する立場だけどな。ゲームにだって適度なが必要だと思うしねえ』

カヤが會話に割り込んできた。

『だからこそ対応は先手を打つべきだね。キースを守るための予防線をもう一枚張る事を提案したい』

『カヤ、的には?』

『ジルドレ、フィーナ、オレの3人で掲示板のアイテム報スレに狀況を書き込もう。そして主なスレに拡散する』

容は?』

『ぶっちゃけ再度警告だな。あと鍛冶職人には個人で持ってる伝手を使ってメッセでも回狀を出そうか』

『フィーナはそれでいいのか?』

『ジルドレこそいいの?貴方の所のプレイヤーズギルドは全員が鍛冶持ちで影響が大きいと思うけど』

『甘しよう。なんにせよ現が1つしかないのでは致し方ない』

なんか大変な狀況みたいなんですけど。

オレも當事者みたいに扱われているが正直実がない。

困ったなあ。

骨か。

話を切り出すタイミングがなかったけど、今話をしておこう。

『ああ、現と言えば。雪猿の骨なら何本かありますけど』

再びその場の空気が凍りついた。

間違いなく、凍りついた。

何故だろう、オレに突き刺さる視線が痛いです。

「とりあえずお茶でも飲んで落ち著いてから話を続けましょうか」

「あー今までの話し合いの意味が半分位吹き飛んだかなー」

ウィスパーを一旦解除すると皆でお茶となった。

ミオのが酷く見える。

オレに聞こえるように愚癡を言うのはお願いだからやめてしい。

「あーなんか疲れた・・・」

「ミオ、あんたはツッコミれてただけ!」

フィーナさんの目の前にはオレが取り出したアイテムが並んでいる。

雪猿の骨が3本、雪猿の皮が1つ、雪猿の骨を使った石斧だ。

フィーナさんが沈黙したまま考え込む様子をジルドレとカヤが見守っている。

ミオ達とは対照的に奇妙ながある

「これは提案。ジルドレの所に2本、カヤの所に1本、石斧は分解して私の所で」

「形はどうするかね?キースと直接渉するにしてもフィーナを仲介にした方が無難なんだが」

「リスク回避だけで大仰だけどその點も考えたわ。それはダメ」

「そんなにカルマが怖いか?」

「當然。経験値と引き換えでもゴメンだわ。でも値付けは私のほうでやるのがいいでしょうね」

「承知だ。カヤはどうだ?」

「そっちの方が気楽でいいねえ。つかキースに売る意思がないと意味ないよ?」

一斉に視線が飛んできた。

いや、怖いですよ皆さん。

「売ります。値段についても異存はないです」

「ああ、それに掲示板の件は早めにやっておこう。激レアがレアになっただけに過ぎんのだし」

「使用権レンタルの話はなしだな。だがこっちで分擔する2本のうち1本は使用権をレンタルできるようにしようと思う」

「ジルドレ、それでいいの?」

「構わん。こっちから提案していた事だ」

「本音を言ってもいいのよ?鍛冶スキル持ちのプレイヤーをもっと囲い込みたいんでしょ?」

「フィーナ。うちのギルドは鍛冶職の獨占を目指してる訳ではない。より効率的な支援に必要だからだ」

「立派な信念で結構だわ」

なんかフィーナとジルドレの間では々と含むような言い回しが多いな。

昔なにか恨でもあったんですかね。

仲良くしてしいものです。

「うちの方でも使用権レンタルはしたいわね」

「うむ。しでも不平不満は解消すべきだ」

仲が悪いように見えても雙方に一定の合意は立する。

なかなかにビジネスライクで好ましくはあるな。

「キース、ここからは商売の話になるけどいい?私が付ける値段は骨は1つで1,200ディネ、石斧は1,300ディネよ」

「おい、低すぎないか?」

「それでもレア度暫定基準で計算した數字にギリギリの上乗せをしてるわ」

「なあ、オレ達が不當に利益を得るような構図を作ろうとしてないだろうな」

ジルドレとカヤの表は切迫している。

何か問題でも?

