《え、社システム全てワンオペしている私を解雇ですか?【書籍化・コミカライズ】》【WEB版】子供の夢 2
※會議の翌日です
彼が素人ならば、私は何になるのだろう。
これまでみじんこを自稱していたけれど……ふっ。
みじんこさん。いいえ、みじんこ様。謝罪します。
私はあなた様を騙るプランクトンでございました。
「これ、いつ作ったんですか?」
タブレットから顔を上げて質問する。
彼は、あっさりとした口調で返事をした。
「昨夜」
さくや? 誰? 彼? は? 戦爭か?
……ダメよ、現実に目を向けるの。逃避している時間は無いのよ。
衝撃的な返事だった。
彼の口振りから想像できるのは、アイデアを共有するための簡単な概念図か何かだった。でも実際の資料は恐ろしい程に質が高かった。
例えば私達の開発が完了した後、そのまま引継ぎ資料として使えるレベルだ。私が同じレベルの資料を用意しようと考えたら一週間はかかるだろう。
しかし今後の方針が決まったのは昨日の夜。
だから私は、何か便利なテンプレートでもあるのかと思って質問した。そんなものはなかった。
「これを、一晩で? どうやって?」
「普通に、頭の中のイメージ、そのまま?」
ヒト型コピー機かな?
その手どこでけられますか?
「翼、すごいね」
めぐみんが褒めた。
彼は目を細めると、り輝く微笑みを浮かべ、ありがとう、と爽やかに返事をした。
「ありがとうございます!」
私は反的に手を合わせ拝んだ。
……やっちゃた。完全に変な人だよ。でも我が崇拝に一片の後悔なし。
「構わない。俺は自分の仕事をした。それだけ」
セーフ!
普通に資料のことだと思われたっぽい。
……それにしても、このイケメン、完璧か?
仕事が早い。理解力がある。笑顔が素敵。……ケンちゃん、ドンマイ。
「そういえば、ケンちゃんは?」
「彼も自分の仕事をしている。しばらく事務所に顔を見せることは無い……ああ、そうだ、伝言があった」
「伝言?」
聞き返すと、彼はし間を置いて言った。
「最高の舞臺を用意する」
とても短い言葉。
意味は直ぐに理解できた。
當時の會話を思い出すと今でもし気恥ずかしい。
しかも第三者に聞かれてしまった。立派な黒歴史。
でも、意味はあったのかなと、そう思った。
……ククク、生意気な小僧よ。せいぜい勵むと良い。
「その表、何か言外の意味でも?」
楽しそうな聲。が表に出ていたらしい。
私は恥ずかしくなって彼から目を逸らす。そこには口元を緩めためぐみん。
……ぐぬぬ、隙を生じぬ二段構え。後でがす。
でも大丈夫。まだ慌てあわあわあわわわ──ダメっ、めっちゃ顔が熱い。
でぇも大丈夫! だって私は大人の。二次元では頼れる存在として窮地でも冷靜に──いや最近のお姉さんキャラぽんこつばかりでは? つまり私はお姉さん。お姉さんは若い。私は若い。天才か?
……いや、ぽんこつじゃん。
「その、ケンちゃんらしい言葉だなと、思って?」
華麗に落ち著きを取り戻した私は、冷靜に言った。
「確かに、健太らしい」
私の余裕はポップコーンのように弾け飛んだ。
お仕事モードの鋭い雰囲気のまま、らかく微笑むイケメンを見たからだ。
「彼は不思議だよね。典型的なビッグマウス。エビデンスはいつも妄想。それでも必ず結果を殘す」
翼は背もたれにを預けると、どこか楽し気に天井を見上げた。その目にはきっと、二人の熱々な思い出がぐへへ、ぐへ、ぐへへへ──
やがて彼は徐にを起こすと、私とめぐみんを互に見てから言った。
「眠い」
「……え?」
「どこで寢ればいいと思う?」
私は全く予想していなかった言葉に戸いながらも、どうにか返事をしようと考える。
「お客さん來るからソファはダメで、ケンちゃんの機も……微妙かな?」
「分かった」
彼は納得した様子で立ち上がる。
「帰る」
「え?」
「それ、資料、見といて」
その言葉を最後に、彼は本當に帰宅した。
「……えぇぇ?」
思わず息がれた。
あまりにも予想外の行だった。
數秒後、私はそっとに手を當てる。
「……これが、自由の翼」
心臓を捧げよう。
虛空を見つめながら呟いた直後、袖を引かれた。
「ん? なに? どうしたの?」
「めっ」
怒られちゃった!? なにゆえ!?
「人の名前、弄るの、良くない」
「……はい、すみません」
「ん、ちゃんと謝れる。偉いね」
「……はい、以後、気を付けます」
ガラ空きだったボディにけた痛烈な正論。痛い。反省します。
かくして、私は再びめぐみんと二人きりになった。
……よっしゃ、がすか。
「、この後、どうするの?」
顔を上げた天使と目が合う。とてもかわいい。
しかし私は、冷や汗が止まらない。理由は──
「その手、なに?」
理由は、つまりそういうことである。
「なんだと思う?」
……落ち著いて、あなたはできる子。まだ挽回できるはずよ。
めぐみんの機械のように冷たい目を見ながら、私は思考を加速させる。
いっそ強引に行くか? いや、それはまずい。今度はお風呂を斷られる程度では済まされない。冷たい目で「恵、今夜からホテル行くね?」と家出されたら立ち直れない。……ど、どうしよう。
「あ、そうか」
めぐみんが何かに気が付いた様子で聲を出した。
ごくり。私は息を止めて次の言葉を待った。
「気合、だね。やるぞー? みたいな?」
彼はグッと両手を握り締め、キリっとした表を浮かべた。
「そ、そう! お仕事がんばろう!」
「おー」
私は全力で乗っかった。
めぐみんもノリノリだった。
チクリとが痛い。こんなにもピュアな存在の前で、私は、なんて淺ましい人間なのだろう。
「それで、どうする?」
彼はキラキラと瞳を輝かせて言った。その輝きはまるで浄化の。卑しい私は消え、綺麗なちゃんだけが殘りました。ああ、天使よ、私は救われました。これからはしく生きることにします。
「まずは、お仕事です」
「どういうお仕事?」
「塾です。悩める技者を正しく導くのです」
「恵は、どうすればいい?」
「ぎましょう」
「がないよ?」
「おっと失禮、煩悩が小さじいっぱい」
ああ、いけません。我が主の好度がナイアガラの滝のように急降下しているのをじます。
「は、お仕事の時も、変なんだね」
チクリとが痛む。しかし彼は止まらない。
「塾、接客、だよね?」
彼は本気で心配そうな目をして、言いました。
「だいじょうぶ?」
これは、まずいですね。
そろそろ真面目な姿を見せないと……やれやれ、久し振りに本気を出すことにしましょうか。やれやれ。
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