《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》超レア素材、大量に取れました
本試験の説明をけ終え、ギルドマスターたちに見送られながらギルドの外に出ると、意外な人の姿があった。
「あ! ディオくん!」
軽く手を振りながら駆け寄ってきたのは、今朝がた別れたばかりのアリシアだ。
「よかった。まだギルドにいたのね。れ違いになったかもって、心配しながら待ってたのよ。試験どうだった?」
「あ、うん。おかげさまで賢者の模擬試験も合格をもらえて、本試験に進めることになったよ」
「ほんと!? すごいわね! おめでとう!!!」
手放しに喜んでくれるから、照れくさい。
「ありがとう。あの、でも、どうしてここに?」
「今朝伝え忘れちゃったことがあったから。魔使いの試験に合格するまで、フェンちゃんと一緒に宿に泊まれないって言ってたじゃない? それうちに泊まったらどうかなーって思ったの」
「え!?」
「調合室にあるソファーでよければなんだけど……」
「僕らは全然問題ないって言うか、本當にありがたいけど、アリシアさんは大丈夫なんですか?」
「嫌だったら泊まるかなんて提案しないわよ。私あなたたちふたりのこと気にったから、気にしないで頼ってよ」
野宿するとなると、々気を張って過ごさなければならない。
明日に向けてできれば疲れをしっかり癒しておきたいので、泊めてもらえるなら正直こんなありがたいことはなかった。
「それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらってもいいでしょうか?」
「もちろん! てことで決まりね! フェンちゃんも、しばらくよろしくね」
『ワン!』
尾を一振りしてからフェンが僕を振り返る。
『の一人暮らしだというのに、主を泊めたがるとは、この雌……あ、いや人、よっぽど主を気にったのだな。番にするか?』
もう! またフェンは……!!!!!
真っ赤な顔でこらと言ってみても、フェンはふふんと鼻をあげるだけだ。
「あ、そうだ! 君がうちに放置していった白蓮魚! あれも新鮮なうちに解して、劣化遅滯魔法を施した素材箱の中で保存してあるわよ」
「……! すっかり忘れてました。ていうか解までさせてしまって、すみません……!」
「ううん。こっちこそ許可をもらわないうちにばらしちゃってごめんなさい。でも、あのまま置いといたら、おが傷んじゃったから」
もともとフェンの解毒剤を作ってもらうために持ち帰っただけだったので、白蓮魚の存在は頭の中から完全に抜け落ちていた。
「あとで素材屋の場所を教えてあげるから、持ち込むといいわ。めちゃくちゃ貴重な素材だから、とんでもない高値で買い取ってくれるはずよ」
「そうなんですか?」
素材の価値を全然理解していないため、そんな返事しかできない。
「特殊な素材しか買い取らないお店があるから、そこがいいわね。とにかく一度、お店に戻りましょう」
◇◇◇
アリシアの家に向かうと、作業臺の上は白蓮魚の素材をれた箱で埋め盡くされていた。
「このままだとお店に持っていけないから、売るものはこっちの素材袋にれるといいわ。空間魔法がかかっていて、結構な量の素材を軽々と持ち運べるのよ」
そんな便利な魔法道があるのか。
高そうだけど、僕もいつか手にれたい。
「ディオ君、もしよかったらなんだけど、白蓮魚の鱗を私にも數枚売ってくれない……? あ、もちろん無理にとは言わないわ……!」
アリシアが申し訳なさそうに聞いてくる。
「売るなんてそんな。好きなだけもらってください」
「何言ってるの! もらうなんてだめよ!」
「でもお世話になったので……」
「だめだめ、ちゃんと代金をけ取ってちょうだい」
うーん。
「あ、それじゃあ、フェンの治療代を鱗で払わせてもらえませんか?」
「それもだめよ! その鱗は、治療代の何十倍も価値があるんだから!」
「なら、宿泊代も込みってことで」
僕は若干強引に、數枚の鱗をアリシアの手のひらの中に押しつけた。
アリシアには本當に謝しているのだ。
あの時、彼がフェンを治療してくれなかったら、もしかしたらフェンは今頃……。
「君は僕の大切な仲間を救ってくれた恩人だ。だから、遠慮せずにけ取ってほしい」
「ディオくん……。……わかったわ。ありがたくけ取らせてもらう。この先もしあなたが困ったときには、私が全力で力になるから」
アリシアは僕が渡した鱗を大事そうに包み込み、優しい笑顔を見せてくれた。
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