《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》特別な年
レイリィの口から出た侯爵様と言う名に疑問を抱き聞いてみる。
「侯爵様ってどういうことですか?」
「詳しい説明は元の世界に戻ってからしよう。――空間魔法、解除」
レイリィさんがパチンと指を鳴らす。
周囲の景がぐわんと歪む。
次の瞬間には、僕らは冒険者ギルド本部の會議室に戻っていた。
再び元の世界に姿を現したレイリィさんと僕を見て、ホランドさんをはじめとする幹部たちが呆れ顔で首を橫に振る。
「ギルドマスター、また悪い癖が出ましたね? すーぐ力で問題を解決しようとするんだから」
幹部の一人がそんなふうに指摘しても、レイリィさんはどこ吹く風という態度だ。
「冒険者は実力あってこそだ。その能力をはかるのに、だらだら面談を行っていても埒があかん。それに、皆この子の実力をしっかり確かめておきたいと思っていたのだろう?」
レイリィさんが幹部たちに向かって問いかける。
その中で、たまたまレイリィさんの目の前にいたスキンヘッドの眼鏡をかけた男と、筋ムキムキのおばあさんが確かにというように頷いた。
「それで実力の程はどうだったんですか?」
スキンヘッド眼鏡の男が、レイリィさんに問いかける。
「十分に楽しませてもらえた。想像以上の子だったな」
その返事を聞き、ホランドさんがほっとしたように目を細めた。
「だから言ったじゃないですか。ディオ君は特別な年ですって」
「ああ、才能もあるだろうし、何よりびしろにかなり期待できる」
レイリィさんはにんまりと笑いながら、僕の頭をで回した。
「ほお……」
「これはこれは……」
幹部たちが次々と心したような聲を上げる。
「ギルドマスターが誰かを褒めるなんていつぶりかね?」
筋ムキムキおばあさんの細い目がキラッとる。
「坊やがどんなものなのか、あたしも手合わせしてみたいねえ」
「おいおい、ばあさん。ご老人には荷が重かろう。俺が代わりにかわいがってやろうじゃないか」
「だまらっしゃい。なんだったら、坊主とおまえさん、まとめてアタシがのしてやってもいいんだよ」
筋ムキムキおばあさんと、スキンヘッド眼鏡の間でバチバチっとしたやりとりがかわされる。
……レイリィさんだけじゃなくて、他の人も好戦的すぎないかな。
ギルド本部の幹部は、もっとバリバリに事務仕事をしている文タイプなのかと思っていたのに。
レイリィさんを筆頭にギャップがすごすぎる。
中だけでなく外見も含めて。
筋ムキムキおばあさんと、スキンヘッド眼鏡が本気でやり合いそうになったタイミングで、レイリィさんがパンパンと手を叩いた。
「ほらほら靜粛に。一応會議の場なんだから」
皆から「あんたがそれを言うか!?」という視線を向けられても、レイリィさんが気にするはずもない。
「さてさて、ディオ君。話が線してしまったが、侯爵様からの依頼について説明しよう」
本題まで長かったな……。
「二日前、王都にいる侯爵から新人冒険者指定の依頼をけたのだ。依頼の難易度はランクA。簡単な依頼だから新人冒険者で十分だと言われてね。とはいえ、相手は貴族なんでね。失敗して大事になったら困るんだよ。だからって、練の冒険者を向かわせた結果、意に反する行いをしたと機嫌を損ねられても問題だ」
「貴族は偏屈で面倒な人間が多いですからねえ。こちらも々悩まされてるわけだ」
ホランドさんがため息混じりに付け足す。
彼は名家の出だから、貴族に対して思うところがあるようだ。
「こらこら、貴族様の悪口はご法度じゃよ」
筋ムキムキおばあさんが、ホランドさんの失言に対し、すかさず口を挾む。
「はいはい、わかってますよ」
「というわけで、新人らしい初々しさがあるが、実力はしっかり保証されている人間となると、期待のルーキーとして注目を集めるディオ君が打ってつけなわけだ」
レイリィさんは、僕を指し示すように掌を広げてみせた。
「もし今回の任務が功し、貴族様に気にられれば、今後次々と貴族の仕事が舞い込むかもしれんよ。貴族は社の場で噂話をするのが仕事みたいなものだからな。そこで話題にのぼれば、貴族の覚えめでたい冒険者として、引っ張りだこになるなんてことも十分ありえる」
確かにそうなれば、仕事に関しては當分の間、苦労せずに済むだろう。
しかも、貴族が出す依頼は報酬が破格であるらしい。そのうえ、『貴族用達の冒険者』となると、どこへいっても特別扱いされるとのことだ。
「貴族用達ともなれば、格が違うからな。皆から尊敬されるし、一目置かれることにもなる。気分がいいぞ?」
「はあ……」
そんな理由から、貴族用達を目指す冒険者が山ほどいるらしいけれど、僕はいまいちピンとこなかった。
「この王都では、貴族用達の座を巡って決闘が絶えないため、いささか問題になってもいるんだ」
「えっ。そこまでしてなりたいものなんですか」
「まだ君は通常の依頼の平均的な報酬や、依頼容をよくわかっていないだろうから、価値がはっきり理解できないのだろう。だが、想像ぐらいできるだろう? 王都から出る必要もない簡単な雑用で、高額の報酬を貰えるのだよ。たとえば屋敷の護衛だけで、Sランクの魔を倒すときと同等の報酬を提示されるなんてのも日常茶飯事だ。――というわけで、最高に條件のいいこの仕事を君に振ってやろうと思ってな」
うーん……。
街から出ることもなく、雑用で高額を稼ぐ……。
貴族に気にられて、一目置かれる……。
正直、どちらも全然そそられない。
せっかく冒険者になったのに、全然冒険者らしくないもんなぁ……。
「ご提案はありがたいんですが、お斷りします」
へらっと笑ってそう伝えると、その場にいる全員が目を見開いて僕のことをバッと振り返った。
【※作者からの大切なお願い】
ブックマーク登録、評価いつもありがとうございます!
