《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》試験前日

アリシアが部屋を出ていくと、それまで僕の足元で伏せをしていたフェンがむくっとを起こし、ぴたっとくっついてきた。

ん? と思って下を見ると、悲しそうにこちらを見つめてくるクリクリの瞳と目が合った。

『主、悲しくないか?』

「……もしかして家族の話が出たから、心配してくれたの?」

フェンがこくこくと頷く。

「ああ、フェン……」

の奧がきゅうっとなり、思わずフェンを抱きしめてしまった。

かわいいのと、しいのと、心からの謝が混ざり合う。

「ありがとう。でも、大丈夫だよ。だって僕には、君という家族がいるんだから」

ふわふわの白いでまわしながらそう伝えると、フェンも安堵したのか、僕の鼻先をペロペロと舐めてきた。

そのままフェンとじゃれ合っていると、アリシアが向かった部屋のほうから食をそそられる香りが漂ってきた。

フェンがごくりと息を呑む。

と同時に、僕のおなかもぐうっと鳴った。

「ふたりともー、できたわよー!」

先にそんな聲が聞こえてきて、皿を手にしたアリシアが姿を見せた。

湯気の出た大皿が次々食卓に並んでいく。

どれもこれも本當に味しそうで、僕とフェンは料理が出てくるたびしっぱなしだった。

その中でも取り分け目を引いたのは、やはり白蓮魚を使ったアヒージョである。

「さあ、冷めないうちに食べましょう!」

丸いテーブルについた僕らは、聲を合わせて「いただきまーす!」と言って、食事を開始した。

お互いに顔を見合わせ、まずは白蓮魚に手をばす。

フェンの分を取り分けることも忘れない。

全員一斉に、口に運ぶと――。

「んんんんん~!!!! おいひすぎるううううう」

『むしゃむしゃむしゃむしゃ、うまうまうまうまっ』

「……っっっ、たしかにめちゃくちゃおいしい……!」

心からの喜びの聲を上げたのも、三人同時だった。

「やっぱり特別な高級食材は違うわね……」

「うん、グルメな人にされるだけあるなぁ……。だけど、そもそもアリシアの料理が上手なんじゃないかな」

その証拠に白蓮魚以外の料理だって、どれもこれも最高においしかった。

「アリシアって本當にすごいね。薬師としても頼りになるし、解の腕は一流だし、その上料理まで得意だなんて」

心底心しながらそう伝えると、彼の顔は見る見るうちに真っ赤になっていった。

「ちょ、ちょっと……! 恥ずかしいからそのぐらいでいいわよ……!」

「あれ? どうして赤くなってるの?」

きょとんとしながら聞き返したら、頬を膨らませたアリシアがかわいい顔で睨んできた。

「もう~! 君ってば、やっぱり無意識な人たらしよ……!! 年上のことをそんなふうに振り回すもんじゃないわ……!」

ぷりぷりしながら口をとがらせているアリシアは、あまり年上っぽく見えない。

僕がふふっと笑うと、なぜか彼はますます取りすのだった。

そんな僕らのやり取りを見ながら、夢中で食事をしていたフェンがぼそっと呟く。

『主、そんなに鈍いと番ができるのは當分先だな……』

鈍いって?

ていうか、また番の話してるし……!

――食事がひと段落したところで、話題は自然と明日の本試験に関するものになった。

「え!? 魔使いと賢者の試験を同時にけるですって!?」

そういえば、アリシアにはまだそのことを説明していなかった。

「そんなことを新人にやらせるなんて前代未聞じゃない!? ……ギルドマスターは、あなたを伝説の冒険者に仕立て上げようとしてるのかも。そんなひとがこの街のギルドに所屬してたら、ギルド自も國から特別扱いされるでしょうし。あなたを利用しようとしてるなら許せないわ……!」

「あ、そういう下心があるのは最初の説明のときに本人から聞いて知ってるよ」

「え!? 知ったうえでそんな難しい試験をけることにしたの!?」

「うん、だめもとってかんじで。フェンがいるから魔使いには絶対になりたかったんだけど、仕事を探すのは賢者のほうが便利みたいだったから。試してみるのもいいかなって思ったんだ」

「そんな気軽に挑むものじゃないわよ……!? ……ぷっ、でも君らしいのかも。ふふふ! 聞いた瞬間はびっくりしちゃったけど、そうね、君なら二職同時験も簡単にかっちゃいそうな気がしてきたわ。でも、初めて依頼をけるんだし、十分に注意してね」

「うん、心配してくれてありがとう」

「明日もおいしい料理を用意して待ってるから、ちゃんと私のところに帰ってくること! いいわね?」

本試験で命を落とす者もいる。

そう警告をけたことがちらっと脳裏を過った。

アリシアもそれを知っているから、こんなに心配してくれるのだろう。

僕はを正し、しっかりと頷き返した。

「約束する。必ず帰ってくるよ」

『……なんだか夫婦のやりとりみたいだ』

フェンがまたとんでもないことをぼそっと呟く。

「フェン、なんか言った!?」

アリシアが「なになに?」と聞いてくるが、まさか説明できるわけがない。

慌てて誤魔化すと、「二人だけのなんてずるいわよ」と言って、暴に髪をで回されてしまった。

そんな僕を見て、フェンがにやにやと笑う。

まったく、もう……!

試験前日は、こんなふうに和気あいあいとした雰囲気の中で過ごすことができたのだった。

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