「言っておくけどキース一人にカルマを背負わせるつもりなら別の値段を付けるけど?見損なわないで」

その言葉には二人とも押し黙った。

カルマって業のことか。

そんなステータスは見た事がない。

「同意する?」

「分かった」

「うん」

ようやく長い話し合いが終わったようだ。

そしてオレの手持ち金に100ディネ銀貨が37枚追加になった。

冒険者ギルドで貰った報酬をれてある小袋に放り込んでおく。

ジルドレとカヤは用件が済むとさっさと姿を消していった。

「やあキース、ちょっと手間取ったけど防が出來たわ。サイズ微調整するから一旦裝備して貰っていい?」

サキが屋臺に著くなりそうは言ったものの、こっちの様子が変なのに気がついたようだ。

恐る恐る聞いてくる。

「ねえみんな、遅れてきた事を怒ってるの?だったらゴメンね」

「あーサキ姉、そういうんじゃないんよー」

「サキ。キースへの納品を先に済ませて、話はその後で」

サキが取り出した防は実用重視のものでミオが裝備しているような可らしいデザインとは無縁のものだった。

は肩周りに多の余裕があったようで詰めて貰うことに。

とは言え皮紐で調整できたのですぐに済んだけど。

上半だけで見たら左側と右側で非対稱になるデザインになる。

素材は基本、野兎の皮を加工したものだ。

當ては心臓をと背中側からカバーする事を重視したもので上半を全てカバーはしていない。

まあ6割方って所か。

そして心臓位置の部分には補強として邪蟻の甲がカバーとなって付けてあった。

特徴は左肩カバーに雪猿の皮が使われていて、鷹であるヘリックスが止まるのに十分な厚みがある。

同様に雪猿の皮は左腕のカバーにも使われていて、そっちにもヘリックスは止まることが出來た。

ヘリックスが今までの定位置だったロッドの先端に行かなくなってしまっている。

今まで不自由させてゴメン。

両肘と両膝のパッドも野兎の皮製で、注文通り邪蟻の甲がカバーに使われていた。

そして両手のオープンフィンガーグローブ。

これも野兎の皮製でかなりらかく加工してあるようだ。

拳を握るとナックルパートに4つに分割された邪蟻の甲が皮に張り付いている。

手の甲も同様の工夫がしてあった。

文句の出ようがない仕上がりだ。

【鑑定】してみたらこんなじである。

【防アイテム:當て】野兎の當て+ 品質C レア度2

Def+5 重量4 耐久値100

野兎の皮製の當て。皮はらかいまま加工してきやすさを優先させている。

[カスタム]

左肩に雪猿の皮を用いている。

心臓部分のカバーに邪蟻の甲を用いており、僅かながら防點と耐久の向上を得た。

邪蟻の甲は嵌めるだけで換が可能。

【防アイテム:腕カバー】雪猿の腕カバー 品質C+ レア度3

Def+2 重量1 耐久値80

雪猿の皮製の腕カバー。

皮は非常にらかく加工して突起が程良く食い込むようにしている。

【防アイテム:肘當て】野兎の肘當て+ 品質C レア度2

AP+2 Def+2 重量1 耐久値80

野兎の皮製の肘當て。皮はらかいまま加工してきやすさを優先させている。

[カスタム]

打突部分に邪蟻の甲を用いており、肘打ち攻撃に補正がつく。

【防アイテム:膝當て】野兎の膝當て+ 品質C レア度2

AP+2 Def+2 重量1 耐久値80

野兎の皮製の膝當て。皮はらかいまま加工してきやすさを優先させている。

[カスタム]

