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調と付き合いながらの執筆なので亀更新ですが、お付き合い頂ければ幸いです。

あれからも姉とのギクシャクした関係は特に変わらず、俺はなんとかに擬態しながら日々を過ごしている。

前世では姉にも母にもどうしても消化する事ができないルサンチマンを抱いていた。いや、もしかしたら今もあっちの家族を恨んでいるのかもしれない。特に俺が病む環境を作った母や普段は仕事ばかりでこちらには一切関わらず、気にらない事があれば強権を振るって力盡くで言う事を聞かせ続けた父には殺意すら覚える。

けれども、こちらの家族にはまだそこまでの事はされていない。姉の行だって子供の可い嫉妬心から起こるものだろうし、母だって時折言い方にイラッとする事もあるが、前世の自分より年下なのに子供を二人も育てるのは大変だろうなと同心が先に立つ。

せめて負擔掛けない様にしなきゃ、と現在も布団を敷いて寢込んでいる母を見ながら思う。そう言えば小學校高學年になるくらいまで、母は週に１度ぐらいの頻度で寢込んでいた事を思い出す。

その度に『お母さんはいつ死ぬかわからないんだから、自分で何でも出來るようにならなきゃ』と言われて、後半よりも前半の母が死ぬという言葉のインパクトの方が強く響いて、反抗期にるまではいつも母の死に怯えていた。あれは控えめに言ってもタチの悪い呪いに近いだった。子供心には家族の一番底辺の存在として強要され、抑圧され、搾取され続けていたと思っていたのだが、こうして大人の視點を持って過去を眺めると、父はともかく母の気持ちは理解できてしまう。その程度には俺も大人になってしまったのだろう。

ちなみに姉は俺がいる時はなるべく近くに寄ってこなくなった。自分は俺に対して苛々して睨みつけて敵対心を顕にしているのに、相対する俺はどこ吹く風といったでけ流すものだから、自分ばっかり意識しているのが馬鹿らしくなったのかもしれない。妹の存在などまるで無かったかの様に無視する方向に行がシフトしていた。

ただし狹い家だし子供のやる事だから、食事は一緒のテーブルで食べるし、寢る時は同じ部屋というガバガバ加減だ。でも姉にとってはきっと真剣なのだろうし、何とか関係を改善して普通に楽しく暮らせる様にしてあげたいと思うのだが、如何せん今の自分はなのだ。何を言っても説得力など皆無だろうし、妹から諭されるなどプライドの高い姉からすれば許せない事だと言うのは容易に想像できる。

まぁ子供の相を正すのは親の仕事だろう。転生してきたからと言って、周りの人間を皆ハッピーにしてやろうなんて傲慢極まりないし、そんな面倒な事はしたくない。

あくまで自分自の幸せを目指す。決して幸せの押し売りをしたい訳ではないのだから、ちょこっと余裕ができたら大事な人達にも幸せのお裾分けがしていければいいなと思う。これを今回の人生に向けての座右の銘としたい。

現在４歳である俺が日中に何をしているかと言うと、基本的には月曜から土曜日までは稚園に通っている。宮里町立宮里北稚園、もちろん公立だ。

この町の制服は何故か紺推しで、公立の學校に進學すると中學校までは同じ様な制服をにまとう事になる。蛇足だが小學校はブレザーと半ズボン・スカート共に紺だが、中學校ではスラックスとスカートは明るい灰になる。

殘念ながら稚園の時の事などほとんど覚えていないので、何か不測の事態が起こった時が不安だなぁと思っていたのだが、考えてみればこれからの人生は行き當たりばったりの連続だろうしそれが當たり前なのだ。皆に等しくハプニングは訪れる、それを楽しめるぐらいの心の余裕を持たないと、今回の人生も様々な圧に潰されて終わってしまうだろう。

「すーちゃん、ドーン！！」

そんな事を考えながらぼんやりしてると、後ろからものすごい衝撃をける。無邪気なその聲でぶつかってきたのが誰なのかを理解しながら、その子が怪我をしない様にの下敷きになりながらドテッと床に転がる。

「なお、急にぶつかってきたら危ないってば」

俺の上で輝かんばかりの笑顔で笑っているに嗜める様に言うが、ぶつかって來た本人はどこ吹く風。輝かんばかりの笑顔でキャッキャと笑っている。苦笑いを浮かべながら起き上がろうとすると、今度は前から控えめな衝撃が。

