《反逆者として王國で処刑された隠れ最強騎士〜心優しき悪役皇様のために蘇り、人生難易度ベリーハードな帝國ルートで覇道を歩む彼を幸せにする!〜【書籍化&コミカライズ決定!】》【66話】複雑な関係
「時にフレーゲル。婚約者がヴァルカン帝國にいるって聞いたんだが、そこんところどうなの?」
酒を飲み。
かれこれ二時間半。
いいじに酔いが回ってきたところで、話題はフレーゲルの婚約者のことに移った。はぁ、二時間半の話題の大半が俺のことになっていたんだか、心底うんざりした。
──やっと話題がフレーゲルのことに変わって、ホッとしている。
フレーゲルの婚約者は、ライン公爵家の次。
マリアナ=フォン=ライン公爵令嬢である。
その地位の高さもさることながら、回復魔の使い手として、かなり優秀であると聞いている。
「婚約者とはどんなじなんだよ」
「どんなじと言われても、もうだいぶ會っていないからな」
──會っていないのか。
フレーゲルはマリアナ嬢とかなり親な関係を築いている。だから、ヴァルカン帝國に來たのをきっかけに、頻繁に會ったりしてるかと思っていたのだが。
「フレーゲル、帝國に來てもう二ヶ月だ。それなのに、まだ一度も會ってないのか?」
「あ、ああ……最近は鬼のように忙しかったし、休む暇もなかっただろ?」
「そ、そうか……いや、そうだったな」
フレーゲルはファディ同様に報収集を主な任務として働いている。レシュフェルト王國とヴァルカン帝國、そして周辺國家に出向くことも多々あった。
國で働く、俺らなんかよりも時間的余裕はないはずだ。
配慮不足だったな。
「悪い、気遣いが足りてなかった」
「いいさ、それに……」
「それに?」
「今の俺はもう、レシュフェルト王國貴族であるマルグノイア子爵家の一員じゃない。あそこの籍はもうないから、彼に會う資格すら無くなっているんだ」
婚約破棄はもうされた後──。
フレーゲルの顔はかなり曇っていた。
資格がないからと思い、マリアナ嬢に會いに行けないのか。
何を思い悩んでいるのやら、そんなことで挫けているのは、フレーゲルらしくない。
そもそもだ。
「フレーゲル、なんでそんなに弱気になってるんだ? マルグノイア子爵家の籍を抜けたとはいえ、今のお前はヴァルトルーネ皇殿下に仕える、會う資格ならあるんじゃないか?」
「────!」
婚約破棄後ということは、マリアナ嬢とマルグノイア子爵家の縁は斷たれたということ。
フレーゲルは柵に縛られることなくマリアナ嬢と會える。
余計な重しを背負い続けることはなくなった。
前世で駆け落ちするくらいに彼がマリアナ嬢をしているのであれば、今からでも遅くはない。
「アルディアの言う通りだな」
「うむ」
スティアーノとアンブロスもコクリと頷く。
ヴァルトルーネ皇の側近。
それなら、貴族家の子息でなくとも、マリアナ嬢と並び立つ資格があるだろう。
「でも……」
フレーゲルはまだ煮え切らない。
ライン公爵家が皇を支持しているわけではない、という部分を危懼しているのだろう。
次期皇帝になるのは、ヴァルトルーネ皇。
皇位継承権を持つ唯一の存在が彼なのである。
しかし、前世では彼が皇帝になることはなかった。
まだ若くいという理由と彼自が皇位継承に消極的であったことが原因だ。
また、ヴァルトルーネ皇が皇帝になることに反対する反皇派の存在もあった。
ヴァルカン帝國も一枚巖ではない。
皇位継承権を持っていたとしても、ヴァルトルーネ皇は。
他有力貴族家の子息を次期皇帝にすべきであるという反皇派の主張が中々に大きかった。
──今世では、リゲル侯爵を処理した影響からか、いくらかそれが緩和されている。しかし、まだまだそういった聲が消えたわけじゃない。
「彼の家は、ヴァルトルーネ皇が皇帝になることをんでいない。否定もしていないがな」
フレーゲルの呟きを聞き、一同は押し黙る。
彼の言う通り、
マリアナ嬢のライン公爵家は完全中立派。
皇派の貴族と反皇派の貴族がいがみ合うのを外側から傍観している存在。
もし、フレーゲルがマリアナ嬢に接することがあれば、
ライン公爵家は皇派に取り込まれたと囁かれかねない。
「迷をかけたくないんだな」
「ああ」
──難しい話だな。
俺は元々平民だったから、王族、皇族、貴族の繋がりがここまで面倒なものだとは當初思っていなかった。
世の中は単純に見えて、見えない部分が複雑だ。
何本にも絡まる糸が果てしなく続く。
「俺さ、貴族に生まれたお前が羨ましい。婚約者いいなぁ……とか思ってたけど。貴族ってクソ面倒なんだな」
スティアーノの素直な言葉を聞き、フレーゲル以外の全員が頷き、フレーゲルに哀れみの視線を向けるのだった。
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