打突部分に邪蟻の甲を用いており、膝蹴り攻撃に補正がつく。

【防アイテム:グローブ】野兎のグローブ+ 品質C レア度3

AP+2 Def+1 重量1 耐久値90

野兎の皮製のオープンフィンガーグローブ。皮はらかいまま加工してきやすさを優先させている。

手先を用いる行に対するペナルティもなく使いやすい。

[カスタム]

打突部分に邪蟻の甲を用いており、ナックルパート、手甲部による攻撃に補正がつく。

「キースはサモナーで魔法も使う訳だから金屬部品はなし。當然M・APにペナは付いてないわ」

「十分過ぎますよ」

「いやいや。ああ、もっと皮があったら上半をカバーできるように仕立て直しできるし、腰周りも作れるからね」

「そうですか、皮は數枚しかないんですが邪蟻の甲はもうあるんで、いずれ注文するかもしれません」

「え?」

フィーナさんが機の上を指差す先には雪猿の皮が1枚、それに重ね合わせてある邪蟻の甲に邪蟻の針の束がある。

「サキ。また持ち込みがあったのよ」

「なるほど、これはまた腕が鳴るわね」

「さっきまでもっと灑落にならないもあったけどね!」

フィーナはその手に石斧を持っていた。

柄が雪猿の骨の代だ。

「骨、更に3本あったわ」

「それはまたしても弾になるのかしら?めなかったの?」

「當面は凌げたって思いたいわね」

「じゃあ渉はもうフィーナの方で終わらせたのね?出遅れてゴメン」

「いやー神的に參ったわー」

「?」

「サキ、後で話すから」

すみません。

なんか余計なことでご迷をかけております。

でも知らないものは知らないんですよ。

分かってくださいよ。

「キース、こっちの品は私達に売る?それとも何か作る?」

「そうですね、頭を防できる裝備は作れそうですか?」

サキさんに目を向ける。

また何やらブツブツと呟き始めた。

前も見たがこれは彼の計算する時のクセのようなものなのか。

「もう1枚、いや2枚。野兎の皮はある?ちょっと工夫しないと雪猿の皮だけだと難なのよ」

「あります」

「あとさすがに頭のサイズは測らないと。頭鉢は當然フルカバーにするけど」

「耳カバーは最小に出來ますか?」

「うん。それは大丈夫かな?」

改めて《アイテム・ボックス》を漁る。

レムトの町へと來る途中で狩ったホーンラビットから剝ぎ取った野兎の皮は3枚あった。

ついでに邪蟻の甲と針も売れるものは出すことにした。

「これらの皮は全部渡せます」

「フィーナ、計算お願い」

「やっておくわ」

「おっと、防の加工費だけど600ディネ程でいいかな?雪猿の皮だしちょっと上乗せになるけど」

「大丈夫です」

それでも収支は十分にプラスだ。

冒険者ギルドの依頼分もあるし。

「じゃあ頭のサイズ測っちゃおうか。そこの椅子に座ってね」

「あ!サキ姉、私達って西のレギアスって村に行くんでしょ!け渡しはどうするの!」

ミオがフィーナを見るが思い出したかのように舌打ちした。

「フィーナがレムトに殘ればいいんだけど東に仕れに行くんだっけ」

「今日の午後にはね。もう4人ほどギルドのを待つことになるけど明後日までレムトには戻らないから」

「配達は無理か」

「いや、納期はそうシビアじゃなくていいです。今の調子でも一部の魔以外は不便がないんで」

「いやいや、新たな獲を求めて狩りをするならいい防は早めに準備しなきゃ」

でもフィーナ以外は西の方向に行くのか。

方向が一緒なら落ち合うのも楽だろう。

「では出來上がったらメッセージで連絡して下さい。私も西の森周辺でうろうろしてますから」

「いいの?」

「ええ。ついでと言ってはなんですがレイナさんはロッドを作れますか?」

「え?そりゃ木工職人なんだし當然!ロッドは単に棒狀に加工するだけだから至極簡単!」

「じゃあ依頼したいんですが、材料となる木材はさすがに手元にないんですけど」

「じゃあ素材はこっちにお任せね!先に加工費だけ貰って材料費は後で請求でいい?」

「大丈夫です」

「よし!じゃあ200ディネで!」

おお、意外にリーズナブル?