下にある☆☆☆☆☆を★★★★★に変えていただけると、ポイントを追加できます。
まだまだ更新がんばりますので、ご支援よろしくお願いします!(๑´▿`๑)
- 連載中38 章
6/15発売【書籍化】番外編2本完結「わたしと隣の和菓子さま」(舊「和菓子さま 剣士さま」)
「わたしと隣の和菓子さま」は、アルファポリスさま主催、第三回青春小説大賞の読者賞受賞作品「和菓子さま 剣士さま」を改題した作品です。 2022年6月15日(偶然にも6/16の「和菓子の日」の前日)に、KADOKAWA富士見L文庫さまより刊行されました。書籍版は、戀愛風味を足して大幅に加筆修正を行いました。 書籍発行記念で番外編を2本掲載します。 1本目「青い柿、青い心」(3話完結) 2本目「嵐を呼ぶ水無月」(全7話完結) ♢♢♢ 高三でようやく青春することができた慶子さんと和菓子屋の若旦那(?)との未知との遭遇な物語。 物語は三月から始まり、ひと月ごとの読み切りで進んで行きます。 和菓子に魅せられた女の子の目を通して、季節の和菓子(上生菓子)も出てきます。 また、剣道部での様子や、そこでの仲間とのあれこれも展開していきます。 番外編の主人公は、慶子とその周りの人たちです。 ※2021年4月 「前に進む、鈴木學君の三月」(鈴木學) ※2021年5月 「ハザクラ、ハザクラ、桜餅」(柏木伸二郎 慶子父) ※2021年5月 「餡子嫌いの若鮎」(田中那美 學の実母) ※2021年6月 「青い柿 青い心」(呉田充 學と因縁のある剣道部の先輩) ※2021年6月「嵐を呼ぶ水無月」(慶子の大學生編& 學のミニミニ京都レポート)
8 193 - 連載中12 章
異世界転生の能力者(スキルテイマー)
ごく普通の高校2年生『荒瀬 達也』普段と変わらない毎日を今日も送る_はずだった。 學校からの下校途中、突然目の前に現れたハデスと名乗る死神に俺は斬られてしまった… 痛みはほぼ無かったが意識を失ってしまった。 ________________________ そして、目が覚めるとそこは異世界。 同じクラスで幼馴染の高浪 凜香も同じ事が起きて異世界転生したのだろう。その謎を解き明かすべく、そしてこの異世界の支配を目論む『闇の連合軍』と呼ばれる組織と戦い、この世界を救うべくこの世界に伝わる「スキル」と呼ばれる特殊能力を使って異変から異世界を救う物語。 今回が初投稿です。誤字脫字、言葉の意味が間違っている時がございますが、溫かい目でお読みください…。 作者より
8 97 - 連載中18 章
五つの世界の神になる!?
主人公神谷皐月はトラックにより死んだ…それは神様が関わっていた!? 死なせてしまった神様は謝罪を込めて皐月を異世界に送ると言い そこから皐月の異世界生活が始まるが…能力がチート過ぎて…どうなってしまうのか!?
8 77 - 連載中393 章
異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
學校の帰り道、主人公の桐崎東がサッカーボールを追いかけて橫斷歩道に飛び出してきた子供がダンプカーに引かれそうになったところを助けたら死んでしまい神様に會って転生させてもらった。 転生した異世界でギルドがあることを知り、特にやることもなかったので神様からもらった力で最高ランクを目指す。
8 187 - 連載中37 章
異世界はガチャで最強に!〜気づいたらハーレムできてました〜
ある日、青年は少女を助けて代わりに死んでしまった。 だが、彼は女神によって異世界へと年はそのままで容姿を変えて転生した。 転生の際に前世の善良ポイントで決めた初期ステータスと女神からもらった 《ガチャ》と言う運任せのスキルで異世界最強を目指す。 処女作ですので長〜い目で見てくれると光栄です。 アルファポリス様で好評でしたのでこちらでも投稿してみようかと思い投稿しました。 アルファポリス様で先行更新しているので先の話が気になればそちらをご覧ください。 他作品も不定期ですが更新してるので良かったら読んでみてください これからもよろしくお願いします。
8 184 - 連載中10 章
朝、流れ星を見たんだ
天涯孤獨の少年竜也と、病に身體を蝕まれている少年大翔。 大翔の最期を看取ってやりたい竜也だが、大翔の命の期限が迫った時、竜也は一ヶ月間イギリスに行くことになってしまう。 その一ヶ月間、大翔は病に耐え続けられるのか、それとも竜也のいない間にその目を永遠に閉じてしまうのか――――未來は誰にもわからない。
8 80