「……わたしも、どーん」

ぽつりと呟く様な聲と共に、自分と同じくらいの格の子供がぽすんとぶつかってくる。最初のぶつかり稽古の様な衝撃に比べると対照的で、その子の格を表しているかの様だ。

二人に挾まれてサンドイッチ狀態という、前世ではお金を払ってでもやってもらいたい人もいただろうが、殘念ながら俺にそういう癖はない。ましてや今は自分もであり、友達として慕ってもらっているという嬉しさはあるけれど、どちらかというと今はしがみつかれて重たいので離れてほしいという気持ちの方が強い。

ちなみに最初にぶつかってきたのは岡本なお、もう一人は高橋ふみか。なおは俺と同じく肩の付近で切りそろえられていて、ふみかは背中の中程までばしたロングヘアだ。二人の容姿は同い年の皆の中でも整っていて、他のお母さんや先生をはじめとした稚園関係者にも可がられている。何故か俺も二人と同じ可い子枠にれられて同様に扱われているのは腑に落ちないのだけど。

前世でもなじみだった二人だったが、あちらでは中學校學ぐらいまでしか付き合いはなかった。異という事もあり思春期になって付き合いがなくなったのもあったし、部活でそれぞれの友関係ができたのも大きかったかもしれない。

あとなおの方は中學時代に問題を起こして、卒業を待たずにこの街を去っていったという記憶がある。中學にってからすぐにガラの悪い先輩達と連む様になり、験で忙しくなった中學３年の秋頃に妊娠が発覚したのだ。俺は噂話でしか知らないので今となっては真実はわからないけれど、相手は不良仲間の高校生ですったもんだとめた挙げ句に、結局墮胎してこの町を去ったと聞いた。

平末期であれば學生の立場も比較的強くなっていたから彼も々なケアをけられただろうが、殘念ながら昭和の常識がまだ濃く殘っている平初期の話だ。彼を見る世間の白い目は想像を絶するほどに厳しかっただろう。今思い返すと自業自得な部分はあるがとても可哀想だとも思う。

奔放ななおとは対象的に、ふみかは現在のおとなしいじのままの読書が好きな文學に長した。勉強も出來て派手さはないが整った容姿を持ち、かに多數の男子から人気があった事を覚えている。

今は無邪気に笑っている二人がこの後どういう人生を歩むのかはわからないけれど、その時に友達としての付き合いがあるならば嗜めたり苦言を呈するぐらいはしたい。こういう風に言うと上から目線で自分でもじが悪いなとは思うが、自分の意思を親や環境によって捻じ曲げられることが多かった俺としては、それがどんな結果になったとしても自分の気持ちを大事にして自らの進む道を決めてほしいと思うからだ。もちろんその選択が幸せに繋がればいいなとは強く思う、現在の二人は可くて好ましいし、子供らしくない俺とも仲良くしてくれる優しい子達なのだから。

なおとふみかのおかげで、他の級友達ともうまくやれていると思う。木を隠すには森にという訳ではないが、子供らしくないと自覚している俺がこうして稚園生活を満喫できているのは、騒がしく日々を過ごす稚園児の中に埋沒できているからだ。

先生からすれば一人でぽつんと佇んでたり他の子からいじめられていたりする子供は気にかける対象になるが、俺の様に仲良しの友人がいて他の子供とも二人を介して遊んだりできる子供はそれ程心配せずに大らかに見守れる、比較的安全な園児にカテゴライズされる様だ。

それどころか最近では、手持ち無沙汰な時に泣いている子をめたり、あんまり皆と仲良くできてない子を遊びにったりしているにクラスのリーダーに近い位置にいると思われているフシがある。

結果的に忙しい先生のフォローになっているのは別に構わないのだが、意図的に雑用とか押し付けようとするのはやめてほしい。せっかくお手本がたくさんいるのだ、別に界でてっぺんを獲るつもりはないが、知らない人に見られても不審に思われない程度には自然なの振る舞いをにつけたい。

なおとふみかの二人と手を繋いで、絵本を読んだりお絵かきをしているの子グループへと混ざりに行く。人間観察のスキルが上がりそうだなとふと思った。

なかなか話が先に進まない……。