「サイズはどうする?あと素材に注文はあるかな?」

「長さは50インチ、太さは1インチで」

「ちょっと単位がおかしい!」

おっと。

これは失禮。

換算ついでにし注文サイズも調整しとこう。

「長さは120cm以上125cm以下。太さは25mm前後の円形で。材質はいほうがいいんですが、汗でり難いのがいいですね」

定番のサイズに比べると気持ち短めでやや太めってサイズになる。

よく素材とされる白樫はくて丈夫だがるんですよ。

このゲーム世界にはより良い素材があるものと思いたい。

これで裝備関係で一定の強化になるかな?

いや、靴が殘っているな。

もうし皮を調達しないとダメだろう。

木靴はさすがに避けたい。

「おっけ!あとキース、ロッドで毆るような戦い方を考えているでしょ!」

「はあ。普段も毆る方向で使ってます」

「どの武も使い続けると補修が必要になるものだけど、木製武は補修が難しいの!その點は注意して!」

そういうものなんでしょうか?

安い武ならそれでもいいか。

「分かりました」

「おう!ちょっと工房で素材探してくる!」

レイナはバタバタと出て行こうとするが、後ろから襟元をミオに引っ張られた。

首、締まってます。

「レイナちゃん、つくね食ってねーし!味見てよー!」

そんな様子を見るフィーナさんもサキもし雰囲気が和らいでいるようだ。

目出度い。

ああそうだ。フィーナさんに質問しとこう。

「そういえば先日売った中にレア度4のアイテムもありましたけど、それは騒ぎにはならないんですか?」

「ああ、縞野兎の角ね。あれはもうそこそこの數がプレイヤーに狩られてるから。用途も既に知られてるし」

「何に使われるんですか?」

「ロープの先に著けたり、ピッケルみたいに使ったり、棹狀武の先端にしたり々ね」

「魔の素材も々と使い様があるんですね」

「ええ」

「雪猿の骨にしたってフィールドクリアした先にいけば普通に手にるんでしょうね」

「間違いなくそう。それにしても骨に関しては運営が意識して導してるのかどうかも気になるわね」

「?」

「矢が不足、ポーションが不足、序盤に見合わないアイテムの提供、々と穿った見方をするとどうしてもね」

「何か問題になりそうなんですか?」

「わざと問題點を作って平時にむような介だとするとね。今後も似たような事を仕掛けてくるかも」

「はあ」

「ゲームの中だからこそ人間のが剝き出しになるような行が起き易いの。困ったことだわ」

ゲームの中だからこそ、プレイヤー・キラーなんてものも橫行するって事なんだろうか。

気をつけたいものです。

なくとも、他人に迷をかけるような言は謹んでいかないと。

確かにオレはこの手のゲームは初心者だ。

本當は々と相談すべきなんだろうな。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv3

職業 サモナー(召喚師)Lv2

ボーナスポイント殘9

セットスキル

杖Lv2 打撃Lv2 蹴りLv2 関節技Lv1

回避Lv1 けLv2 召喚魔法Lv3

魔法Lv2 風魔法Lv2 土魔法Lv2 水魔法Lv2

錬金Lv2 薬師Lv2

連攜Lv3 鑑定Lv3 識別Lv3 耐寒Lv2 摑みLv2

Lv1 作Lv1

裝備 初心者のロッド 野兎の當て+シリーズ(New!)

雪猿の腕カバー(New!)布の靴 背負袋

アイテムボックス

所持アイテム 剝ぎ取りナイフ

召喚モンスター

ヴォルフ ウルフLv3 お休み

殘月 ホースLv2

ヘリックス ホークLv2

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